ヒロイン《クズ》はやっぱりヒロイン《クズ》だった
大変お待たせ致しました
長く時間が空いてしまったので文章の書き方が変わってしまっていると思います。ご了承ください(´;ω;`)
義母の姿を見て尾行する事にした。
なんとなく、このような関係を他にも持っている気がしたからである。
案の定、真和以外の男とも会っていた。
眼鏡をかけ、傷みのない真っ黒な髪と高そうなスーツを着こなす姿は真面目な印象を持つが、溢れる色気が真逆の印象も与える。
「お久しぶりです、詩織さん」
腰に響く少し低い声すらも色気がある。
「晴翔さん、久しぶりです!!」
片手を大きく振って元気に走り寄る姿に私は呆れた。まるで幼い子供のようだ。
「相変わらず可愛らしいですね」
「むうっ。それって子供っぽいってことですか?」
晴翔はくすりと小さく笑うと義母の耳元に唇を持っていき、囁いた。
「食べてしまいたいほど愛らしい、ということですよ」
分かりやすく顔を赤くして狼狽えた義母の姿に晴翔は一層笑みを深めた。義母の唇に自分のものを押し当て、親鳥が子に餌をやるように、やさしく啄むようにキスをした。それはあっという間に深いキスへと変わって行った。
「ここ、外ですよっ! いくら人通りが少ないからって見られてしまったらどうするんですか!」
キスをしたことについては何も言わなかった。むしろ、もっとして欲しいとすら聞こえた。
気持ちが悪い、不潔だ。こんな女を愛する男によってお母さんの人生が狂わされたなんて赦せない。
「人に見られなければ良いということですか? ならば、うちに来ませんか? 詩織さんの旦那さん、今日出張ですよね」
「蒼のご飯作らないと……」
「もう、ご飯くらい作れる年齢でしょう」
「で、でもぉ」
甘えたように声を出す義母に影から冷たい視線を送ってやる。
義母は少なくとも、蒼の母親であるはずだ。それがいまは一人の女と化している。ついこの間、蒼が義母がお父さんの愛人だったことを知って激しいショックを受けていたはずなのに、そんなことも忘れて、今度は不倫している。それも一人だけではなくて、何人もの男と。
どうして、どうしてこんな不潔な女が皆から愛されるのだろう?
お母さんは嫌いな男の子である私を愛して育ててくれた優しく強い。それなのにどうしてお父さんから愛されず、好きだった元カレからは浮気だと思われ、辛い悲しい思いばかりしているはずなのに。
「ここでキスをしてほしいのですか? ──────もっと深いキスを」
唇と唇が触れ合いそうなほど顔を近づけて言った。無駄にあふれる色気がこちらにも飛んでくる。
「行きます! だから、早くここを離れましょう!!」
そう言って晴翔の手を引っ張って家へ急ぐ。
どうやら、道を覚えてしまうほど何度も晴翔の家に行っているらしい。
晴翔の家に入ってしまったから、尾行の続きをすることは出来ない。
しかし、家に帰った義母から香る知らないシャンプーの香りととろんとした表情から容易に何をしていたかは想像できる。しかも、首には赤い痕を隠そうとしている絆創膏。朝までは無かったものだ。
蒼は何も気づかなかったみたいだが。
義母に似て幸せな頭をしているらしい。
まさか、自分の母親が愛人をしていた次は複数の男と不倫していることを知るとどうなってしまうのだろうか。
嗚呼、全てを壊してしまいたい。