便利屋は今日も騒がしい
人生初の投稿ですので色々不備があるかもしれませんがドラえもんのような温かい目で見ていただければと思います。
ある会社の事務所。
たった今、依頼をしに来た客が怒って出て行ったとこであった。
部屋の様子はというと、中央には年季が入りすぎたソファが向かい合うように2つ。というかもはや布地の多い椅子型の粗大ゴミ。
その間に置かれた低めの四角い長机。
それらを囲うよう壁際に空っぽの本棚や凹んだロッカーが並んでいる。
そして窓側の、お化け屋敷にでもありそうなボロッちい椅子に座るやる気のなさそうなパーカーの男。
それこそがこの事務所の社長の渡理朔であった。
渡理はこの部屋の中で唯一真面に見える社長用デスクに足を乗せ、天井を仰ぎ見ながら口を開く。
「はぁ、この仕事も稼げないもんだなぁ。」
「……。」
恐らく接客用のソファに座る社員の檸檬に放ったのだろうが、応答が返ることなく数秒が経過する。
「どうしたら楽して稼げるかねぇ~。」
「……。」
再度話しかけてみるがまたしても無言を貫く檸檬。
事務所内に広がり始めた微妙な空気に気付ける者は、残念ながらこの場にはいなかった。
「なぁ、檸檬も楽して稼げる方法考えてくれよ。」
「ッ!!」
その言葉を引き金に檸檬は机を叩いて勢いよく立ち上がる。かと思えば俯いたまま拳を握りしめ、ワナワナと震え出した。
渡理もが生気のない顔を檸檬に向けると、檸檬がゆっくりと口を開いた。
「か……。」
「か?」
「か……。」
「どした? 腹の調子でも――」
「稼げないのは、アンタのせいだろうがぁぁぁあああああ!!!!!!!」
檸檬の発した怒号は音圧で建物がガタガタと揺れる程で天井から木屑がパラパラと降る。
その木屑が床に降り積もるが2人とも普段から土足生活。気にすらしない。
「なんなの?? 馬鹿なの?? 死ぬの?? ってかこのままだと本当に死ぬんだが!?」
「そんなに慌てても仕方ないだろ?」
「アンタがッ! そんなに冷静なのがッ!! 一番気に食わないんだよッ!!」
怒りのあまり床をゲシゲシと踏みつけ、それに連動して建物がギーギーと音を立てて揺れる。
そろそろ建物自体に何かしらの損傷がしそうで渡理に緊張が走り始めた。
「……ちょ、ちょっとそのくらいで落ち着いて、落ち着いて。 ね?」
「こんなの落ち着けるかああああああ、あ? ああああああああ!!」
加速していった地団駄に、耐えきれなかった床が嫌な音を響かせながら檸檬を引きずり込み、下の一階から鳴った爆音と共に悲鳴も止み、部屋にいたたまれない雰囲気と粉塵が広がる。
渡理は粉塵が収まってから静かに湯呑を手に取り、冷めたお茶を一口含む。
「すぅー、……はぁ、空は今日も眩しいなぁ……。」
渡理は悪化したオンボロ屋敷の中、割れた窓から春の風景を一望しながら現実逃避するのだった。




