表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/24

『初陣の夜 ―ホスト、信長、接客に挑む―』

 《SENGOKU》の営業時間が近づくと、クラブ内は一気に戦場の空気に包まれた。


 シャンデリアの下、ホストたちがスーツに着替え、鏡の前で髪を整え、香水を吹きかけていく。

 だがその中に、ひとりだけ――甲冑を着たままの男がいた。


 「信長さん……それで出るんですか?」


 金髪の新人ホスト・ヒカリが、困惑しながら尋ねる。


 「戦場に鎧は必須よ。女の心を射抜くなら、こちらも全身全霊で挑むべきだ」


 「いやまぁ、そっすけど、さすがに怖いっていうか……入店拒否されちゃうっていうか……」


 「黙れ猿」


 「また猿ぅ!? だからオレ人間っスよ! てか接客マジでどうすんの!?」



 信長の“接客”は当然ながら未経験。

 上杉蓮はそんな彼に言い渡す。


 「今夜、お前には“模擬接客”をしてもらう」


 「模擬接客……?」


 「ホストの基本は“心を掴む会話”。女を酔わせるのは、酒ではなく言葉だ」


 信長はふっと鼻で笑った。


 「ふん、我がかつて何万の兵を言葉ひとつで動かしたと思っておる。女ひとり、たやすきことよ」



 こうして始まった、信長の初接客――

 相手は、クラブの教育担当でもあるベテラン女性スタッフ「りん」。

 年齢不詳、美貌と毒舌を兼ね備えた元No.1キャバ嬢。



 「はじめましてぇ、信長さん♡」


 「貴様、名は?」


 「え? あ、凛ですぅ♡」


 「……何者だ? どこの大名の姫か?」


 「え、元キャバ嬢だけど?」


 「キャバ……? 戦の名か?」


 「いや違うし。てか、なにその甲冑!重そ~!変わってるね~♡」


 「そなた、なかなか肝が据わっておるな。よかろう、我が気に入った!」


 「え、ちょっと待って、こっちが試してる側なんだけど――!?」



 信長の“武将テンション接客”は空回りしつつも、なぜか凛の笑いを取り、

 最終的に「面白すぎるから採用!」という結果に。


 ――こうして、信長のホストとしての初陣は、意外な形で幕を開けたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ