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01-05 ヒミツキチ

01-05 ヒミツキチ 剣の王国 遺跡の前庭 午前の光の中


 

 みんなの目の前に遺跡の扉がある。

 大木の丘から見たときは、感じなかったけど、城の門みたいな巨大な扉。

 扉の両横には、門にいたのと同じ石像が立っている。


「こっちにも門番さんな石像さん」

「おっじゃまして、いまーす♪」

「シテイマス」

「そして、重厚で人力では、絶対に開きそうにない遺跡の扉。

 鍵が掛ってなくても重量的な問題で無理そうかな。

 うーん、ここまで来て帰るだけは勿体無いしね、どうしよっか?」


「ヲリヱ隊長、ひらけごま、おーぷんセイさみー」

 ルラが促すと、ヲリヱが大きな声で扉に呼びかけた。

「こっよみチャーン、アッソ、ビッマ、ショッ」

「ハーァーイ♪」

 って、ヲリヱに何を言わすかな。

 この言葉は、家の前でルラがよく叫ぶもんだから、憶えちゃってたか。

 私もそれに素で応えちゃってけど

 そんな感慨を抱いていると。


 フォンっと、軽い音と微発行して、正面の扉が左右にスライドする。

 その奥にもあった扉も、開いて行くのが見えた。


「絶対に開きそうにない扉…。

 ルラ、何かやった?」

「かむカムあばかむ? いつもどおり色々やっているよ僕」

「そうよね、ルラは、いつもやらかしてるよね」

「シュッパーツ」

「ストップ、止まってヲリヱ隊長。

 冒険者なら懸ける命の重さだけ慎重にね。

 まず順番、隊列決めておかないと、こっからは気を引き締めて行こう。

 おっかな、びっくり、そろそろとね」

「お化けやしきもフインキ? 雰囲気 大事大切」

「オー♪」

 −キィ−

 サファリ探検隊妖精なヰるかなヱも最敬礼した。


「みんなの了承得られたから、ヲリヱ隊長は真ん中で構えててね。

 先頭は自分で、ヰるかなヱがヲリヱ隊長の上空で全体の監視、キヲンが後方上空でシンガリと後方警戒つとめて」

 …廃屋や学校の旧校舎じゃないけど危険や見ちゃいけないものは自分が先に見つけないとね。


「ルラは好きにしててね。

 約束の中で最大限にふざけるし。

 けど、匍匐前進とか急にしないように、ひとこと言ってから」

「じゃあヲリエちゃんの横にいよう。

 すたんど、ばい、みーな、スティーヴン王、いないかな?」

 死体探しやホラー展観になったら、直ぐに皆を逃がさないとね。


 歩く子と、飛んでる子で、それぞれ斜め並んで隊列完成。

 必ず自分で、周囲の目視確認。

 そして、ヲリヱ隊長の号令。

「シュッパツー」


 開いた扉の向うは正面の玄関の広間。

 その向こうにも開いた扉、その先もずっと続いている。

 玄関ホールかな、広い空間になってるみたい。

 その突き当りの階段までは、ここからでも見えている。

「では、おじゃましてます」

「シテマス」

「おじゃまし、ますます♪」

 −キィ−

 セールスウーマン妖精なヰるかなヱもペコペコ。


 正面玄関をすすんで開けた扉をとおる。

 足元はバリアフリー、継ぎ目もないような。

 壁も扉もかなり厚い、壁はかなり厚い。

 中も外と同じ貝殻ぽいセラミック材質感。


「外との温度差があると思ったんだけど、そんなでもない?

 でも空気感違うから、外と繋がってない?

 わからん」


 玄関を通ると一気に視界が開ける。

 天井が高い玄関ホールかな、体育館みたいに広い。

 光源がどこかにあるのだろうか?

 間接照明みたい、明るくはないけど問題はない。

 その先に半円の舞台な場所、なんか劇場みたい。

 舞台の先は、ずっと続く階段になっている。

 神社とかの石階段みたい。


「では、もう一度、大きな声で。

 みんなで、ここに遊びに来ました、おじゃましてます」

「シテマス、シテマス♪」

「挨拶は大事、何度でも、おじゃまし、ますますますますますます」

 −キィ−

 土下座妖精は、流石にやりすぎだと思う。


 退路を確保した状態で、大声での挨拶と、一礼。

 反応確認の為に待機。

 皆の声の反響が心地良く響く。

 その多重反響を解るだけでも分析する。

 人や動く物の気配もない、空気も淀んでいない、危険は感じない。


「しーん」

「シーン」

「…うん、大丈夫みたい、かな?」

「ススモー♪」

「みんな足拭いて、ドロ汚れ落してからだよ」

 −キィ−

 メイド妖精は、後方モップ掃除中。

 うん、そんな子なんだね。


 何もない玄関ホールを進んで、その先の舞台上にあがり階段にすすむ。

 ほこりも落ちてない。

 あたしの屋敷の構造に似たものあるけど、階段が長いな。

 その先に何があるのだろう?

「階段上がってて思ったけど、変な階段ね」

「13段目増えてたコヨミちゃん?」

「それは学校の怪談。

 …あっそうか、小学校の階段みたく、お子さまの自分でも登りやすいんだ。

 段が低めなのかな、踊り場も多いし。

 って、踊りなルラ、危ない」


 中央階段の上は、また通路。

 今度はアーチ状の天上で、壁や天井の装飾が少し豪華。

「到着。

 高さ建物4階分かな?

 みんなも元気。

 さて、この少し行った通路の先に、部屋があるね。

 たぶん後円の真ん中あたりの石室のある場所」

「コヨミちゃんは、変な事に詳しいね」

「部活で近所の歴史遺物は回ったからね。

 そう言ったのにも行った事あるよ。

 そして、あそこが目的地かな?」

「イベントなんもなしで、ついちゃいそう」

「そんなものかもだけど、でも、油断は大敵、安全第一」

「御安全に?」

「ゴアンゼンニ♪」


 通路のその先には、少し広い丸い部屋に出た。

 中央に丸い台があり、その中央に誰も座っていない石の椅子が、こちらを出迎えるように、入口に向かって設置してある。

「オジャマシマス?」

「中には誰もいませんよ、ヲリヱ隊長」 

「なにか、プラネタリウムみたいな丸い天上の部屋ね。

 中央には、投影機の代わりに椅子があるだけ。

 王の椅子なのかな?

 棺や装飾品でもあるかと思ったけど、何にもないね。

 行き止まりなのかな」

「椅子の後ろに隠し階段があるやも」

「ゲームであったね、そんなの。

 アニメとかだと、あの椅子に座ると遺跡が目覚めて、壁が投射スクリーンになって周囲を写すのよね」

「コヨミちゃん、アニメ大好き?」

「家で弟にと、部活の皆とで、徹夜でアニメ品評させられてるよ。

 うん、安全みたいだから」

「だねだね、ヲリヱ隊長、王座にゴー」

「オー」


 ちょこんと、可愛く座るヲリヱ。

 そして、静かなままの遺跡。

「なんの疑いもなく座るよね。

 まあ、何も起こらなかったけど、ほんとに何のための遺跡なんだろう?

 完成前に放棄されたのかな?

 外には、ストーンヘンジみたいの以外は目立ったのないみたいだし…、

 わからん」

「ここは僕たちの『ヒミツキチ』だよ」

「ヒミツキチ〜♪」

「うん、そうだね。

 じゃあ、もっと『ヒミツキチ』の中、探検して行こう」




 そして、自分達は『ヒミツキチ』を探検をしていきます。


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