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ハナビシソウを君に  作者: 池りん
1章:変身
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変身1

この投稿が終わったら、しばらく休載します。一気に全て、投稿するつもりです。よろしくお願いします。


さっきの言葉。

口調が変わった。低く、高く....。どう表現すればいいかわからない。でも、すごいことだけは言える。

「まず、グレゴールが、毒虫になってしまったシーンだ。ここで、言語の違いが現れている。

ーーーーーーーー著者であるカフカはドイツの人だ。勿論。原作もドイツ語で書かれている。」

「あの~。何がいいたいんでしょう?」

薫さんがめずらしく鷲野先生に敬語を使い問いかける。

「あと少し聞いておけ。すぐにわかる。ーーーーーーーんで、カフカはなにも毒虫って言ってないんだよ。翻訳者がそう訳しただけなんだ。つまり、"それ”はカフカの中の想像上の生き物だったってことだ。その証拠に当時の本の挿絵には、毒虫すらものっていない、グレゴールの母親が気絶するほど気持ち悪いと思う、醜かったってことだけだ。」

「ってことは、カフカの考えていた生物が毒虫って訳じゃなく、毒虫に形状が似ている別のものつてことですよね。」

「ああそう言うことだ。そこで、カフカが伝えたかったものがあるのではないかと予想される。

変身っていうと、引きこもり、自分では何もできない、って言うことがキーワードだ。それを人に当てはめたときはどうだろうか。人から煙たがられる高齢者だろうか。あるいは、この世に不要だと言われる障がい者だろうか。いずれにせよ、この世に存在して、社会から浮いている存在なのには変わりない。つまり、カフカは遠回しにそういう人たちを救おうとしていたのかもしれないな。存在や、悲しさを伝えるために。……っとまあこれが俺の見解だ。」


………すごい。この場はもう鷲野先生のステージだ。ひどい言い方だと独裁政治である。まるで偉い教授の言葉を聞いているようで変な感じだ。いつもの鷲野先生とは、別人。

鷲野先生のことを誤解していたのかもしれない。

この人は、人をもてあそぶのがうまい。勝負をしていないのに負けたような気分だ。

さすがは先生である。








窓の外の桜が揺れている。少し生えてきた葉と桜によって、木になる桜餅に見えてくる。桜餅食べたいなぁと考えていると、一気に現実にひきもどされた。

「西原さん!この問題答えください!」

社会の授業中だ。先生が書いた少し下手な日本地図を先生が指さしている。

すると、肩を軽く二回ほど叩かれた。見ると隣にいた女子がここというように教科書を指していた。

誰か分からないが、感謝する。

「播磨です。」

正解という声とともに授業が再開する。

ありがとうと小さな声で答えると彼女は下を向いて僕よりも小さな声で答えてくれた。

「いいよ。」

「幸崎さん。しゃべってないで前を向いてください!」

怒られた彼女は慌てて姿勢を正す。

あっそうだ。この子は最近隣の席になった。幸崎 姫さんだ。

キラキラネームのくせに陰キャって......とかクラスのお調子者が言ってたな。そのせいで、友達があまりいないらしい。

そういえば、あまり学校に来ていないとも聞く。不思議な人だな。声がはねるような、軽やかできいていて心地のよい声だった。

僕はさっきの桜を見ながらそう思った。












放課後いつもの廊下を早足でいく。窓から入ってくる風が心地良い。

図書室へ入ると薫さんと幸崎さんがいた。何でこんな所に幸崎さんが?



読んでくださりありがとうございます。感想もよろしくお願いします。

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