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いまじゃ 殺れ 信長を  作者: 水無月はたち
二の巻『謀叛』
16/19

第16話 伊賀忍者の極意は心読みでござりまする


 夜更け。村重は寝所に小猿を入れた。急ぎ申し上げたきことありと襖越し囁かれたからである。枕元に安置した大刀を引き寄せ村重は問うた。

「何ごとぞ?」

 小猿は言った。

「小寺孝高殿がこちらへ向こうておりまする」

 村重は表情を緩める。

「何のことかと思えば、そのようなことか。存じておる」

「殿に翻意を促しに」

「わかっておるわい」

「お会いにならぬほうがよいかと」

「旧知の仲じゃ、話だけは聞こうと思うとる」

「その旧知に悪しき奸謀がござりまする」

「悪しき奸謀?」

 小猿は声を潜めて言った。

「殿のお命狙っておりまする」

「孝高が? まさか」

「そのまさかに乗ずる男でござりまする。油断されぬ方がよろしかろうと」

「あやつのこと知らぬくせに、何ゆえそこまで言い切れる?」

「伊賀忍者の極意は心読みでござりまする。流言、発話、呟き、囁き、挙措、視線、呼吸、あらゆる顕現を拾い集め相手の心を読みまする。小寺殿の心もすべて読みましてござりまする」

「心を読むだと? 忍びの言うことは信じられぬ。そちの方こそ儂の命を狙っているのではあるまいの?」

 村重が小猿を睨みつける。

 小猿は笑った。

「左様、そのくらいお疑いになられた方がよろしい」

 村重には小猿の考えていることが謀りかねた。しかしいま頼るべくは信長を倒せる忍者である。それが伊賀忍者であろうと甲賀忍者であろうと。

「そちを信じよう。騙されるならばそれは儂の力量じゃ」

 村重は哄笑した。

「して、孝高を如何すればよい?」



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