これまでのあらすじ兼次回予告:
父親は後の太政大臣、姉は帝の妃、摂関家嫡男、帝のおぼえめでたき右近の少将、容姿端麗にして雅な歌と美しい妻を一途に愛するチート級平安スパダリ、藤原道頼。
しかし彼は――メチャメチャ性格が悪かったのです!!
「少し早う、恐ろしきものに世に思はれたまへれど、実の御心は、いとなつかしう、のどかになむおはしける」
(気が短く恐ろしい方だと世間では思われていたが本当のところ皆にとても慕われる穏やかな方ですよ)
↑性格が悪くなりすぎて後から慌ててフォローしたんじゃないかと言われている文。
虐待されていたとか暗い過去があるとか深い理由は特にない、ただただ思いついたことは何でもやってしまう天然の邪悪!
後世の文学者たちがドン引くレベル!
車争いはともかく四の君周りは皆エンタメにできなくて四苦八苦して改変している!
一目惚れの愛妻の妹にこれだけひどいことができるのは、性的サディストなのかもしれないな!?
大事なもののためなら何でもする一途で真摯な情熱家。
つまり大事でないと思われたら最後!
平安王朝文学に開いた闇の深淵!
原典通りです!
腹黒S++のイケメンに親戚の中で一番顔と頭が悪いというどうしようもない理由で丁度いい竿役に認定されていた主人公、人間性の全否定!
竿役言うな全年齢やぞ。
そしてちょっと親に甘やかされていたというだけで何をしてもいい相手とターゲッティングされてしまった気の毒な四の君は!
十四歳と言うものの数え年だから今の計算では十三歳だ! マジかー!
チート転生野郎にどうでもいいもの扱いされ人生を踏みにじられ汚辱にまみれても人間は生き続けなければならないのだ。
ほんっとうに世の中、長生きなんかするだけ損ですね!
さてそんな彼らの前に立ちはだかる、何だかやたらいろいろな事情に詳しい謎の美女!
女房も介さずこんなはきはきズバズバ喋る平安の貴女がいてたまるか!
和歌と世間体が全てを支配する平安暗黒社会で彼らはディスコミュニケーションを乗り越えて、人間性を取り戻すことができるのか!
こうなったら心の美しさで対抗するくらいしかないが童貞卒業イベントに目がくらんでしまった辺り、キミもそんなに心、美しくないよね!
どうするんだよ!
陰謀と困惑と泥縄の王朝絵巻、後半戦開幕!
もうオリジナル展開で行かなきゃ収拾つかないぞ!
原典にこの先キミの出番、ないから!
自分で動かなければ運命は変わらない!
ここから先ググっても続き、わからないからね!
――そんなものでぼくの人生は。
たった三十一文字で。
次回、黄金の州浜編、巻の六『真打ち登場』
――理に適うわけがあるものをまことの恋と呼べるのでしょうか。
――恋は美しくて賢くて正しいから報われるなんてものなのでしょうか。




