怪しい2人
かなり短いですが(;´Д`)
学校の帰り、義理母を見つけた。いつものポニーテールとは違い、編み込んで左耳下で結び、光沢のあるピンクの花柄のシュシュをつけている。なにやら気合いというものが感じられる。その隣には父がいる。そう思ったが、違い他の男だった。
後を付けてみよう。なぜなら、男に初めて会ったわけではない気がするからだ。
「久しぶり。真和君! 今日はどうしたの?」
「ただ会いたかっただけ。最近会えなかったからさ」
そう言うと、義理母は可笑しそうに笑いながら
「よく電話してるじゃない。そんなに寂しがらないで!」
女性特有の少し甘さの混ざった声で言った。
その声は仲の良い友人に対する声ではない。もっと親密な友人に対するものではなく恋人にするような甘い声。
唇と唇が掠るように触れた。
「馬鹿っ」
頬を赤くさせ、目は潤み、そんな顔で照れたように言う。それはまさしく女の顔だった。
「好き、なんだ。多分お前は俺のこと弟としか見てないと思うけど恋愛として好きなんだ」「私、結婚してるのよ……? でも、そう言って貰えるのは嬉しいっ!!」
「大切にするから、あんな男じゃなくて俺にしなよ」
そう言って抱きしめる。壊れ物を扱うかのように丁寧に大切に。そしてもう一度口付けを交わした。
「でも、ごめんなさい……」
名残惜しそうな顔をして唇を離し、呟くように言った。
俯むき、涙をぽたぽたと垂らし、コンクリートの地面を濡らした。
「どうして俺じゃだめなんだ!?こんなにもお前を愛しているのに……。あの男よりも俺の方がお前を愛しているのに。愛している時間だって俺の方がながい……」
「暁さんもちゃんと私を愛してくれてるわ。だから……」
「分かった。でも、諦めないから」
義理母はやはりヒロインに似ているだけあって、行動も乙ゲーヒロインか。たくさんの男の人から想われている。何処にそんな魅力があるのだろうか?
1人では何も出来ない所が自尊心を満たしてくれるから? そう思うと納得出来る。お母さんが父から好かれなかったのは一人で何でも出来たからだ。皆、それにあまえていた。