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魔王の日常  作者: НАЯЦ
25/28

EX.7 淫魔の歩む道 1

!注意!

過激な表現があります。読む際には注意してください。


† † †


『妖精の戦い』に登場した淫魔(エンプーサ)の物語。


本編の間に挟みつつ、いくつか続く予定です。

「では、始めるぞ」


老人のような(しわが)れた声に、周囲にいる魔導師たちがうなずく。彼らが取り囲むのは、一体の、女の魔属。一糸(まと)わぬ姿でベッドに寝かされ、手足は鎖でベッドの柱に繋がれている。


「『魔法を開始する』」


嗄れた声と共に魔導師たちが一斉に手を突き出す。


ヴヴヴ……


ベッドの下で魔方陣が輝き始め、青白い光が辺りを包む。


「んっ……」


ベッドの上の魔属がピクリ、と動く。そして。


「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛イャァァァァァァァッ!!!!」


耳をつんざく悲鳴。それを聞いてなお魔導師たちは魔法を実行し続ける。だんだんと青白い光は強くなり、魔属の体は強い光に包まれ、肉眼で見る事が出来なくなる。魔法を行使する者たちは目を(つぶ)りながら一心に思った。


『我々の言う事を聞く新たなる魔王を生み出そう。そして、この世界を支配しよう』と。


いつしか悲鳴は聞こえなくなった。そして、(まぶた)越しに感じられた強い光も感じられなくなった。恐る恐る目を開けると、そこには先程の魔属とは思えない程の変貌を遂げた女が寝ていた。

ふっくらとした体つき、豊満な胸、赤く長い髪、鼻孔を(くすぐ)る甘い香り。そして、背中に生える……


黒い悪魔の翼(・・・・)


シン……と辺りが静まり返る。


「これは……」

「淫魔《エンプーサ》……だと……?」

「我々の組み立てた術式は完璧だったはずだ」

「私が全てを支配する未来は……」

「貴様!そのような事を!」

「お前が何か仕掛けたんだな!」


1人の呟きから段々と怒号に変わっていく。


ジャラ……ガコンッ!


騒然とした場が一転、一つの大きな音によって静まり返る。見れば、今までベッドに寝ていた女……淫魔となった魔属が右手を縛っていた鎖を力ずくで引きちぎった所だった。


ジャラ……ガコンッ!

ジャラ……ガコンッ!

ジャラ……ガコンッ!


左手、右足、左足と順番に壊されていく鎖。魔導師たちはその光景をただ呆然と眺めていた。そして。


「……貴方たちが、私を生み出したの?」


唐突な問い。そして、一瞬の躊躇いの後、若い声が答えた。


「そ、そうだ。我々が貴様を生んだんだ。生みの親の言うこ」

「そう、貴方たちが」


若い声の魔導師の言う事を遮るように声を発する淫魔。そして、冷たい声で一言。


「なら、死になさい(・・・・・)


淫魔はゆっくりと立ち上がる。


ゴシャッ


何かが潰れる音。壁には水を思いっきり叩きつけたような、紅い模様が出来ていた。魔導師たちは一瞬何が起こったのか分からずに呆然としていたが、すぐに感じたむせかえるような血の臭いに我にかえる。すぐさま淫魔を取り抑えようとするが、淫魔の力は到底、魔導師ごときに押さえつけることが出来ない。捕まえようとする度に殴られ、翻弄される。


退()け!『この星に生まれし元素よ、敵を縛る(いばら)となれ』…ソニア・トラップ!」


床から(とげ)のついたツタのようなものが現れ、淫魔を縛る。それを無理やり振り払おうとするが、もがけばもがく程、刺が身体に突き刺さる。淫魔はすぐに動けなくなった。


「この……クソ淫魔が!」


そう吐き捨てた体格のいい魔導師がローブの中から、(かわ)を編んで作られた(むち)を取り出す。(たば)ねていた(ひも)を外すと、力一杯淫魔に打ち付けた。


「ぃっ……あ゛ぁっ!!」


ピシャッという鋭い音がした数瞬後に淫魔の悲鳴。それを何度も繰り返すうち、淫魔の白い肌は裂け血が滲み出す。一方、それを眺める魔導師たちはニヤニヤと笑みを浮かべている。鞭を振るう魔導師に至っては狂喜するような笑みまで浮かべていた。


ピシャッ


「…………」

「あぁ?もう気を失ったのかよ。まぁ、動けないなら荊で縛る必要もないだろ。解いて犯しちまおうぜ」


その声に賛同してわらわらと集まる魔導師たち。荊の魔法が解かれると、淫魔は倒れた。


「そんじゃ、俺からっと……」


そう言うが早いか、服を脱ごうとする。その時。


ドゴンッ!


「これからお楽しみのつもりだったようだけど、お邪魔するよ」


扉を乱暴に開け、侵入して来たのは黒髪黒目で黒い礼服のような物を着た女。手には、白と黒の双剣。自信に満ちた表情をしている。


「あんたらが不穏な動きをしていたのは(わか)っていたが、まさかこんな事をしていたとはねぇ……。きっちり、落とし前着けて貰うよ」


そう言って双剣を構える。


「構うか!こいつも淫魔と同じようにすればいい!」

「『この星に生まれしげ』……」

「遅いよ」


ブシャァッ!


呪文を唱えていた魔導師の(くび)が切り裂かれ、盛大に血が吹き出す。


「『我が内に生まれし憎悪の悪魔よ、血を(もっ)て血を()ぶ弾丸となれ』ブラッディ・バレット!」


女の振るう剣に切り裂かれた魔導師の返り血が触れた瞬間、血が尖った(くさび)のような形になり、飛んでいく。血の弾丸は魔導師たちに突き刺さり、一瞬動きが止まる。女は、その一瞬を逃さない。


シュバッ……バシャッ


淫魔の傍にいた体格のいい魔導師の背後に回り込み、右脇腹を思いっきり切り裂く。その瞬間に溢れ出した大量の血が魔法によって凝固し、楔となって散らばる。剣を戻し、次は左脇腹。溢れ出す大量の血は、大量の弾丸を生み出し、部屋中の魔導師から逃げ場を奪い、生命を刈り取った。

脇腹を二度、大きく切り裂かれた魔導師が絶命し、倒れた後には部屋はシン…と静まりかえる。


「掃除完了だな。さて、あとは……」


女は剣をベッドに突き刺すと、淫魔に上着を着せ、抱えてその場を立ち去った。

ちょっと表現に気合い入れすぎたような気がします……

R15指定が役に立った……

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