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プロローグ
大之木未来子の吐く暴言は、スポンジで出来た耳栓程度なら破壊し、屈強な成人男性の膝を折り、孫の代まで続く祟りレベルのトラウマを受けたものに残すという。
かつて大陸に栄えた恐竜を絶滅させたのも、彼女の吐いた暴言が暴言のあまり時間を遡って、大地を闊歩し大海を泳ぐ彼らのもとへ、まるで隕石のように無差別無尽蔵に降り注いだから。……というのはこの学校において、もはや有名な話だ。
とにかく大之木未来子は口が悪く、口が達者で、そして皮肉なことに彼女のことを嫌う女子生徒の誰と比べても、月とすっぽん雲泥の差、艶やかに靡く黒髪と青みがかった大きな瞳、雪のように白い肌を持つとびきりの美少女だった。