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ハナビシソウを君に  作者: 池りん
1章:変身
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舞い込んだ部活動紹介ムービー1

『まだらの紐』を読み始めて10分程度たった後だろうか。二人分の足音と声が響いた。誰かまではよくわからないが、男と女の声が聞こえる。人気のない図書室に続く廊下だから一人はたぶん鷲野先生だろう。

..........けど、もう一人は誰だろう。







本から目を離し廊下の方を見ていることを不思議に思ったのか、薫さんも読んでいた本から顔を上げ、ジッと僕と同じ方向を見ていた。その音は少しずつ近づいてきた。

そして―――――――――――――――――――――――

ガラっと図書室の戸が開き、鷲野先生と幸崎さんが顔を見せた。幸崎さんがこう連続で本部に足を運ぶことは珍しく薫さんが驚くように声をあげた。

「姫ちゃん!?またまたどうしたの?いつでも来てもいいとは言ったけど。」

「薫ちゃん。落ち着いて。...................実は本部に正式に入部したの。さっき。」

「えっ、ほんと?入ってくれてありがとう!廃部の危機だったから助かったよ~。」

「お礼いうのはおかしいでしょ。アハハッ、クク......コホン。......本部にはもともと興味があったんだよ。文豪の作品を読めるテンションあがる。それに......顧問の先生、鷲野先生だから面白そうだし、というか、何かがおこる予感しかしないじゃん!!!!!」

奇妙な笑い方をしたあと、付け足すように言った。よかった..........、

あれ.........ん?ていうかこの部活3年生しかいないから廃部の危機回避とは言えないんじゃないか......?

「あのさ今は危機的状況じゃないけどさ。この部活今年の一年生一人でも入らないと廃部だよね?..........僕ら、三年だし。」

「「あっ.....。」」

いまさら気づいたように幸崎さんと薫さんが同時に声を上げた。するとさっきまで黙っていた鷲野先生が口をはさんだ。

「そのことだが、凪輝の言う通り今回の一年生を入部を一人でも入れないと廃部だ。それでだ。あとちょっとで一年生の仮入部期間だろ?そんで各部活動で紹介ムービーを作ることになったんだ。それも今日。」

「なるほど。...........で、ムービーは何分とるんですか?」

「5分程度で、編集なし。ただでさえブラックな職業だからな。教師ってのは。....教師の負担を減らしたい魂胆だろう。あっ、この後、担当の先生来る予定だから。内容さっさと決めちゃえよ。」


「了解です。..........で二人とも内容はどうする?」

部長なので、薫さんが僕らに問いかけた。

「本部ってほかの学校にはないもんなぁ~。ってか本読むだけです。ってなちゃうんじゃない?」

「そうはいっても、この部活、本読んで感想言うだけだもんね。」

カチカチと時計の音がした。5分程度考えたが、結局いい案は浮かばなかった。すると、

「思いつかなかった時ように、内容考えてきた。」

と鷲野先生が不敵な笑みを浮かべつつ、台本と達筆な字で書かれている冊子を渡してきた。

今考えれば、あれを受け取ってはいけなかった。


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