職人ネタ
二人「どうも」
ボケ「お腹減りましたね」
ツッコミ「今何食べたい?」
ボケ「何だろう?カレーとか」
ツッコミ「いいね。実は私ね、お店の人と会話しながら食べるの好きなんですよ。話しながら食べるともっとおいしくなるから」
ボケ「え?マジ。ファミレスの店員とハンバーグの話して盛り上がれるか」
ツッコミ「いや、ファミレスじゃなくてね、寿司屋とかね、カウンターがある店よ」
ボケ「ああ、そういうところか。ちょっとやってみましょう。私、寿司屋の大将ね」
ツッコミ「あ、いいよ。じゃ私 客ね」
ツッコミ「どうも~」
ボケ、寿司を握る動作をしながら
「へい、らっしゃい!座ってください」
ツッコミ「おお、いいね。大将。じゃあそうしますか、今日は何がある?」
ボケ「いろいろありますよ。新鮮なのが」
ツッコミ「じゃあ大将のおススメの ください」
ボケ「お、いいですね。わかりました…じゃあ、この白身から」
握って、カウンターに寿司を置く動作
ツッコミ、それを持って食べる動作して
「うまい!大将。この白身、何て名前です?うまいなあ」
ボケ「お。いけますね、お客さん。なめくじという魚ですよ」
ツッコミ「ぶわぁーっ!!まずい!」
ボケ「なんで?今うまいって言ったでしょうが」
ツッコミ「そんな白身ないよ!」
ボケ「庭でとれたてのやつなんですよ」
ツッコミ「言い訳するところはそこじゃない!」
ボケ「んだよー」
ツッコミ「他にないの?」
ボケ「じゃあ、これどうぞ。えんがわです」
ツッコミ「あ。いいね!…お、コリコリしてうまいぞ!」
ボケ「家の庭に面した我が家の縁側ね」
ツッコミ「ぶわぁーっ!!まずい!何か口の中で ささくれ立ってる!!あんた馬鹿なのかー!!」
ボケ「なんで?今コリコリしててうまいって言ったでしょうが!ヒノキ造りの縁側ですよ。そこを千切りにして――」
ツッコミ「――それ、かたい!口の中切っちゃったよ!」
ボケ、うんざりした様子で
「じゃあお客さんは何食べたいの。もしかしゲテモノ?」
ツッコミ「あんたが今まで出した物がそうでしょうよ!他にちゃんとしたのはないの?トロとかさ」
ボケ、むっとして
「ありますよ。それなら先に言ってくださいよ。はい、二つどうぞ」
ツッコミ、うれしそうに手に取る動作をして
「え?二つ?うれしいな。へー、これ、きれいな赤だねー」
ボケ「赤?茶色ですよ」
ツッコミ「え?じゃあウニ?」
ボケ「違いますよ。うちの池の底でとれたヘドロでしょ。大きい泥と中くらいの泥がシャリにのってます」
ツッコミ「汚いな!何で泥ののった寿司なんか二つも食べなきゃいけないんだよ!」
ボケ「それは大泥と中泥が――」
ツッコミ「――詳しく説明しなくていいんだよ!あんたと話してると食欲がなくなる!」
ボケ、不満気な口調で
「いや…お客さん、前に店の人と話すと料理がおいしくなると言ってたから」
ツッコミ「この店はならない!おかしくなるよ!」
ボケ「前に店員とハンバーグの話して盛り上がったとか言ってたから、ここでも盛り上がればいいのに」
ツッコミ「言ってない!だいたい盛り上がれないよ!」
ボケ「感心したり、共感すればいいじゃん!楽しい会話の基本でしょ。「へぇ~、池でとれた泥ですか~」とか言ってさ」
ツッコミ「感心できないの!共感できないの!」
ボケ「だって、みんなうちの庭でとれた新鮮なものばかりですよ?」
ツッコミ「庭でとれたってのがおかしいの!寿司は海でとるもん!」
ボケ、下を向いて暗い声で
「いや。緊急事態宣言で家で自粛してたものだから、外に出られなかったんですよ…」
ツッコミ「あ…そうなんだ。それは…大変だったね」
ボケ、泣き声で
「だから庭でとってたんですよ~。それが何ですか~、あなたは~!さっきから~!今は漁に出れないんですよぉぉ~っ!!」
ツッコミ「そうか…わ、悪かったね…」
ボケ、顔を真顔に戻して、握ってはカウンターに並べていく動作
「じゃあ、これ食べていってくださいよ」
ツッコミ「何かすごい数並べてるけど、これ何?」
ボケ「ミニカーです」
ツッコミ「口の中に入れたくない!俺は二歳児かよ!」
ボケ、泣き声で
「だって、家にあるもので食材をそろえるしかないじゃないですか~!何なんですか、もお~!あなたは~!漁に出れないんですよ~!」
ツッコミ「わかった…わかりましたよ」
ボケ「じゃあ食べてって!」
ツッコミ「え…マジ?だって、ミニカーでしょ。だいたい、これ何よ」
ボケ「ポルシェ。握るのが一番はやかったから」
ツッコミ「じゃあ、これは?」
ボケ「バキュームカー。今朝 池の泥をすくったやつです」
ツッコミ「汚いな!じゃ、これは?」
ボケ「イカー」
ツッコミ「イカでしょ!ダジャレじゃん!もういいよ!」
(完)