○ Prologue
神様は、私になにを求めているんだろう。
神様は、私にどうしろと言うんだろう。
私の中学への進級に合わせたのか、やっと別れを決めた両親の離婚をきっかけに、私は同じウェスト・キャッスルに住んでいた祖母の家に引っ越した。
たいした変化のない、ただやり過ごすだけの生活がまたはじまるのだと思っていたのだが、祖母を含め、そこにはいくつかの出会いがあった。
彼らは私に、“人の気持ちを考えること”を教えた。
なかでも四人の友人たちは、祖母とはまた違ったかたちで、私の“家族”になった。
そしてもうひとり、私に“愛”を与えた男がいた。
険悪な仲になっていた両親のせいでずっと忘れていた、“ひとを愛する”という感情を思い出させ、愛を与えた男。
彼は私にとって、四人の友人たちと同様、私の“家族”であり、唯一心を開ける存在だった。
だけど、失った。
人生でただひとり、全身全霊で愛した男が消え、どうにか毎日を過ごしていたのに、四人の友人たちまでも、私の前から消えた。
私は、空っぽになった。
十五歳になるまえに、私は彼ら五人を失い、二年前の、中学に入学するまえの状態にリセットされた。
私は、枯れた。
これ以上失ってしまうと、壊れてしまうんじゃないかと思う。
実際、煙草とビールがすっかり癖になっていて、夜は眠れないし、朝は起きられない。生活はめちゃくちゃだ。
心を失くしかけている私は、爆発しないよう自制するだけで精一杯の状態のような気がする。