02-01 世界の危機
02-01 世界の危機 『ヒミツキチ』 正面玄関 夕焼けの光の中。
「大事な事だから、もう一度言うよ。
コヨミちゃん、どいて、そいつを、殺せないから!」
ルラの声に殺気が強まる。
振り返ると、ルラは銀色の槍を静かに構えていた。
額の両角は刀のように真っ直ぐ前にのばして、
目のも肌も額の石も、真っ赤な攻撃色にして、
ああ、ルラは殺意は本気だな、
そんな事を思いながら。
「お、鬼?
化け物なのか?」
少年は、疲れと恐怖から立てないでいるようだ。
だから、
自分は…、
ルラに向かって、一歩目を踏み出す。
背中に少年を背に隠して。
「コヨミちゃん、だからどいてって!」
ルラに向かって、二歩目で駆け出す。
ルラの目を見て、どう動くか見極めながら。
「それは、殺さなくちゃいけないの!」
ルラに向かって、三歩目で加速する。
ルラの殺意を確信しながら。
「コヨミちゃん!」
ルラに向かって、四歩目で跳躍する。
このまま殺されてうのかなって、そんな思いも、まあ、いっかと思いながら。
「コヨミちゃん、止まって!」
ルラに向かって、五歩目で捕まえる。
ドスンと体当たりする音と、ルラを抱きしめる感触。
「コヨミちゃん?」
「ルラ・カンパネルラ、捕まえた、あとはヲリヱだけよね」
「コヨミちゃん、危ないよ、もう、僕、ケガするかと思った」
うん、痛みはない、自分もルラもケガはない。
あー良かった。
「ゴメンね。
けど、鬼ごっこに勝った時の自分のお願いはね。
この少年を、ルラが殺さないで欲しいの。
私、
人が死ぬのって嫌いよ。
大嫌いよ。
私の世界でも、人が死ぬし、見た事もあるよ。
…。
大切な人のもね。
わかっては、…いるつもり。
けど。
本当に、大っ嫌いなの。
ゴメンね」
「…
ちょっとだけ」
「うん?」
「ちょっとだけ、だからね」
「うん、わかった。
ちょっとだけ
だけど、まだ、殺しちゃだめだよ。
かわりに、自分、しっかり、ちゃんと、勇者になってあげるからね」
「うん、だから、そこの君は逃げない、じゃないと、もう助からないぞ♪
今は殺さないからね、ちょっとだけだけど。
うん、今、僕が、君を、殺すと、コヨミちゃんの、傷になっちゃうしね、どうしよっか。
傷になっちゃたら…、…なっちゃうたら本当に困る。どないしょう僕困る」
ルラの左手には、いつのまにか少年の腹に繋がる銀の綱を握っていた。
今のルラは、目も肌も額の石も、黄色基調の警戒色、
額の両角は上向けで、機動戦士の隊長機のようだ。
「なんだこれ? 解きやがれ! 俺が何したっていうんだ!」
「もう逃げられないぞ♪
あと、手錠や足輪だと犯罪者みたいでしょ、首輪や悟空金環だと、人権的にも、難局条約でも、大問題だし。
死ぬまでは、僕と付き合って下さいね、お願いしますます」
「うぇ? なんだそれ?」
本気で言ってるんだろうけど、軸がブレまくってるルラの言葉に困惑する少年。
ルラの衣装もパジャマみたいな衣装、あっ囚人服かな?
これだと、どっちが捕まってるかわかんないかも。
そんな中で、
こっちの騒動に関係なく、
トタタタタタ、っと、階段駆けおりる音がする。
『ヒミツキチ』の奥から保母さん妖精ヰるかなヱと、もふもふ竜キヲンを従えたヲリヱが、こっちに突っ込んで来る。
トタトタとした足音と、泣き顔こらえながらの突撃に、自分は全て捨てた。
「鬼ごっこで放って置かれた子にはね」
言い分けは、全部捨てた。
「ヲリヱちゃん止まって止まって~危ないから」
泣いてる子は、そんな事では止まれないよね。
「よーし、おーでー♪」
ヲリヱを両手を開いて待ち構える。
「ハブミーベイビーなコヨミちゃん。
とうほうに、抱擁の用意あり、あり~♪」
『ヒミツキチ』の正面玄関内で三人で組み合ったまま、自分は宣言する。
夕日は、まだ落ちてないし、正面の丘に向かってるのを、抱き合ったまま確認して。
「ヲリヱ、つかま~えた♪
これで自分の勝ち。
ヲリヱを仲間外れしたんじゃないけど、ごめんね。
ルラ、お願いは言ったとおり、この少年を、まだ、殺さないこと、みんなも、お願いね。
でも、この少年を殺す必要は何?
自分、今は、何にも、わかんないよ」
素人で、子供で、異世界人な自分にはね。
今は解らないけど、理由も意味も解らずに、誰かを殺すの子達じゃないと思うからb。
「お前も、俺を、殺す気なのかか?」
少年は、なんとかルラの腹の輪っか解こうと四苦八苦している。
「君と困ってあげるといったけど、自分が異世界転生じみた困った状態だし、
あたし、貴族の娘さんらしく、自分の守るべきものを守りたいし。
ルラは、理由もなく、そんなことする子じゃないから。
えっと、理由があったら殺すから、ごめんね。
それで、なんで、この少年殺すのかな?
ルラ」
「その少年が、危険を冒すものだからだよ」
「危険を冒すもの?
この国の?
危険って、この国、日本なんかと戦争でもしてたの?」
そんな情報は、あたしにはないけど。
「ちがうよ、この国もだけど『世界を危険を冒す』ものだよ、その少年は」
「世界を危険を冒す?」
「?」
泣き止んだヲリヱも、わけがわからずキョロキョロしていた。
…
………
……
「だから今、世界の危険なんだよ」
「なんでだよ!」
解くのを諦めた少年が、肩で息しながら聞いてきた。
「まずバイオハザード。
どんな病気持ってるかわからないのに、この国に検疫通らず来たんだよ、この少年君」
「あっそれホントだよね、君」
「そんなこと俺が知るかよ」
「現代日本人なら大腸菌と虫歯菌や抗生物質耐性菌はもってるよ、白癬菌や納豆菌も」
「そんなもの、俺がほんとに知るか、不可抗力だ」
「インカ帝国は、スペイン人の持ち込んだ天然痘で全滅したの知ってるでしょ。戦力の30%以上で全滅判定だけど、インカ住民の60%以上だよ。抵抗力ないと病気で死ぬの。
この世界で大量死が起りうるのから、君を殺して、燃やして、熱処理して、汚物を消毒するの」
「ああ、普通に、割と普通に危ないね」
納得対応だ。
「あと文化汚染、犯罪や戦争や反道徳を娯楽にする文化・嗜好あるし、
『魔女に与える鉄槌』や『シオン賢者の議定書』みたいなベストセラー、こちらで盗作されて大流行らされれたら大参事の大後悔の大問題だし」
「なんだよ、それ!」
確か魔女裁判と ユダヤ人へのホロコーストを引き起こした本だよね。
「戦時中の王政軍事国家のこの国に、自由資本主義を持ち込まれても困るだけじゃすまないでしょ。
絶対制と即応性が無くなったら積ンじゃうんだし」
「なんだソレ、そんなこと、俺が出来るかよ」
「ああ、でも、あたし達の国って、どっかと戦争中なんだよね」
「鎖国じみに経済圏ほぼ閉じてるのに、妙な発明品や商品流行らされたら流通も死ぬしね」
「だから俺に出来るか」
「うん、この少年は、…そこまでのこと出来なさそうかな?」
頭が良い…とは見えないけど、この少年の思い付きへの対処は必要かも?
「あと、知ってるでしょ、異世界転移モノで、良かれと思って、主人公だけのモラルに従って、世界を死ッチャか滅ッチャか無茶苦茶にする話」
「なんだそれ?」
「フェクションだよね、それ」
少年君は、そこまで考えてないようだし。
「この状況、この現実、この世界、フェクションと、どう違うのん? コヨミちゃん。
ハーレム主人公ぢからで、一目惚れ精神疾患増発する汚染源になるのも困る。
さっきも、コヨミちゃん汚染させられたかと思た。
ミーム汚染されて、メアリースーな主人公特約で、みんなが君以下の力しか出せなくなったら、世界が滅ぶ、滅する、死に絶える。
君が正義の味方で、君にしか殺せないような悪物を生成されたら、君がその悪物を殺すまでどれだけ人が犠牲もなるのやらやらやら」
解ってない様子の少年に色々説明するルラ。
自分も良く解かってないけど。
「俺が、そんなわけのわからん正義の味方なわけないだろ」
けど物語って、冷たい方程式なとこあるよね。
そして、フェクションを可能性として想定してる?
この魔法のある世界フェクション程度は、まだ分からないけど、正しいのかな?
「それに君、君。
そもそもビザなしの不法入国の密入国者、この国に日本の大使館も領事館もないし、この国は国連加盟国じゃないから、君に人権なしなし。
ここらあたりコヨミちゃんのお父さんが管理してるとこだから普通に不法侵入者だよ、君」
「あー、まぁ、そう、なるよね」
ものすごく正しい理由。
「だから、俺に何が出来るっていうんだ」
「大切な人が、国籍のなしなテロりすとかもな人と一緒にいるって言ってるの。
だから、君の人格や人権の考慮は一切なっしんぐ。
君が令和人、平成べいび~、昭和百年、大正大将、明治迷子でも、ノー関係。
いっそ人間に化けてた、この世のナニかだったらマシだったけど、君は異世界少年君は違うでしょ。
だから捕虜以下、外来生物扱いだから、殺処分して問題なんもなしなし」
「あっ、悪夢だ…」
「この世界は、異世界人さま接待用の媚びた世界じゃないってこと。
善悪じゃなく、こっちの正義で法だから遠慮も何もないこと、
それ、まず、理解して、お願いしますます」
この世界の正義…に、なるよね、やっぱり、けど。
「ルラって異世界もの嫌いなの? 異世界から来た何かに家族や恋人が殺されたの?」
「そんなことないけど、現在進行形で、僕の大切なコヨミちゃん達の命が危険かもだよ。
見てるぶんにはおもろいと思うけど現実問題進行中だと最大級の傍迷惑でしかないよ、
フェクションだったら良かったんだけどね~」
…
………
……
話についていけないヲリヱは、教師妖精ヰるかなヱと兎さんキヲンに、どこからか出した黒板の前で勉強? してもらってる。
…頼りないけど順応性は高いのよねヲリエは。
「でも、転生者の私は、この場合どうなるんだろ?」
「? コヨミちゃんはコヨミちゃんだよ?」
? なんなんだろ自分。
「そう?
とりあえず、この少年の話を聞こうよルラ。
話が進めるためにね。
あっ、キミもお腹空いてるよね、携帯食だけど、これは食べれるよね、あと水も…」
「ストップ、コヨミちゃん、手渡しはダメ。
10っ歩、10フィート、3メートル以内に近づいちゃダメ、ばい菌うつるから」
「ひっどい言われようだな」
「検疫済んでないから、危険が危ないの、僕、手渡すから、そこんとこに置いて」
「けど、ルラは、大丈夫なのかな?」
「えっと、えっと、うーん、うん」
何か言いかけたルラは、結局は何も言わずに、コップと食べ物を拾ったあと、少年にそれを手渡した。
「うん、死ぬのが少ないほうが、まだ悪くないよね。
僕、人間じゃないし」
ルラは、これでも。
いろいろ本気のようだ。
まあ、そこまで考えてないような件の少年は。
「硬いなコレ、黒パンってのか?」
「エンバスとお米は良く噛んで食べるモノだよ、あと胃が受けつけないから、水もゆっくり含んで飲むの。
それと、これも食べるのだ」
なんか甲斐甲斐しいな。
「何だ、この甘じょっぱいモチみたいの?」
たぶん、それがたぶんスライム…黙ってよ、害無いし。
「じゃあ少年君。
君には黙秘権はあっても関係なし。
ついでに供述は、法廷で君に不利な証拠として用いられる事はなし、この国に法廷なし。
君には、弁護士を呼ぶ権利があっても弁護士いなから、それも関係なし。
君に、弁護士を依頼する経済力も当然なし、公選弁護人を付けてもらう権利があっても、この国にいるわけがなし。
で、
君は何しに来たん? この国」
ミランダ法が機能しないのね、この国、初めて知った。
「あっ悪夢だ。
…
あ~俺の名は…」
「ストップ、少年君。
君の名は、
聞けるか、聞けない、聞かない~って、君殺した時に、僕達もっと悲しくなるでしょ、
そんな個人情報、君の両親が君のためだけに付けてくれた、君の為だけの大事な名前。
だから、命名:少年君、以上、終わり」
「あのな…」
「少年君、君はいつから、この国に来たん?」
尋問役はルラに任せてよう。
やり過ぎた時にカツ丼を出すのが自分の役で、ヲリヱは泣き落とし役に待機っと。
「……三日前の夜だよ、日が登ったのが3回っていうんならな」
「ご協力に感謝多謝、どこに、どこから、どこどこして、だれと、なにそれと来たん?」
「気が付いたら、バカ高い木の森の中に、一人でバカみたく突っ立てたかな」
「あ、ゴブリンさん達が、森が騒がしいと言ってた頃だね」
「何だそれ」
「君のせいかもしれないことで、僕達が遠回りする事になったというだけだよ。
じゃ、どうやって?」
「わかんねぇよ、気が付いたら、森の中だったんだよ」
「その場所には何かあったりは?」
「探したけど何にもなかった」
「変な魔法陣ふんだりは? 教室の扉が転移門だったりは? 洋服ダンスにゴンって向う側へ行ったとか」
「知らないって、…学校に行ってた最中じゃない気がする」
「転移とかじゃないのかな? 異世界トラックに引かれたり、病気やイジメを苦に自殺とかは?
ブラック企業に勤めてたけど、もう、こんなの死ぬしかないじゃない、とかは?」
「しねえぞ、そんなこと。
けど…。
…死んだ気はない。
…うん。
ない」
「あ、私と同じね」
「たぶん違うよ、コヨミちゃんとは」
「なんで俺、小学生ぐらいのガキに問い詰めらてるんだ?」
「僕、人間じゃないし。
この世界は、君の異世界だから、それで、おっけー。
じゃあ、へんなノート拾ったとか、異世界転移能力に目覚めたヴぁぐらんつとか、実は現代魔法使いとか、超脳能力者だったとか、タイムトラベラー的な子だったりは?」
「俺、中二病じゃねえぞ」
「それは怪しい、見た目、言動、匂いから、確実に、あの子と同族感がある、隠してても。
で、ネットで変な自称神様からソウトをダウンロードして チート能力と一緒に異世界転生したとかは?」
「ねえよ、どこのラノベだよ」
尋問は続く、けど進展はしない、そのうちに今日の夕日が落ちていく。
…
………
……
遺跡の門の上、衛兵宿舎のバルコニーに移って話し合いを続ける。
メイド妖精キヲンがセットした、テーブル上にはお茶とお茶菓子のセット。
少年君は、ルラと胴輪で繋がれたまま、離れた席での話し合い。
ヲリヱは遊び疲れたのか、うつらうつらしているし。
「うん、わからん、保留」
「コヨミちゃんに同意ドゥ~ィドゥィドィ♪」
「だあ、俺が、無駄に、疲れただけなのか?」
「君が、こんな見ため子供達の相手でも真面目に相手してくれる子なのは、良く解ったかな?
ありがとう少年君。
まあ、纏めると、君の現状として、
あの日あの時のあの場所、
三日前、夜に、あの森林のあの場所に、急に現れた。
理由や、その前後の記憶は無し、または曖昧。
こっちに来たあと、ゴブリンさん達やエルフさん達を避けながら森の中をさ迷った。
ゴブリンさん達やエルフさん達に助けてもらえば良かったのに」
「たぶん今と同じ状態になったよ、こういった場合だと、
他の異世界の子だったら、異世界ノベル風の対応だったんだけど」
「そうなるの? ルラ。
森を、なんとか出て、何も考えずに目印に見えたあの木も目指して歩いて来て。
この『ヒミツキチ』を見つけて、ここに来た。
うん、
えと、
わからん」
「その『ヒミツキチ』って何だ」
「この場所の名前だよ、命名ヲリヱちゃん」
「ガキの遊び場かよ」
「そうなんだけどね。
まぁ、わからない事が、わかったけど。
さて、少年君をどうしようか?
対処できることはしないとね」
「じゃあ、じゃあ、じゃあ、
みんなのすることーっは? っは? っは?
少年君と接触した僕達は、二次感染防ぐため完全に隔離、病気の発症確認のためまず一週間、それ以上はっと、いろいろ持たないし、潜伏期間それ以上とかは考えない、知っちゃこっちゃなっちゃないないない。
隔離場所は、空気感染にも考えて完全密封できる、この『ヒミツキチ』。
ヰるかなヱは僕達の籠城準備して、終わったら周辺の調査ね、第一目標は汚染の発見・除去、第二目標は異世界ゲート等の発見・確保・報告・危険なら即時破壊。
キヲンは、少年君がついてた異物燃やして、その次は周辺の燃やして、外連味もつけて、あと調査もお願い。
コヨミちゃんは、お父さんに、手紙書いて、この状況の説明と協力要請。
ヲリヱちゃんは、色々がんばれガンバレ。
って、あと天使さんに、このことの報告をお願いプリーズ。
以上、したっぱー・ルラからの直訴ですです。
で、少年君は、僕の捕虜」
「なんでだよ」
「わかった」と、
自分は返事とともに即行動、この程度いつものことだし、
ルラの思考速度早いしね、たまに、あとで大問題になることあるけど。
「ハイナ」と、ヲリヱが妙な返事をし。
そして。防災ヘルメット妖精ヰるかなヱが、慌てたように飛び回り。
「キヲンお願い、異世界名物、浄化の魔術、クリーニングサンダー!」
-キィ-
っと、キヲンが、共鳴音を出した後、口から雷撃状のブレスをだすと、その稲妻が、みんな全員を包み込む。
少年君が触ったところで、熱もなく暫く燃えたあと、直ぐ消えていく。
「わー、なんだこれ、燃えてるのに熱くない」
少年君も全身燃えていたけど、熱は感じてないようだ。
「異世界名物、汚物は消毒だー♪ てな、お手軽浄化魔術」
そんな少年君を放って置いて、みんな返事のあとは即行動。
自分のすること、お父さんへと、こっちの世界の文字で書いた手紙の概要は…、
「えっと、
お使いの途中で、この『ヒミツキチ』に寄り道しまして、
そして、私、異世界転生しました、
そして、異世界転移者の少年君を保護しました、
…。
自分で書いてて正気を疑う内容だよね」
「大丈夫、コヨミちゃんはルラの友達だよ、
お父さんならいろいろ察してくれるくれる」
「クレルー」
「そうかもだけどね。
うーん、
じゃあ、ヰるかなヱこれお願い」
郵便屋さん妖精が、書いたばかりの手紙を受け取り敬礼すると『ヒミツキチ』から飛んで行く。
ベランダから外を見ると、少年君が歩いた跡らしき場所で炎が上がっている。
キヲンが燃やしているのだろうか、飛び火とかはしてない。
「あいつらは、いいのか? 出回ってて」
「妖精や竜だからね、病気も何にもない♪ んだよ」
「だったらなんなんだよ?」
「お化けなのかな?
竜と妖精って、お化けなモンスターだし」
「っでっでっで、僕達の『ヒミツキチ』が、ダンジョンな地下牢獄になっちゃうね」
「しばらくは自主軟禁生活を楽しもうね、みんな」
「ヒキコモリ?」
「うん、嵐の時や雪籠りみたくね。
じゃあ、がんばって、引きこもろー」
「こもろー♪」
「コロモー」
話について行けず、ぼーぜんとしている少年君に話しかける。
「君は、巻き込まれただけの被害者かもだけどね、
同時に、世界の災害及の加害者になりえるから、
だから、悪いけど自分達に付きあってもらうね。
子どもの遊びに見える事にでも、
自分達と一緒にして貰えてたら、
お父さん達に悪くない様に言えるから。
まず、お願い、お付き合い、下さいね」
「……ああ、
わかったよ」
「うん、ありがとう。
ルラー、ヲリヱ、行こう」
「うん、あっ、そだそだ」
ルラがベランダから乗り出して『ヒミツキチ』に呼びかける。
「じゃ、僕達が入ったら扉しめてね、そして一週間、誰も出入りさせぬよう、この世界を守るために」
前も、そうやって扉の開閉してたのかな? 音声入力?
そして『ヒミツキチ』の扉は閉まり…
………
……
…
そして、自分達は、
何の実感もないままだけど、
世界の危機との戦いを始めました。