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異世界転生したけどヒロインなんていないし、ハーレムとも無縁だぜッ!  作者: 館林利忠
九章 特別篇 ゴウカキャクセイン号にて
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33 ジャスティスマスクZは振り回される

  

「我々が来たからにはもう大丈夫だ!」


 颯爽と店内へと飛び込み、第一声を上げるリーダーのジャスティスマスクX。



「賊はどこだっ!」


 特大ハンマーを構え、勇敢にも賊に立ち向かおうとするジャスティスマスクY。


「皆さん、落ち着いて下さい!」


 混乱しているであろう店内へ呼びかけるジャスティスマスクZ。



 三人は事前に聞いていた他でも賊が入ったとされる店に勢い良く飛び込み、それぞれ視線を巡らせながら叫んだ。



 しかし――、店内は異様な光景に包まれていた。


 店へと入る瞬間もすれ違い様に大量の客が出て行っていたので案外こちらの賊は逃げる隙があるほど数が少ないのかと思っていたのだがそうではなかったのだ。



 むしろ数だけならこちらの方が数倍多かったのだが、一見では理解しがたい状況がジャスティス団を混乱させる。そのせいで飛び込んだはいいが棒立ちになってその様子を見つめてしまう。


「むむっ、これは一体……」

「仲間割れでしょうか」

「どうなっている?」


 店に飛び込んだジャスティス団の眼前では賊が仲間割れを起こし同士討ちを行っていたのだ。


 まさか賊同士で争いが起きているとは想像していなかった三人は一瞬呆気に取られてしまう。



 賊は荒々しい恰好をした者達とフードを被った者達の二組に分かれて闘っているようだったが、特に危険なのは後者だった。その者達は客だろうが仲間割れをした賊だろうがおかまいなしに斬りかかっていたのだ。


「とにかく止めるよ!」

「わかりました!」

「分散します」


 三人は散り散りになって側に居る者から順に沈静化していく。


 並の実力者なら単独で行動するのは危険な状況だったかもしれないが、この三人にとってはそれほどの驚異でもないらしく、事はスムーズに進行していく。



 一人、また一人と賊を確実に仕留めていく。


 逃げ惑う客がいるため容赦はなし、拘束など考えない全力の攻撃で相手を確実に倒していくのだった。


「フードの奴を優先するよ!」


 混乱渦巻く中、リーダーであるジャスティスマスクXが二人に指示を飛ばす。


「はっ!」

「了解!」


 戦って観察した結果、やはり手当たり次第襲い掛かるフードの者たちに驚異を感じた三人はそれらを優先して処理していく。


 フードの者達は行動こそ危険なものだったが戦闘能力は低く、三人の敵ではなかった。


 ジャスティス団は常人の目では追えないような速度で確実に賊を処理していく。



「無駄な抵抗はやめろ! もう包囲したぞ!」


 ジャスティス団が奮闘していると出入り口から船員が遅ればせながらに駆けつけ、店内へ向けて叫ぶ。


「くそっ!」

「やってやる!」

「誰がやめるか!」


 残された賊は船員の言葉を聞いても暴れることをやめはしなかった。


 むしろ抵抗の意志を見せ、闘志を燃やして船員へと斬り掛かる。


「無駄だ!」


 だが、そんな賊達をジャスティスマスクZが華麗に切り伏せる。



 ジャスティス団が優勢に事を運ぶ中、船員たちも加勢し、もはや賊たちの数はわずかとなっていた。それでも賊は頑なに抵抗を続ける。


 だが、そんな抵抗も空しく数分後には賊の全滅という形で全ての片がつく。



 そして数が減った上に船員の増援が間に合ったため、最後は賊の息の根を止めずに拘束する事に成功するのだった。


「助力感謝する! 貴方たちのお陰で被害が少なくて済みました」


 事が片付き、船員達を代表する者がジャスティス団へ会釈しながら近付く。


 全ての賊の制圧に成功した店内は静けさを取り戻しつつあった。



「いえいえ、ですがこの者達は一体なんなのでしょう」


 そう相づちを打ちながら殺さずに捕らえた者達へと視線を落とすジャスティスマスクZ。



 そこには荒々しい恰好をした者とフードをかぶった者が二種類にわけられて拘束されていた。荒々しい恰好をした者たちは縛られた今も抵抗を続け、ひたすら怒声を上げ続けている。


 しかし、フードの者たちは終始無言を貫いていた。


 ジャスティス団と船員達が賊達を奇異の視線で見つめている中、フードの者たちが急にバタバタと倒れ出す。


「なっ!?」


 船員が驚いて近付くと口から血を流して倒れていることがわかる。



「毒……、か?」


 服毒したのではと予測するジャスティスマスクZ。


「一体何故……」


 いきなり捕らえたもの全てが死に絶えるという事態に遭遇し、それを目撃した者達に動揺が走る。フードの者たちの突然の死亡を目の当たりにし、辺りを不穏な空気が包み込む。


「ひいぃ」

「死にやがった」


 だが驚いているのはジャスティス団や船員達だけではなく、残された荒々しい賊達も同様だった。



「どうやら賊は二組いて、偶然同じ場に居合わせたという事かもしれませんね」


 そんな様子を見ているとこの二組は元々違う組織だったと考えるのが妥当なのかもしれないと考えを改めるジャスティスマスクZ。


「いかん、ここでじっとしている場合では……。君達はすでに知っているかもしれないが他の店どころか別の階でも同じような事態になっているのだ。すまないがもう少しの間協力をお願いできないだろうか」


 自害を目撃し呆然としていた船員ははっと我に返ると、ジャスティス団に協力を要請した。


「いいよ!」

「問題ありません」

「こんな時ですし、構いませんよ」


 船員の要請に快諾するジャスティス団。


 ジャスティス団が賊を抑えたのはこの店で二軒目。そのため船員の話に対する理解は早く、即断ともいえる速度で承諾するのだった。


「助かります。できれば逃げ遅れた乗客を護衛して避難所まで誘導していただけないでしょうか」


 船員はそんなジャスティス団に逃げ遅れた乗客の避難誘導を依頼した。


 これだけ混乱が増した状態では人手は幾らあっても足りないのだろう。



「うーん、そういうのは他の人に任せるよ!」

「そうですね、我々向きではないですね」


 が、そんな船員の依頼をあっさりと断るジャスティスマスクX。


 そしてその言葉に同意するジャスティスマスクY。実力的に選り好みが許されると判断しての発言である。


「いや、しかし、協力した方が……」


 残された唯一の良心であるジャスティスマスクZは船員とジャスティス団の間で揺れ動く。


「賊をやっつけるよ!」

「それが一番です!」


 が、その言葉を打ち破るかのような威勢の良い声で駆け出してしまうジャスティスマスクXとY。こんな非常時でも二人にとっては悪人を打ち倒す事以外は二の次のようだった。


「あ、二人とも! すまない、そういうわけだから賊の討伐に協力させてもらう」


 ジャスティスマスクZはそんな二人の即断行動に焦りつつも船員に説明し、後を追いかけようと一歩踏み出す。


「わ、わかりました。我々は乗客がいるエリアを中心に展開しているのでそれ以外をあたっていただければ助かります」


 ジャスティス団の奔放ぶりに振り回されつつも警備が手薄な場所を教える船員。


「わかった!」


 ジャスティスマスクZは船員の言葉に強く頷き、二人の後を追うのだった。


「ご武運を!」


 船員はそんな三人の背を見送る。


 船内は未だ悲鳴と怒声が飛び交い、混乱は収まる気配が無い――。



 ◆



「結局こいつらはなんだったんだろうね」

「はじめから機関室にいた賊の仲間と考えるべきでしょうか……」


 機関室へ乱入してきたフードの者たちを全滅させた二人は状況がわからず首をかしげる。



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間違いなく濃厚なハイファンタジー

   

   

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