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肝試し大会  作者: 椎名れう
3/5

六年一組の教室で

2章


階段を上ってすぐ前に六年一組の教室がありました。A君、B君、C君、D君の四人はドアの前まで進み、B君がドアに手をかけました。当然施錠されていると思ったのですが...。

なんと、ドアはスルスルと開いたのです。A君、

「なんでここだけ開いてんだ!」

B君、

「か、鍵のかけ忘れだよ。きっと」

C君、

「気味悪いな。とっとと探検して出ようぜ」

四人は恐る恐る教室に足を踏み入れ、ドアをきちんと閉めました。教室は薄汚れていてあたりにほこりが飛び散り、四隅には蜘蛛の巣が張っていました。当たり前の話、机やいすは一台もありません。黒板も取り外され、ただ残っているものとしてはドアから見て一番遠いところにある、壁に取り付けられたロッカーのみです。(むろん、中は空でした)D君、教室にカメラを向け

「一枚撮っとこう」

B君、

「撮ってどうするんだ。ほんとここ、なにもないぞ。つまらないから、もう帰ろうぜ」

C君、

「何もないことはないぞ。ほら、壁に悪口がいっぱい…」

B君、

「彫ってあるんだろ。もういいよ」

C君、かっとして

「もういいとはなんだ! おまえが一般の教室を回ろうっていったんだろうが!」

A君、

「しっ、大声を出すなよ!」

C君、

「いーや、こいつの態度はがまんできん!」

C君は持っていた懐中電灯でB君を照らし、すかさず殴りかかろうとしました。ところが、一歩踏み出した途端…。

「あいって!!!!」

A君、

「大声を出すなといっただろう!」

C君、かがみこんで

「な、なんかに足ぶつけたんだ! おお痛い」

B君は慌てて

「おれじゃない、おれは知らない!」

A君、

「なにかって…ここには何もないじゃないか。机とかあるんならいざ知らず…」

そこまで言ってはっと我に返って、

「そういや、Dのやつはどうしたんだ。さっきから声がしないぞ。」

すると暗闇の中、少し離れたところからシャッター音とD君のか細いこえがしました。

「…い、いるって」

同時に、するするとドアの開く音…。

A君、

「おいD、外に出たのか!」

すると彼の背後から、

「出やしないよ…」

「ひゃああああああああ!!!!」

A君、B君、C君(彼は足の痛みすら、忘れていたのでしょうか)はびっくりして飛び上がりました。腰を抜かした三人の前で声の主は、C君から懐中電灯を奪い取り光を自分の顔に当てました。その顔は…。

A君、

「なんだ、Dじゃないか」

D君は少しむっとした様子で、

「なんだとはなんだ」

B君

「まじで、幽霊かと思った」

C君はひょいと立ち上がって、

「もう、帰るか」

A君、

「足は大丈夫か?」

「びっくりしたはずみに、痛みがどっかに飛んでった。もう大丈夫」

 そんなこんなで四人は教室を出、校舎を出、帰路につきました。各自家にたどり着いたのは一時半頃だったのですが、運よく親たちに外出がばれることはありませんでした。

 こうして、肝試し大会は一見つつがなく終わったのですが、家に帰ったA君にはどうも腑に落ちないことがありました。それは、六年一組を出た後のD君の、妙に落ち着かない態度でした。

 ずっと青い顔をしているばかりか、しょっちゅうカメラを握りしめたり離したりして、誰かが話しかけてもうんともすんとも言わず、ただぼうっとしているのです。そうかと思えば、突然C君の顔をのぞき込んでは恐ろしげに頭を振ったり...。

布団の中でもA君はそのことを気にかけていましたが、

「たぶん、どこか体の調子がおかしかったんだ」

と、一人で納得してその夜は眠りにつきました。




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