38.「少女との約束&決戦の場」
「大丈夫? 怪我はない?」
「……うん……たすけてくれて……ありがとう……」
この村に唯一残っていた幼女は、こくりと頷く。
彼女はフェーナというらしい。
両親が連れ去られ、村を破壊されたフェーナちゃんは「……あのね、おにいちゃん……おねがいがあるの……」と、躊躇いがちに僕を見上げた。
「……パパとママを……たすけて……」
「分かった!」
僕は、「絶対に助けて、連れ戻すから!」と、力強く頷いた。
魔王を倒して、救い出すんだ!
「……ありがとう……!」
まだ涙に濡れた瞳で見つめる彼女が、微笑んだ。
※―※―※
「おにいちゃん、おねえちゃん、またね! バイバイ!」
ホワイトシュレイ共和国の都まで、フェーナちゃんと共にフライドラゴンで飛んでいった僕らは、光輝教が運営する孤児院に事情を話して、両親が迎えに来るまでの間、彼女を預かってもらった。
ちなみに、教皇さんから魔導具による連絡があって、カツカツだった孤児院運営資金が増額されたらしい。どうやら上手くやっているようで、安心した。
「さて、と」
フェーナちゃんと別れた僕らは、行くべきところが決まっていた。
都に来るまでの飛行中、南の方角に見えるはずの〝毒汚染地域〟が消えており、肩に乗せたディテドラが〝とある人物〟を感知したからだ。
「ディテガ!」
「え!?」
LV500。
間違いない、魔王だ。
「とうとう見つけたわね!」
「ハッ! いよいよお出ましって訳だね」
「準備は万端ですわ!」
僕たちは更にレベルアップを遂げており、パーティーを組んだ当初に比べて、かなり実力が向上した。
【基本ステータス】
LV450
名前 リュウ
年齢 15歳
性別 男
種族 人間
職業 ドラゴン召喚士
状態 ミックスドラゴンブラッド(3種類)
称号 ドラゴンマスター
【スキル】
召喚<LV 10>(※●●●ドラゴンを新たに追加)
硬化<LV 10>(※パッシブ(常時発動型)スキル)
身体強化<LV 10>(※パッシブ(常時発動型)スキル)
闘気<LV 10>
〝●●●ドラゴン〟は名前が隠れていて読めないのが謎だけど、でもきっと格好良くて強いドラゴンなんだろうなぁ!
マイカさんはLV286、エルアさんはLV195で、ウルムルさんはLV190だ。
あと、闘気は十分間発動し続けられるようになった!
まだまだ僕は弱いけど、これでもし術者の僕が狙われたとしても、少しはドラゴンの足を引っ張らないで済むと良いなぁ!
「みんな、行きましょう!」
「ええ!」
「ハッ! 望むところだ!」
「決着をつける時ですわ!」
僕たちはフライドラゴンで、決戦の場へと向かった。
※―※―※
「たあああああ!」
「おらああああ!」
「はあああああ!」
「『サンダーブレード』!」
「「「「「ギャアアアアア!」」」」」
魔王戦に備えて、僕、エルアさん、ウルムルさんは、闘気を纏わずにモンスターを蹴散らしていき、マイカさんは魔法で援護する。
S級モンスターが出てくるのかと思いきや、A級モンスターばかりだったこともあり、僕らは体力と魔力を温存しながら、進んで行った。
そして。
辿り着いたその薄暗い場所には。
「よくぞここまで来たのう」
「「「「!」」」」
異形の姿と化したロドリアス王国女王――ミスフィー・フォン・ロドリアスが、男版アラクネとでも言うべき蜘蛛人間に変貌したアキラさん、タイガさん、トモユキさんを従えて、玉座に座っていた。
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