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魔王の日常  作者: НАЯЦ
3/28

第3話 怪力のバスク

「チサト、ちょっと部屋を開ける」

「かしこまりました。どちらへ?」

「ちょっと、訓練場だ」

そう言い残して、魔王ライリは部屋を出た。


† † †


「せいっ、ハァ!」

兵士の気合いの入った声。訓練場は、自らの力を向上させようとする者の熱気に満ちていた。

そんな中。


「ちょっと見物させて貰おうか」


聞き覚えのある、だが完全に場違いな声。


「魔王様?!」

「おい、ウソだろ…」

「どうして、我々なんかを見に…」


様々なざわめきがその場を支配した。


「おい貴様ら!なにをボサッとしているか!魔王様の前でみっともない姿を晒すな!」

大きな、野太い、それでいてはっきりとした声での一喝に、ハッと我に返る訓練者たち。

「そうだ!我々が日々行う鍛練の姿をしっかと見ていただこう!」

オォ!と周りからの呼応。

辺りは、より一層熱をもった。

「気合いが入っているようだな、バスク」

「それはもちろん!なにせこの城自慢の兵ですから」

『バスク』と呼ばれた、2メートルは越えているであろう巨体の男はガハハと大きな口を開けて笑う。『熊男』と言う形容がぴったりくるような、濃い口髭ともじゃもじゃの髪。彼の大柄な性格をしっかりと表していた。

「ところで、今日は何のご用で?」

「うむ、久々にバスク、お前と手合わせしようかと思ってな」ふふ、と不敵に笑うライリ。

「おお、それは光栄ですな」

ニッと笑うバスク。両者の間には、闘気が満ちていた。

「おい、練習中断!!これから、魔王様と俺との手合わせを始める!全員、しっかりと見学しろ!!」

バスクの声に、再び辺りがざわつく。ライリはそんなことお構い無しに近くにあった練習用の片手剣を4本手にとり、2本を腰に、2本を手に持つ。一方バスクは、大振りの剣を1本を手に持ち、2本の片手剣を腰に差した。2人が練習場の中央に向かって歩く。

「時間無制限、魔法禁止、有効打が入ったら勝ちの一本勝負でいいか?」

「えぇ、それでいきましょう」ライリとバスクは互いに一礼。すぐに後ろに下がり、間合いを取る。

「行くぞ!!」

ライリはバスクに向かって跳ぶ。一瞬で間合いを詰め、左右から斬撃を繰り出す。バスクはそれを避けずに大剣を振って弾き飛ばした。

「ほぅ、流石だなバスク。この怪力には勝てん」

「魔王様こそ、その速さにはついていけませんよ」

言葉が終わるや否や、バスクは思い切り剣を降り下ろす。剣が切り裂いた空気が真空の刃となってライリへと向かう。横凪ぎの一閃によって全ての刃を消し飛ばし、ライリは間合いを詰めるべく猛ダッシュ。バスクの目前に来た瞬間、ライリの姿が掻き消える。

「………!!」

バスクは大剣から手を離し、前転しながら片手剣を両手に取る。そして立ち上がり、振り向きざまに剣を交差した。


ガキィィン!!


金属の剣同士がぶつかり合う音。ライリは、バスクの正面2センチの所にいた。

「よく防いだな」

「魔王様のスピードなら後ろに回り込むんじゃないかっていう、長年の勘ってヤツです…よ!」

バスクは交差した剣を振り、ライリは後ろへ跳んだ。すぐさま、バスクは間合いを詰め、左右の剣から剣の乱舞を見舞う。それを受けて立つかのようにライリも剣を振るう。金属質な音が幾つも生まれ、二人の間にはとてつもない熱気が生まれた。

ガギンッ!

両者の剣が折れた音が響く。ライリは貰った、とばかりに笑みを浮かべ、腰から剣を抜き放つ。振り下ろされた剣を、バスクは横から殴り、ライリの体勢を崩す。先程手放した大剣を取るべく走るバスク。手に持った瞬間、振り返りながら追いかけてくるであろうライリへと剣を振るう。だが…

「残念だったな、バスク」

背後からの声。

「ふぅ…参りました。やっぱり魔王様は強いですな」

ガハハとバスクは笑った。

「お前の攻撃には、手が痺れるよ。手に感覚がないくらいだ」

ふっとライリも笑う。


辺りは、2人への歓声と拍手でいっぱいだった。

書きそびれましたが、バスクも側近の1人です。

主に訓練場を管理しています。


こんな感じで側近を紹介しながら、話を進めていきたいと思っています。

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