母の願い
題名「象ロケット」
象は、その長い鼻を使って、水を飲んだり、食べ物を食べたりしています。
ところが、その大事な鼻がロケットになっている象がいました。
だから、その象の鼻は、ちっとも役に立ちませんでした。
ある日、動物のサバンナ王国で戦争が起きました。西と東、北と南に分かれて、四つ巴の戦争になってしまいました。
そうなのです。象の鼻ロケットが初めて役に立つときが来たのです。
鼻ロケットが発射されました。
“ゴゴゴゴゴ”
草原に命中しました。
“ドーン”
沢山の煙が立ちました。
“ばふばふばふ”
でも動物達は何ともありません。ロケットには、火薬の代わりに〈幸せの仲良しになれる薬〉が入っていたのでした。
薬のお蔭で戦争は終わりました。
ところで、ロケットの鼻を失くした象は、どうなったかな──?
それが不思議なのです。ロケットを発射した後、水を飲んだり食べ物を食べたり出来る鼻が生えてきたのです。
もう戦争も起きないし、象さんもよかったね。
おしまい