体験入部
まさか、部活動紹介にこんな効果があるなんて知らなかった。委員会で少し遅れて図書室へ着いた僕は、いつもは、人の声がしない廊下がざわざわとざわめいていることに驚いた。
見てみると、図書室前に一年生.......ほとんど女子が群がっていた。そして中から、明るい声が響く。
「整理券渡すからこの時間に来てくれる?」
薫さんが一年生が多すぎて収拾がつかなくなったのか整理券を配っていた。その後ろのほうでは幸崎さんが、一年生たちからの質問を受け付けているようだった。
さて、どこから入ろう.......
「あ、あの~、通ってもいい.......かな....?」
恐る恐るそういうと、一年生たちが道を開けてくれる。ありがとうとお礼を小さな声で言った。すると、こちらに気が付いた薫さんが言った。
「ちょっと、凪輝くんも手伝って、だいたい、凪輝くんのせいだからね!こんなに人増えたの!!」
「いや、僕のせいってことはないでしょ...。」
「それがそんなことないんだよね~。」
奥のほうから幸崎さんがいった。
「えっ?」
「それがさぁ。タブレットでここに来た理由を調査したんだけど。................結果がこれ。」
「本に興味があるから。って理由が一番になってるけど..........?」
「そう。これは表向き。学校に提出するやつだから、変なこと書けないでしょ?...............そんで、これがわたしが個人的にとった調査の結果。」
見ると、『先輩がかっこよかったのと、やさしそうだったからです。』『センパイが決めてです。』
などなど似たような内容の理由が多く書かれていた。
「............は??」
「ねっ?言ったでしょ??ちなみに、こんなのもあったよ!『先生が優しそうだったから。』」
「イケメンってすごい.........。」
薫さんが小さな声でそういった。
僕的には、イケメンどうこうはおいといて、軽く30人はいそうな1年生たちに、どんな部活動の内容をするのかというところのほうが問題だった。
「あのたくさんの一年生たちどうするの?」
「とりあえず、本部についての活動を知ってもらってから、人狼とか、探偵ごっこでもしようかなって、思ってる。」
「人狼は、究極どうとでもなるけど、探偵ゲームを考えるのって誰がするの?」
あんなに来るとは思っていなかったので、本来、違うことをしようと思っていたのだ。急すぎる。
「そりゃぁ、海ちゃんがどうにかしてくれるでしょ!!...早くしないとこの人数さばけないわよ。」
「...」
相変わらず、人使いの粗い薫さんに対し、苦笑いした。