表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したけどヒロインなんていないし、ハーレムとも無縁だぜッ!  作者: 館林利忠
九章 特別篇 ゴウカキャクセイン号にて
215/401

23 ジャスティスマスクZは取り逃がす

 

「むむっ」


 声の方へと素早く顔を動かすジャスティスマスクX。


「何ごとでしょうか」

「賊のようですね」


 ジャスティスマスクXの視線を追うようにして二人が同じ方向を見ると、そこには武装したモヒカン刈りの男が立っていた。


 ゆっくりと周囲を見渡せば店内の出入り口などが包囲されている状態なのが分かる。



「これはいけない、やっつけるよ!」


 中年太りの体で素早く立ち上がろうとするジャスティスマスクX。


 その決断に一切迷いはなく、淡々と行動を開始する。



「「了解」」


 その言葉に続き、ジャスティスマスクYとZもそれぞれの武器に手をかけながら立ち上がる。


 ――ガタンッ!



 三人が決意し静かに椅子から立ち上がった瞬間、後方から物音が聞こえる。


 息ぴったりに三人が揃って振り返ると客と賊が口論しているのが目に入った。


 どうやら一人の客が賊に怯まず、無理にでも店を出ようとしている様子。



「な、なんだお前達は!」


 客の男は苛立った声で賊にまくしたてる。



「席に着けと言っているんだ!」


 そんな男に賊が剣を突きつけていた。



「う、うるさいっ俺は戻るぞ!」

「死にたいのかテメェ!」


 賊が陰になって客の顔は分からなかったが一触即発の空気が漂う。



「あの人を助けておいて、僕はステージに行く」


 素早く救助の指示を出すジャスティスマスクX。



「はいっ」

「わかりました」


 二人はリーダーの言葉を最後まで聞かずとも素早く返事をして駆け出していた。



「おい、その手を放せ」


 と言いつつ、賊の背後に回り自慢の特大ハンマーを振りかぶるジャスティスマスクY。


「なんだテメエッ! グアッ」

「排除完了!」


 賊がジャスティスマスクYの言葉に反応し、客から注意が逸れた瞬間を狙ってハンマーを振りぬく。金属製の特大ハンマーは賊の側頭部を平らにしながら全身を店外まで吹き飛ばした。


 そんな成果に満足し自慢げに声を上げるY。



「大丈夫か?」


 賊の排除を確認した後、ジャスティスマスクZが絡まれていた客に声をかける。



「ああ、助かった……よ? ッッッ!!!!」


 客の方も救助に安堵したのか礼を言いつつ、二人の方へと顔を向ける。


 ――そして、固まり、目を見開く。


「「お前はっ!?」」



 驚いたのはジャスティスマスクZとYも同様だった。


 その顔を見忘れるはずもない。


 なぜなら助けた客はずっと追い求めていたレジス本人だったからだ。



「くそっ!」


 側にあったテーブルの上の料理を二人に向かって投げつけ逃げ出すレジス。



「テメエらっ! やりやがったなぁあっ!!」


 そしてレジスと入れ替わるようにして異変に気づいた賊が駆けつけてくる。



「ハァッ!」


 だが、ジャスティスマスクYは自慢のハンマー捌きで、あっという間に追加の賊を倒してしまう。しかしその間にレジスは店の外へと脱出し、フロアの客に紛れてしまっていた。


 その場からの二人の視界ではレジスの姿を捉えることができない。



「ど、どうしますか?」


 明らかに動揺した声を出すジャスティスマスクY。


「客の安全確保が先だ。……ここで我々が離れれば確実に犠牲者が出る」



 ジャスティスマスクYの問いかけに苦渋の決断を下すZ。


 確かにここでレジスを追えば店にいる客に被害が出てしまう。正義感の強いZにはこの場を離れるという判断はできなかった。


「クッ、私だけでも追跡に!」

「だめだ。数が多い。すまんがこらえてくれ」


 食い下がるジャスティスマスクYを説得するZ。


 賊の数に対してこちらは三人。


 一人も欠けることが許されない状況だった。



「両手を上げて席に着け! おかしな行動をした奴は殺す! いいか! 分かったらさっさと言う通りにしろっっ!!!」


 店の隅で起こった出来事に気付かなかった賊のリーダー格らしき男は客に指示を飛ばし、金を奪う段階へと移行しようとしていた。



「ちょっと待ったぁあああっ!!」


 そんな中、ジャスティスマスクXがステージへと躍り出た。


「な、なんだお前は!」


 余りに奇抜な恰好を目撃したためか、言葉に詰まるモヒカン刈りの賊。



「ふむ、僕かい? 僕は……」


 そんな賊の質問にジャスティスマスクXはたっぷりと溜めを作った。


 その間に残りの二人がステージに颯爽と駆けつける形となる。



 ◆



(やべえな……)


 俺の目の前で笑顔のミゴが睨みを利かせる中、賊の包囲は進んで行く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

   

間違いなく濃厚なハイファンタジー

   

   

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ