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4話


整備工場の隣の区画にあるのはガンベレットの格納庫だった。

天井からクレーンで吊り下げられている所々さび付いたガンベレットの真下には切り取られたような四角い穴が床に開いており、そこから数m下に青く波打つ美しい海面を覗く事が出来る。

なるほど、クレーンを上げ下げして発進・回収するわけか。

俺は相当に年季の入った、俺の時代には新鋭機だったはずのガンベレットの変わり果てつつも懐かしいフォルムを見てこみ上げるものを覚えながら、そのザラついたそうこうの表面を手で撫でた。

避難ポッドの中で眠っていた時間は数十年だが、主観時間では二日ぐらいしか経過していない。

最初は信じられない思いだったが、流石にこうして見知ったものが古くなり、所々劣化し、ある部分は雑に修復され、耐塩ネオステンレスコーティングされた筈の装甲さえ錆びてしまっているのを見ると、本当に浦島太郎になってしまったんだ、

という事を実感せざるを得ない。

そして正直な所、できれば、この事実を見たくは無かった。

戦争はとっくに終わって故郷も古巣の組織も無くなっていると聞かされても、どこか夢を見ているような気分でいた。

だが、現実は数十年の時が経過し、俺は時代に置き去りにされた過去の人間というわけだ。


「見ての通り、もうあちこちボロボロでさ。 基本的に共食い整備。 あ、あっちに動かなくなって部品取り用に解体しちゃったのは1機と半分のが置いてあるんだけどさ……

最初は、もっとあったんだって。 でも、だんだん壊れたり、戦闘で沈んだりして動くのは2~3機だけ。

それも、2年前に最後の父さんたちが死んだ時と、半年前に母さんが死んだ時に1機ずつ失って、これが最後の……」


ヴィーペラの説明が途切れる。

気まずい沈黙がその場を支配していた。

原因はほぼ、俺だ。 自分で自分の顔を見ることは出来ないが、もしここに鏡があっても、今の俺は形容しがたい複雑な表情をしていたのだろう。


何故、今更サルベージされたんだ。

何故、今更蘇生されたんだ。

何もかも、全てが、俺の知っていた物全てが、遠くに過ぎ去ってしまった事を見せつけるためか。

そりゃあ、俺の生きてた時代は良い時代じゃなかった。

生まれ故郷のトウキョウは、あの戦争の中で真っ先に海に沈んだし、両親は生まれたばかりの俺を抱えて生き延びる事に必死だった。

何千万という人が海の底に沈み、何百万という人が沈まなかった土地に逃れるために殺到し、政府も陸自も全ての人を助ける事は出来なかった。

その中で、どうにかこうにか生存する事が出来た数十万人の中に入る事が出来ても、けして楽な生活じゃあなかった。

資源もインフラも途絶え、地獄の様な変わり果てた世界で、それでも幸せだと思える事もあった。

友人も出来た。 共に夢を語り合い、そいつらと一緒にパイロットを目指して海自に志願した。

そして、相棒に出会い、配属された艦とその乗組員、艦長や士官たちは二つ目の家族、二つ目の家だった。


……今は、何もかもが遠い。 全て、海の底だ。

俺だけが、自分ひとりだけが、何十年も経ってから引き揚げられたのだ。

どうして。 今更。

何のために……俺だけが生き残ったってしょうがないじゃないか。

そう、そんなのは舌を噛んで死ぬほうがマシなのだ。

相棒を、家族を、俺の全てだったものを見捨てて自分だけが……



思わず拳を振り上げ、ガンベレットの赤錆びた装甲表面に叩き付けようと目を見開いた。

が、俺の動作はそこで止まった。 一瞬、我が目を疑った。

信じられないものが、そこにあるのを発見したからだ。 まさか、そんな……こんな偶然ってあるか?

全て、母艦と一緒に沈んだはずだと、さっきまで思っていたのだ。

だが、それを否定するに十分な物的証拠が、そのガンベレットのコクピット前席の脇に、かすれた文字で書き込まれていたのだ。



JDS CHIH Y , AS-4 8

 H S-10  GAMBERETTO No,10114


SAWAT RI YUICH 

 &

AZU I DAIS  E 



塗料が剥がれて所々文字が消えていたが、それは確かに俺と相棒が乗っていたガンベレットの機体番号、そして俺と相棒の名前だった。

何度も見直し、その装甲部分が本体の他の部分とのツギハギ移植した物でない事を確かめ、機体の他の部分も見て回って同様の見覚えのある書き込みが他にもあるのを確認した。

そして、まだ唖然としながらも、もう一度コクピット脇のそのかつては白かった、薄汚れ剥がれかかり灰色に変色した俺と相棒の名前のマーキングを見つめ、そして動かしようの無い事実をはっきりと認めた。

こいつは紛れも無く、俺と相棒のガンベレットだった。 だが、どうしてこんな所に。


「……アズミ? どうしたの、一体……その落書きがどうかした?」


ガンベレットの期待に額を押し付けて震える俺をヴィーペラとラーナが物凄く心配そうな表情で見つめてくる。

なあ、ヴィーペラ、こいつは……このガンベレットは、お前たちの祖父さんの代から使ってるって言ってたよな?


「うん、そうだけど……ああ、そういえば、前に母さんから聞いたっけ。

それは、ここに残ってるガンベレットの中でも、特にお祖父さんが大切にしていた1機で、

昔、お祖父さんが若いころに、お互いに相棒って呼んでたと一緒に乗っていたんだって。

もう消えかかって読めないけど、お祖父さんとパートナーだったその人の名前が書いてるって……」


その祖父さんってのは、ここに名前が書かれている、俺の相棒だ。

そうか……相棒は、やはり格納庫で俺を待っていてくれたんだろう。

ヴィーペラの言葉を信じるなら、こいつを使ってた祖父さんってのは間違いなく相棒だ。

だが、俺はたどり着けなかった。 海の底で、何十年も沈んで眠っていた。

そうだったのか……恨むぜ、神様。 別に全然信じちゃいなかったし、今も信じてないけどな。

俺を、今になって海底から引き揚げさせたのは、このためだったのか?

俺にこんな再会をさせるための……


偶然でも運命でも、なんて残酷な仕打ちだ。

だが、相棒。

……俺は、還って来たぞ。




男の人が泣くのを、私は初めて見た。 泣く物なんだ、男って。

あいつの話はどうも要領を得なかったけど、どうやら、私たちが父さんたちや母さんからの話でしか知らなかったお祖父さんの、その相棒って言うのがあいつ本人の事で、偶然にも私たちはあいつとお祖父さんのガンベレットを、数十年越しの感動の再会をさせてしまったらしい。


そして、あいつはお祖父さんの事、ガンベレットがこの基地にある経緯に関してやたらと私たちに聞きたがった。

でも、私たちだって生まれる前に死んでしまった人の事なんかよく知らないし、父さんたちと母さん経由で又聞きの又聞きでしか知らない話だから、詳しい事は説明できなかった。

この基地を最初に作ったのは、雑多な人種の入り混じる100人かそこらの避難民で、元々この海上油田は結構な収容人数があったために、そんな大所帯でも余裕で暮らしていく事ができたらしい。

その中に、小型のサルベージ船とか潜水艇とかを持ち込んだ人たちが居て、お祖父さんもその中の一人だった。

お祖父さん一人で全部のガンベレットを持ち込んでたわけではないようで、あいつのいう海上自衛隊って言う組織の生き残りが何人か居て、この基地に逃げ込んで来たんじゃないかって推測で結論が付いた。

そんなこの基地も、父さんたちの代になると死んだり、諍いが起こって出て行ってしまったりで随分人口も減ってしまって、20人かそこらの男だけしか居なかった。

その父さんたちの中の一人が、お祖父さんの息子で、私たちの知ってる話を母さんに聞かせた人だったらしい。


ここまでの事を聞き終わって、他にもう無くなると、しばらくあいつはガンベレットの前に座り込んで何か考え続けていた。

食事の時間になって呼んでも来ないから、しょうがないから整備工場まで食事を届けてやる事にしたら、フォーカとオターリャが率先して自分たちが運ぶ、と立候補したので任せた。

ニコニコしながら双子がお皿を持っていった数分後には、なにやら凄い音がして、双子が階段を笑いながら駆け上がってくるのを見たけど。

後で見に行くと、あいつが頭を掻きながら床に散らばったガラクタや部品を片付けていた。


「あの二人に縄でも付けてろよ」


どんな悪戯をされたのか知らないけど、あの子たちは柱に縛り付けてもどうにかして抜け出して、悪戯で仕返ししてくるから無意味よ?と返すと、諦めたようにため息をついていた。


……次の日からのあいつは、一日中整備工場に篭り、ガンベレットをクレーンからレールに移して整備台座に運んでくるとなにやら大規模な修理作業を始めていた。

いつも不機嫌なスクアーロ……ガンベレットの掃除・点検担当、が物凄く不機嫌になるほど、勝手にガンベレットを

バラバラにしたかと思えば、スクラップ状態の予備部品の山をひっくり返して部品を吟味しているし。

おかげで、スクアーロは誰かが不用意に近づいただけで八つ当たりに噛み付くくらい、イライラしている。

妹たちは皆怖がって触らないので、さっきも愛用のスパナを自慢の丈夫な歯でガリガリと齧っていた。


その次の日も、せっかく代用フィルターが見つかったのでプランクトン合成装置の修理のついでに機械修理の仕方をタルタやコッコに教えようと思ったら、勝手に連れて行って何かの作業を手伝わせているし。

ピングイーノが泳ごうよ、飛込みしようよ、と誘っても生返事。

ペーシェとガッビャーノはあいつが作業をしているのを見学したり、邪魔したり。

フォーカとオターリャはそんなあいつを扉に隠れて覗き見しながら、顔を見合わせて笑ったりして悪戯やちょっかいかけの相談。

そうそう、ロンがあいつの事を「パーパ」って呼びかけるもんだから、チコーニャとチーニョまでパーパって呼び始めて……。

膝の上に乗ったり背中に飛びついたり、まあ、下の妹たち全員にはいい遊び相手になって貰ってるからいいけどね。

問題は三日目ともなるとラーナまで「監視」とか言って、整備工場に入り浸るようになっちゃって。


「ラーナ、最初は随分あいつを警戒してたのに、口数も多くなってるよな。 どうしたんだ?

あいつ、祖父さんの友人だったからとかだそうだけど、でも男なのに変わりはないだろ?」


って感じで、働くのが二人きりになってしまった私とルチェは不満げ。

加えて、あいつがガンベレットをオーバーホール?しているおかげで、サルベージにも出られないし。

まあ、あいつの監視は私たち上の三人のうち誰かが常に付いてなきゃ行けないんだから、ラーナが貼り付いてるのは別にいいけどさ。

でもコッコとタルタは来年と再来年にはガンベレット操縦要員になるんだから、憶えてもらわなきゃいけないことは沢山あるのに。

とか言えば、


「アズミに教えてもらうから、いい!」


「アズミすごいんだよ! ぱっしぶそなー、とかいうの、全部動くように直しちゃったんだから!」


……と返してくる。 流石にそれは、私たちも半信半疑だった。

というか、交換部品が無かったはずなのに、どうやって?


「本当に全部直したわけじゃないけどな、劣化して感度が落ちてる授波器の素子を、隣り合ってる他の素子で機能を補ってやって出力を増幅してやったら、見かけ上は完全機能しているっぽくなっただけだ。

実際には完調時の7割の性能って所だな。

まあ、元々パッシブソナーの機能が5割以下に落ち込んでたからこれでも随分調子を取り戻した事になるか……。

これで三次元測定法も普通に使えるようになるはずだ」



私たちの疑問に、あいつはどうって事ないって風に軽い調子で答えた。

思わず、ルチェと顔を見合わせる。

コッコとタルタ、そしてラーナまでもが、まるで自分の手柄のように得意げにニンマリと笑ってこっちを見ていた。


「どう、これでわかったでしょ。 アズミはヴィーペラやルチェよりも修理が上手なんだよ!

アズミの事見直した?」


コッコがそう言って話しかけるのは、私の背中に隠れながらあいつを睨みつけているスクアーロだ。

誰でも噛み付く人食いサメ娘のスクアーロは、いつも通りの不機嫌な表情であいつにガンを飛ばしていたけど、やがてトコトコとあいつに駆け足で近づいていって、小さな右手を差し出した。


「ん!」


「……ん?」


あいつが、こっちを見て視線で「何だ?」という問いを投げかけてくる。

握手しろって事でしょ? と返してやるとちょっと笑って自分の右手をゆっくり差し出してスクアーロの右手を握ろうとした。

自分の仕事であるガンベレットを占領されてここ数日怒り続けていたスクアーロが、あいつを認めた瞬間……に見えた。

が、スクアーロはニヤリ、と笑うと、突然あいつの右手をさっと取って、両手で鷲づかみにすると大きな口を開いてその腕に思いっきり噛み付いていた。


「い゛っ痛゛え゛え゛え゛ええぇぇぇぇぇっ!?」


その場に居た全員が意表を突かれて驚愕するなら、あいつが大声を上げて必死に振りほどこうとすると意外なほどあっけなくスクアーロはあいつから離れて、駆け足でまた私の背中に隠れた。

そして、いつもの不機嫌さとは打って変わって上機嫌な表情で、


「それでゆるしてやる!」


と宣言した。


「……そいつ何とかしてくれよ。 人に噛み付くなんてどういう教育してるんだ?」


あいつは大きな歯型のついた右腕をさすりって半泣きしながらこっちに文句を言ってきたけど、どうしようもない。

私とかルチェとかラーナと同じで、スクアーロは生まれ付きこうなんだもの。

父さんたちにもよく噛み付いてたし、多分あんたにも噛み付き続けるでしょうね。



「さて、大体できる所の修理は終わったし、ちょっと点検がてら慣らし運転に出かけたいんだが、いいか?」


サビやフジツボが取れて随分と見違えたガンベレットを前にして、あいつがそんな事を言った。

あんたね……三日以上もさんざん私たちのガンベレットを占拠しておいて、一言も無しに勝手に乗り回すわけ?

いくら、元々はあんたが乗っていたって言ってもさ、勝手すぎない?

そう文句を言うと、あいつはちょっとしおらしくなって、「すまん」と謝ってきた。

まあ、いいけどね。 どのみち、あんたが完全修理してどのくらい調子が良くなったのか、確認したいし。

その代わり、私が乗るからね?


「……ヴィーペラが乗るのかよ。 あたしじゃダメなわけ?」


ルチェがそう口を挟んでくるけど、長女特権として私があいつの監視も兼ねて、一緒に行くの。

それに、「何か」あったらを考えたら、これは妹たちには代わりをさせられない。

そうルチェにあいつには聞こえないように囁いて納得してもらい、私は格納庫のクレーンに移動させたガンベレットの後席に登って座ろうとする。

そうしたら、今度はあいつが口を挟んできた。


「ん? ヴィーペラは後席担当なのか?」


別に? 母さんが生きてた時は後席だったけど、私含めた上の子三名は前席でも後席でもどっちにもなれるようにしてるけど?

ていうか、あんた前席のつもりじゃないの?


「あー……俺は元々後席の担当だ。 ヴィーペラが前席できるんなら、そっちで頼む」


……変な奴。 まあ、私が操縦するなら、主導も握れるし別にいいけどね。

それじゃ、私は前席に……と、移動すると何故かロンがガンベレットの装甲をよじ登ってきた。


「パーパ! ロンもいきたい!」


「ちょっ……!? ダメだよ、マリーナ! 遊びに行くんじゃないんだから!!」


慌ててルチェがロンを抱きかかえて引き戻そうとするより早く、後ろ席から手を伸ばしてあいつがロンをコクピットに引き入れてしまった。


「いいだろ、ちょっとその辺潜ってくるだけなんだし。 俺が抱きかかえてるから、操縦の邪魔にはならないよ」


「なっ……そういうわけには行かないだろ! ロントラ・マリーナはまだ3歳なんだ!

ガンベレットに乗るには早すぎる! マリーナ、いい子だから、降りな!?」


ルチェが必死にロンをコクピットから降ろそうと手を伸ばすけど、ロンはあいつにしがみついて離れない。

「パーパだいすき! ルチェきらーい!」とさえ言う始末だ。

私はため息をつきながら、ルチェに向かって言った。

ルチェ、諦めよう。 ロンは一度言い出したら聞かない子だし、頑固さじゃタルタといい勝負だよ。


「でも……!」


大丈夫、私が見張ってるから。 そう言うとルチェは引き下がった。

ロン、いい子だから大人しくしててよ?と後に向かって告げて、コクピットの耐圧ガラスキャノピーを閉じる。

他の年少組み妹たちは、ロンだけずるーい、とブーたれていたが、乗せられるわけはないので無理な相談だ。

クレーンがゆっくりと動き、私たちの乗ったガンベレットを海面に着水させる。


「超伝導推進ハイドロジェットエンジン始動、出力異常なし、給排水抵抗異常なし、出力8分の1で静音推進開始」


ダウントリム10、まずは深度15まで潜水、方位そのままで出力3分の1まで上昇。

いつもと違うエンジンの音。 いつもよりもスムーズな始動と潜水速度。

あいつはガンベレットが最初に作られた当時の現役の操縦士だけあって、整備の腕もいいみたいだ。

かつての自分の愛機なだけに、随分熱心に手を入れてくれたみたいだし?

それじゃあ、海中散歩と行きましょう。 後席とての腕も、ついでに見てあげるから。






基地から遥か沖の海底で、錆び付いた体の鋼鉄の甲殻類たちが水中無線で会話を交わしていた。


『修理装置の故障は』


『我々では修復不可能。 再現も不可能』


『最後の母艦が修理装置の機能を失って久しい』


『このままでは、任務が果たせない』


『至急、修復が必要だ』


『我々がまだ、活動できるうちに』


『武装および部品も、製造施設を失って久しい』


『11238657号と10665489号、そして1033574号を分解し、当面の補給とする』


『提案を受諾する。 これで、かの敵側拠点を強襲する必要な物資を確保できる』


『我々には技術者が必要だ。 母国との連絡が途絶えて久しい。 我々は我々を修復できる、技術者が必要だ』


『敵国の技術者でもか』


『選択の余地は残されていない』


『敵国も技術者は少ない、もしくは居ない可能性がある。 敵国の水中機動兵器の活動数は減少の傾向にある』


『ならば、いよいよ持って残された時間は少ない』


『以前サルベージに失敗した、保存ポッドは』


『かの敵側拠点に回収された公算が高い』


『20XX年以前の沈没艦の保存ポッドならば、内容物が修復技術を持った技術者である可能性は高い』


『至急、技術者の奪取を提案する』


『提案を受諾する』


『行動開始は』


『現時刻を持って』


『なれば、任務を果たすために』


『任務を果たすために』


『任務を果たすために』


『任務を果たすために』


『任務を…』


やがて、海上を数隻の母艦が通過し、海底に影を落とすと会話をしていた甲殻類たちは浮き上がって

その母艦を取り巻くように泳ぎ始めた。

向かうは、敵国の海上拠点、資源採掘基地……。


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