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R E D - D I S K 0 3  作者: awa
CHAPTER 15 * FALL HEART
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○ Christmas Plans

 十一月がやってきた。

 二日の金曜にケイが修学旅行から帰ってきて、おみやげのお菓子を私と祖母に渡すと話したこともあり、彼の母親であるシモーナが私たちを翌日のランチに誘ってくれ、私と祖母はモンタルド家へと出向いた。マルコも彼らのお父さんもいなかったので、四人でのランチだった。

 去年の私たちとはぜんぜん違うところに行ったケイたち二年もやはり、初日に抜き打ちの持ち物検査を受けたという。ちなみにケイは煙草を吸ったことがあるし、今でもマルコと二人で吸うこともあるものの、中毒になってはいない。なので修学旅行にも持っていかなかった。けれどやはり見つかって捕まった子が数人いたという。その子たちは二日目の自由行動を少々制限され反省文を書かされると、その日の夕食時、みんなの前でそれを読まされたのだとか。

 三日目の朝には、やはり私たちと同じように勝手なグループ行動のことを言われ、みんな渋々従った。私が去年やらかしたことを話すと、ケイはそうするべきだったのかと天を仰いだ。リーズとニコラの時もあったと聞いているので、どうやらこのふたつ、恒例の流れらしい。

 ランチを終えると、私とケイは二階でゲームをはじめた。ゾンビゲームをやってはもらえず、私の苦手ジャンルのゲームばかりでボコボコにされた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 学校のクリスマスパーティーのメイン司会は、アニタとハリエット、エルミと、二年から後輩のサイニともうひとりの女の子が務めることになった。そして裏方仕切り組として、表に立つと言い張るエルミの代わりに裏にまわったペトラ、そしてセテとカルロが助っ人に。ボーイとしてはカルメーラと、なにか手伝わせろとうるさかったアウニ、そして同期女子二人と、二年で後輩のマルユト、その女友達数人が集まった。

 チラシとポスターは去年同様、美術担当教諭に下書きを頼み、二年から一年に言ってもらい色をつけてもらう。一応二年もデザインの案を出してみると言っていた。

 ひとまずの会議に参加するのは私とメイン司会全員、それからペトラとマルユト。マルユトとサイニは、二年になってからバレー部を退部したらしい。会議の場は女ばかりなので、かなりうるさいことになっていた。といっても、基本的なことは去年と変わらない。

 告知は去年よりも余裕をもたせるので、文化祭の再現にならないようちょっとしたレクリエーションを中心に考えてもらう。アニタたちは舞台などやりたくないと言うし、一年が参加しづらい。そしてなぜか、カラオケ大会という話がでてきた。どんなだ。

 けれど去年同様、なにをしていいかわからないクラスが多いかもという意見が出たので、こちらからいくつかのお題を出すことにした。ゲームやクイズ、もしくは小劇。

 各クラス、もしくはグループから募集で、けれど時間が限られているので先着順。カラオケも同じく先着順なのだが、普通だとつまらないので、替え歌をお題にあげておく。学校もしくはテレビで放送されるドラマやバラエティ番組にまつわる替え歌だ。もちろん一曲まるまる替え歌にしなくてもいいが。

 そんな話し合いの中、私は“Breakout”で即興の替え歌をつくりはじめた。チラシに替え歌だなんてことを書いてもわかりにくいかもという話になった頃に半端に完成したそれを見せると、彼女たちは爆笑して、それをサンプルとしてチラシと一緒に配りつつ、実行組でうたおうと言いだした。しかもパーティーの最初に。なぜだ。ちなみに、当然アドレス交換もやるらしい。もういいと思う。

 去年のような対教師のジャンケン大会もあったほうがいいかもという話になり、私は映画の割引券を手に入れられないかと持ちかけられた。夏祭りにアドニスたちにもらったどうでもいい景品を少々持ってきつつ、割引券はどうにかすると答えておいた。どうしよう。

 第一回会議の翌日、火曜。ハヌルが声をかけてきた。エルミに聞いた、またパーティーやるんだって? なんなら手伝うよ? と。どうやらエルミが手伝おうかと言われ、返事に困って私に聞かないとと答えたらしい。定員オーバーだと微笑んで拒否してさしあげた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 十一月九日、金曜の放課後。

 今日はパーティー会議がない。教室でカルメーラとダヴィデとトルベンの四人で話していると、アニタたちが来て話に交じった。

 こちらは文化祭後の遅すぎる二学期の席替えで、廊下側、私の前の席にカルメーラ、彼女の隣にサビナ、そのうしろで私の左隣にダヴィデ、そしてトルベンと、二学期とはただ左右が逆になっただけという席順になっている。

 サビナはすでに帰ったので彼女の席も使い、ゲルト、セテ、カルロ、ペトラ、カルメーラ、イヴァン、ダヴィデ、ヤーゴ、そしてアニタと、それぞれが椅子や机に腰をおろした。

 「世間の中学三年生って、クリスマス、どうしてんだろね」アニタが言った。「カップルで微笑ましく受験勉強?」

 彼女の言う“世間の中学三年生”の枠に、去年惚れて映画に誘ったクソ男は入っていないようだ。

 ダヴィデが応じる。「カップルかどうかはどうでもいいけど、受験生がクリスマスにまで勉強してんのかどうかってのは、ちょっと知りたいよな」

 「やるヒトはやるでしょ」ペトラが言った。「クリスマスだからって散々遊んで、あとから後悔したくないし」

 「けど」とカルメーラが言う。「たとえば遊びの誘いを断って勉強して、受かるとするじゃん。そしたら、遊んでおけばよかったなって思う気もする」

 カルロは笑った。「その程度で後悔するか? どんな誘いだよ」

 「それはわかんないけど」

 「ベラの家で、みんなで宿題するってどうよ?」アニタはとんでもないことを言いだした。「どうせ受験対策プリント、山のように出されるんだろうし」

 ヤーゴが苦笑う。「すげーうるさそー」

 「ベラの部屋、テーブルなかったような」セテがつぶやいた。

 「あ、確かに」と、ペトラ。「ぜんぶ床だもんね、こいつ」

 私は小さく反論した。「デスクはあるわアホ」

 「なんでテーブル置かねえの?」イヴァンが私に訊く。「あんだけ部屋広いのに」

 「いらないから。私は寝転びたい人間だし。それにテーブルがあると、アニタやペトラみたいにごちゃごちゃとモノ置いちゃうじゃん」

 「よけいなこと言うな!」アニタがつっこんだ。

 イヴァンは思いついたような顔をした。「そういや姉貴のテーブルも、たいていすごいことになってるわ。ヘアスプレーだのメイク用品だのがごちゃごちゃと。三分の二はなんか置いてある。片づけても半分空くくらい」

 「それ言ったら」とトルベンが口をはさむ。「ヤーゴの部屋のテーブル、常に漫画とゲームとCDが散乱してる。しかもディスクをケースに戻してねえからな。いくつかは埃かぶってたりするし」

 ヤーゴが空笑う。

 「よけいなこと言うなこのやろ」

 ゲルトは吐息をついた。「クリスマスなんて浮かれててもな。三日後くらいには大掃除がはじまるっていう、かなりめんどくさい状況に」

 アニタはつんとした。「あたしは拒否する。だって今年は受験生!」

 セテが割って入る。「うちのばーちゃんいわく、部屋を汚いままにしとくと、運気が下がるんだと」

 彼女は唖然とした。「え」

 ゲルトもにやついて便乗する。「お前の部屋がどんなもんかは知らないけど、そのまま放置したら、受験落ちて男運もさらに落ちて──」

 「え!?」

 「けど」ペトラが口をはさんだ。「ベラの部屋、わりといつもキレーだよ。特にモノ持たないってのもあるけど、こいつ、わりと自分で掃除するし。出しっぱなしにってあんましないし」

 セテが言う。「男運はよかっただろ。少なくとも去年までは」

 「つまり今年は最悪だと」トルベンがつぶやいた。「まあ確かに最悪なんだろーけど」

 なぜ私の話になるの。

 「ワカリマシタ」アニタは棒読みになった。「掃除シマス。チャントシマス」

 「年末だからって理由じゃなくて、常にしろよ掃除くらい」と、私。

 スカートのポケットの中で携帯電話が震えた。取り出して画面を確認する。なぜかディックだ。応じた。

 「ベラか?」ディックの声。「もう学校終わったか?」

 「終わりましたよ、とっくに」まだ学校にいるが。

 「ならよかった。来月な、二十四日の夕方から、暇か?」

 「イヴ?」

 「あ? ああ、クリスマスイヴな。そうだな、相手がいなきゃ関係ないだろ、そんなもん。冬休みに入ってるよな? まあダメなら別の日──二十一日とかでもいいけど、できれば二十四日だ。その日がいちばん都合がいい」

 「十二月にいいとこ連れてってくれるって言ってたの、それ?」

 「それだ。ただ、帰るのがちょっと遅くなるかもしれん。送ってはやれるけど、それでも夜の十一時くらいになるかも」

 「それは平気だけど──」彼の誘いということはきっと、音楽だ。「ひとつ条件がある」

 「なんだ」

 この状況で、なんと言えばいいのだろう。「来週の土曜か日曜、どっちか暇? 暇ならまた、まえに行ったとこに連れてってほしいんだけど」

 「レンタルスタジオか? なんだ、またうたいたいのか」

 抜け殻状態は脱したけれど、今ひとつ、なにかが足りない。「できれば」

 「じゃあ日曜にするか。十八日。そのまえの金曜か土曜にでも連絡する」

 「わかった」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 電話を切った私にアニタが訊く。

 「まさかクリスマスイヴにデート? 誰?」

 「あんたの知らない相手。でも勘ぐるな。そんなんじゃない」

 私が答えると、彼女は顔をしかめて唇を尖らせた。「なんか隠してるよね」

 ディックのことは一切話していないし、マルコのこともぜんぜん話していない。

 「私はもともと、なんでもかんでも話すタイプじゃないでしょ」

 ペトラが口をはさむ。「っていうかあんた、やっぱクリスマスとか関係ないわけ? そんなんじゃない相手とイヴ、一緒にいられるんだ」

 クリスマスはキライだ。「ただの友達だし、どうでもいいよそんなの」

 「じゃあ二十五日」アニタが言った。「勉強かはともかく、ベラの家で遊ぶ。デボラが無理なら、うちのママに頼んでケーキ作ってもらうし」

 「は?」

 カルメーラが反応する。「クリスマスパーティー!?」

 「中学最後だし?」と、ペトラ。

 「ちょっと待──」

 言いかけたものの、手に持ったままの携帯電話のバイブレーションがまた震えた。今度はマルコからだ。なんだと思いつつも電話に出る。

 「なんですか」

 「五時半すぎに迎えに行く」電話越しに彼が言う。「飯食いに行く」

 「いや、知らないし。勝手に行け」

 「どうせ暇だろ。着いたら電話する。じゃーな」

 電話が切れた。なんなのだ。暇人扱いされるのは、なんだかムカつく。

 アニタが声を潜めてこちらに言う。「今の電話、あたしの見間違い?」画面に表示された名前を見たと思われる。

 「たぶん間違ってないけど」と答えながらポケットに携帯電話を戻し、右手でゲルトの脚を軽く叩いた。「どけ。帰る」

 彼が脚をよけ、私は机のサイドフックにかけたカバンをとった。アニタたちは勝手に来月のクリスマス──二十五日にうちでパーティーをするとかいう話を進め、ゲルトたちのことも誘った。私は無視して帰った。

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