幕間①
その者はなぜそこにいたのかは自分でも分かっていなかった。
そう、この場にいるのは“ある目的”の為であり寄り道をする道理は全くない。
なのに何故、自分はこの場に立っているのか?
ふと気付くと懐かしい場所に立っていた。
懐かしい?
自分はこの場に来るのは初めてで懐かしいと思うことがおかしかった。
「十月ィィッッッッッッッ!! 人の話を聞いとるンかぁッッ!!」
怒号が響きその先を見ると強面の男と一人の少年がいた。
反省しているのかしていないのかよくわからない表情だったが何故かその光景も懐かしさを覚える。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
どうやら自分はどうかしてしまったらしい。
ここに来るのは初めてなのにこんな感情が芽生えることが本当にどうかしてしまったらしい。
自分の目的は別にあるのだ。その為にはこんなところで呆けている訳にはいかないのだ。
そして、その場を去ろうとした時、
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッ!?!?」
何事かと思い振り替えると先程の少年が三階の窓から飛び出しそれに続いて体格の大きい少年も同じように飛び出していた。二人とも巧く着地したので大事には至らなかったが無茶をするものだと思った。
「ーーーーーーーーーーーーっ」
思わず息を飲む。
二人の少年ではなく彼らが飛び出した教室にいた人物に酷く懐かしさを感じた。
だが、それも一瞬のことですぐにその場を後にする。
ただそこには静寂だけが訪れるだけであった。