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キリアーゼ

カイゼルと別れたあと、ギルドへ向かう。


「泊まりたいです」

「すみません、今は二人部屋しか空いてなくて」

「構いません」

「わかりました。こちら、ルームキーです」


鍵を受け取り、荷物を部屋に置く。

まだ街は明るいし、少し歩いてみようかな――そう思った矢先だった。


「おお、坊主!」

「うわっ! びっくりした」


そこにはカイゼルがいた。今回はちゃんとパーティーメンバーと一緒だ。


「こんにちは。うちのカイゼルがお世話になりました」

「こんにちは。僕もカイゼルには助けられたから、こちらこそ」

「そうなの?」

「うん」


謝罪してきたのは妖艶なお姉さんだった。

胸もお尻も太ももも大きく、服が少し可哀想なくらいピチピチだ。


「僕はアラニル。お姉さんは?」

「私はイザベル。こっちはサニとセインよ。あと……この子は」

「初めまして、こんにちは」


イザベルの後ろにいるサニとセインのさらに後ろから、私より少し年上くらいの少年が出てきた。


「初めまして。あなたの名前は?」

「ルーカスだ。俺はコイツらの仲間じゃない」

「そうなんだ。じゃあどうして一緒にいるの?」

「誘われたから、街まで一緒に来ただけだ」

「ちょっと、私たちには名前教えなかったのに!」


にぎやかだな。一人旅よりずっと楽しい。


「ふふ」


思わず笑い声が漏れた。


「……ねえ、イザベル」

「ええ」


サニとイザベルの目が、光った。

まるで獲物を狙う狩人の目。


「ちょっとおいで〜」


「うわっ、ちょっ!」


私は二人の部屋に連行される。


「やっぱり女の子だったのね。可愛い〜!!」

「メイク落としたらさらに可愛くなったわね…」

「腕が鳴るわ〜」


どこから持ってきたのかわからないウィッグとドレスを着せられ、家でもしたことがないメイクまでされる。


「…わあ、こんなに顔変わるんだ」


金髪のウィッグ――私が持てなかった色だ。

まあ、今は気にせず楽しもう。

こんなにお世話されたのは赤ん坊の頃以来かもしれない。

心が、なんだかぽかぽかと温かくなる。


「…!!」


突然二人が奇妙なポーズを取り、私から離れた。


「…何してるの?」

「いやっ、ちょっと眩しくて」


……?


「おお、坊主。すまんな、あの二人は男女関係なく、気に入った奴にドレスを着せる奴らなんだ。災難だった…な!?」

「カイゼル、あんたもか」


ルーカス以外の皆が、奇妙なポーズを決めた。


「ルーカス、これからどうするんだ?」

「うーん、暇だしあんたについていこうかな」

「…僕?!?」

「ああ。お前の隣は居心地いいし」

「…まあいいけど」

「俺のことはルカって呼んでくれ」

「わかった、ルカ。僕のことは好きに呼ぶといいさ」

「アラニルだし、アルとか?」

「…!いいね」


一人旅もいいけれど、仲間がいるとより楽しい。

初めて愛称で呼び合うのも嬉しい経験だ。


その日の晩ご飯は六人で囲んだ。

大人数での食事も久しぶりだ。


カイゼルは酔っ払って大声、セインは独り言が多く、イザベルは程々に酒を嗜み、サニは意外にも酒豪だった。

私とルカはオレンジジュースを傾ける。


「すっかり暗くなっちまったな」

「あ、俺、宿取るの忘れてた」

「そうなの?じゃあ僕の部屋、一緒に使う?」

「そうしようかな」


その会話を止めに入ったのはセインだった。


「いやいやいやいやいや、まずいだろ!」

「んぁ?なんだセイン。男同士なんだから問題ないだろ」


カイゼルは呂律が回っていない。

男女ではあるけれど、まだ子供同士だから大目に見ていいだろう。


「ルカ、これルームキー。僕はドレス脱いでから行くから、先に部屋入ってて」

「わかった、ありがとう」


ギルドには後で報告すればいい。

ドレスを脱ぎ、化粧を落とし、男物の服に着替える。


「ねえ、そういうことするの?」


二人はニヤニヤして私を見ている。


「はぁ、そんなわけないでしょ。ふざけたこと考えないで、早く寝なよ」


少し乱暴にドアを閉め、部屋を後にした。

あ、やっぱりギルドの方に一言通しておこう。


「僕の部屋にもう一人泊まることになったんですけど、大丈夫ですか?」

「…大丈夫ですよ。部屋代で換算しているので」

「ありがとうございます」

「…その声、アラニルさんですか?!」

「? はい」


ああ、化粧落としていたんだった。

そんなことも忘れるなんて、私も少し酔ったのかな。


少し沈んだ気持ちで部屋に戻った。


「おかえり、アル」

「ただいま、ルカ。ギルドの方に確認したら問題なかったよ」

「ああ、よかったな」

「疲れたし、もう寝るね」


浄化の魔法を体にかけ、パジャマに着替えて布団に入る。


「…浄化の魔法に透明な魔力か。なるほど、心地いいわけだ」


ルカは難しい顔をしていたけど、私は気にせず目を閉じた。

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