無能力者が、誕生した
「さあ、好きな能力を選んでね!」
「いや、ちょっと待ってくれよ、ここから選べって言うのか?」
「なによ、何か文句でもあるの?」
何か文句でもだと?ないわけがない。
こんなにも充実していない能力選択は今まで見てきた異世界転生アニメでも見たことがない。
まあ、理不尽前提、能力なんか選べない系では充実云々なんて言えたものじゃないが。
それでも選択ができるのにこの並びとは。
「ああ、文句があるさ。どうして能力が『剣技上昇』か『魔技上昇』しかないんだ!」
「仕方ないでしょ!こっちにもいろいろ事情ってもんがあるのよ!おとなしくさっさとどっちか選びなさいよ!」
「もっと他にさ、最強の能力的なさ、チート的なさ!なんかそういうのを、、、」
「ああもう!うっさいわね!願望がアバウトで雑で傲慢なのよ!めんどくさいからもうあんたの能力は後回し!とりあえず次の場所いくわよ!」
「は、ちょっと待てって!」
こうして俺は自分の能力を後回しにされた。
わけのわからない所で迷子になるわけにもいかず、仕方なくティリアのあとをついていくしかなかった。
俺の能力が結局忘れられたままになっていることに気づいたのは異世界についてから少しした時のことなのだった。この時の俺、もう少し粘ってくれよ、、、ぱっとしない能力でもある方がよかったよ、、、
ぽっと出て消える。