変身2
暇なときって、ありますよね?!って思うぐらい忙しい毎日です。
皆さん。息抜きは大事ですよ。
僕が肩からずれ落ちた鞄を無視して突っ立っていると
閉めたはずのドアがガラッと音を出して開いた。
後ろを見ると鷲野先生が立っていた。先生はそのよく分からない組み合わせの光景を3秒程見てから僕に声をかけてきた。
「なぁ、あいつらなにしてんだ…?」
「..................いや、僕に聞かないでくださいよ。」
二人の会話を集中してよく聞くと、古文に分類される物語の話をしているようだ。
「........じゃあさぁ、薫ちゃんは、源氏物語よんだことある?」
「いやないよ。でも、内容はうっすらと知ってる。光源氏が、クズ男だったんだよね。私、こどもながらに呆れたわ。」
「…いや、確かに光源氏はクズ男なんだけどね。でも、光源氏のまっすぐなところと素直な恋心には心惹かれるし、なんてったて、平安時代特有の十二単なんかの美しい装飾品の数々。そして、中宮、彰子の教育係だった紫式部が書いたということだけで光源氏の愚行を忘れられる。」
とこれを早口かつ大きな声でいうものだから、静かにしなければいけないはずの図書室中に響き渡り、薫さんや、鷲野先生、僕までもがポカーンと口を半開きにし、じっと幸崎さんのほうを眺めるかたちとなった。
「あっ……………あ、いや、……………その……、歴女なものでお騒がせしてしまいすみません。……………鷲野先生も、西原君も先ほどのことはなかったことに……。」
やっと僕らに気づいたらしく、最後にそう付け足し鞄を持つとダッシュで駆けだしていった。薫さんというと、幸崎さんの言葉を聞いてやっと、僕たちの存在を認識したようだ。
すると、幸崎さんが走って行った方向を眺めていた先生ぎ視線をこちらに戻し口を開いた。
「……で。なにしてたんだ?」
「見ての通りよ。姫ちゃんと本の交換してるの。さっきのは、聞いていたと思って言ってるんだけど、源氏物語よ。彼女歴女で。たまにああやって暴走しちゃうのよね。…………って海ちゃん。幸崎さん知ってる?」
「いや、うちのクラスなのに知らないわけがないだろう!?俺を何だと思ってんだよ…。先生やってるのに生徒の名前覚えられないのは致命傷だ!それに、学校では海人先生とよべって言ってるのに.......。」
薫さん…、鷲野先生が微妙に可愛そう.....なんだけど.。
漫才かよ。と思った。それより、この二人、僕のこと忘れてないか。
………まさかね…。いくら陰キャでも存在まで忘れられた経験はない。
ふぅ、また暇なときに公開します。