うちの彼女はAV女優、だから俺はAV男優になる
タイトル通りえっちぃ話になってます。
行為そのものの描写はないのでR15です。たぶん。
中高と男子校に通った。
女っ気のない生活を送っていて、共学の制服を着たカップルとすれ違うたびに嫉妬していた。
大学生になったら、俺だってかわいい彼女を作ってやる――その情熱で、ひたすら受験勉強をがんばった。
毎日十時間以上の勉強を支えてくれたのは、青山翡翠というAV女優だった。
青山翡翠は、俺が高二の時にAVデビューし、あっという間に売れっ子になった。まだ一年ちょっとのキャリアだが、出演作はすでにニ十本近い。
俺はAV女優にはあまり詳しくないが、そこは男子校。どこのクラスにもAVソムリエと呼ばれるような生徒がいて、頼まなくてもおすすめ作品を紹介してくれる。
当たり前のように俺のところに青山翡翠のDVDが回って来た。
再生した瞬間、そのかわいさに目を奪われた。
くりっとした愛くるしい顔も、形の良い美巨乳も、新鮮な桃のようにプリンとしたお尻……すべてが俺の理想そのものだった。気が付けば、丸めたティッシュの山ができあがっていた。
持ち回りのその一本のDVDだけでは満足できず、彼女の出演する全作品をすぐに自腹で買い集めた。
受験勉強で疲れた時は、青山翡翠のDVDでスッキリし、また勉強に集中した。
そうして俺は、第一志望の大学に合格した。
大学生活が始まって数日後。
キャンバスを歩いていたら、向こうからひとりの女子が歩いてくるのが見えた。
なんとなく見覚えがあるような気がした。
だが、中高と男子校だった俺に、同年代の顔見知りの異性などいない。
きっと気のせいだ。
だけど、それでは納得できず、失礼にならない程度に彼女の顔に視線を向けながら歩いた。
ある程度近づいたところで思い出した。どこで彼女の顔を見たのかを。
「青山翡翠⁉」
彼女の顔は、青山翡翠にそっくりだったのだ。
顔だけではない。
身長も、服の上からでもわかるスタイルの良さも、青山翡翠そのものだった。
まさか本人か?
「君、新入生?」
その人が話しかけてきた。
「え、あ、はい。そうですけど……」
同年代の異性と話すのは小学校以来なので、うまく話せなかった。
動揺している俺の様子を見て、その人はくすくすと笑った。
「そんなに怯えないでよ。別に驚かすつもりじゃなくて、むしろ驚かされたのはこっちなんだから。まさか芸名をいきなり呼ばれるなんて思わなかった」
「す、すみません……あの、もしかして本人ですか?」
「そうだよ、私は青山翡翠。本名は赤川千聖って言うんだけどね。まぁどっちで呼んでくれてもいいけど」
「いきなり芸名で呼んでしまってご迷惑を」
周囲には、大勢の人がいる。そんなところで呼ぶのは、おそらくすごく失礼なことだっただろう。
「いいっていいって。大学だと私の仕事のこと、みんな知ってるから」
「そ、そうなんですか? そういうのって隠すものだとばかり」
「むしろ、もっと見て! って感じ? 私、見られるのが大好きなのよ。だから、ちらっと顔見ただけで私のことがわかった君には、お礼を言いたいよ。よっぽどたくさん見てくれたんでしょ?」
「それはもう……毎日」
「毎日!」
「何回も……」
「何回もかぁ。最高記録は?」
「えっと……八回、ですかね」
「八回! やるねぇ。若いだけじゃ説明できない回数だよ。体力あるねぇ。ふぅん、そうか、そんなに私が好きか……」
青山さん――赤川さんは、俺の頭から足までをじろじろと見た。
それから、
「ちょっと失礼」
と、肩から胸、そして腹を手で触った。
「なかなかいい体してるね。高校時代の部活は?」
「水泳です」
「なるほどね。水泳で鍛えた体かぁ。八回できる持久力はそのおかげかな? 若いし、初めて君オーラが出まくってるからテクはなさそう。でもその持久力なら楽しめるかな。ねぇ、これから暇?」
赤川さんはあやしい笑みを浮かべて、俺に体重を預けてきた。
腹筋を触っていた手はだんだんと下に移動してきている。
「今日は暇なんだよね。それに最近撮影がなくてご無沙汰だし。君はそこそこ好みのルックスしてるから、お姉さんが“ファンサ”してあげてもいいんだけど、どうする?」
「あの……ファンサって……なにをするんですか?」
「いちいち言わないとわからない?」
赤川さんの手が、ズボンの上から俺の股間に触れる。
「いえ……わかります。いいんですか? その……今会ったばかりなのに」
「お相手が誰かわからないけど、『とりあえず裸になってベッドで待ってて』って言われて、カメラが回され始めて、ドアが開いた瞬間全裸の男優さんが入って来て出会って五秒合体。そんな経験もあるけど?」
「……知ってます。何度も見ましたから」
「じゃあ、私がそんなの気にしないのはわかってるよね。それに、一日八回も私で抜ける人が、リアルな私を前にしたらどうなるのかも気になる。というわけで、“ファンサ”してほしい? してほしくない?」
「……おねがいします」
「正直でよろしい。じゃあ、行きましょうか」
赤川さんは俺の手を握って歩き出した。
俺は言われるがままについて行き――自己ベストを十二回に更新した。
「君、やるじゃん。パワーも回復力もあって、しかも私のこと大好きですごい勢いで求めてくるから、結構気持ち良かったよ。テクは全然ないけど。また暇な時に遊んであげるね」
ピロートークでそう言われた時は、社交辞令だと思った。
ところが、後日本当にまた誘われた。
どうやら俺たちの体の相性はかなり良かったらしい。
こうして、俺と赤川さんの“関係”が始まった。
“関係”なんてもったいぶったことを言ってもしかたない。
はっきり言おう。セフレだ。
週に二回ほど学外で会って――まぁだいたいは俺の家か、赤川さんの家か、どちらかで会って、エロいことをする仲になった。
さすがにコトが終われば即サヨナラというわけではなく、食事をしたりゲームをしたりもする。
場合によっては泊まることもある。
とはいえ、付き合っているわけではない。
あくまでも、そういうことをする友人というだけだ。
いや、付き合っているのか?
別に告白をしたわけではないが……大人の世界では、交際を始めるのに改まった告白がない場合もあるという。なんとなく、気が付いたら付き合っているということも多いという話を聞いたことがある。
俺たちの会う頻度や、すでに体の関係があることを考えれば、付き合っていると言ってもいいかもしれない。
しかし、相手は人気AV女優。
赤川さんからすれば、体の関係などたいしたことではないだろう。
やはり俺たちは付き合っていないはずだ。
もし体の関係があることを理由に付き合っていると考えてしまったら、めんどくさい男と思われて、もう構ってもらえなくなるかもしれない。
だからセフレでいいのだ。
大学に入る前までは、画面越しでしか見ることができなかった相手だ。
セフレになれただけでも幸せと思わなければいけない。
――でもやっぱり、赤川さんの彼氏になりたい。
俺以外の人としないで、などとは言えない。
AVは赤川さんが楽しんでやっている仕事だから、邪魔はできない。
でも、プライベートでは俺以外としないでほしい。
それくらいは言える男になりたい。
そのためにはどうすればいいだろう。
テクニックを磨くのはどうだ?
俺が赤川さんを十分に満足させられるようになれば、他の男と遊ばなくなるんじゃないだろうか?
問題は、どうやってテクを磨くかだが……。
普通に考えれば、自分より技術や知識がある人から指導を受けるのが良い。
つまり、先生とかコーチと呼ばれる人に教えてもらうべきなのだろうが……。
いるか? この手の世界に、そういう先生みたいな人。
まぁみんな興味あることだから、探せばいそうではあるけど。
たぶん高い金をとるんだろうなぁ。
なるべく金がかからずレベルアップできる方法はないものか。
となると、やはり実戦経験を積むくらいしか……しかし、そういうことができる相手は、赤川さんしかいない。
ナンパとかするのは違うよなぁ。赤川さんを満足させるために、他の人をナンパするのはもう意味がわからない。
そういうお店に行って……それはそれですごい金かかるよな。
金を払わず、経験を積めて、なんなら上手な人がいる。そんな都合の良い状況が揃ってる場所なんて、あるはずないか………………。
いや、あるぞ!
「俺もAVに出たいんだけど、男優の募集とかないかな?」
ある日の事後、俺は赤川さんに腕枕をしながら、その話をしてみた。
「男優の募集? まぁあるとは思うけど、希望者はいくらでもいるから難しいと思うよ」
「やっぱり倍率高いですか?」
「詳しくは知らないけどね。仕事としてエッチできるなんて最高だって思うかもしれないけど、好みじゃない相手でも拒否権ないし、実はかなり大変だとは聞く。それでもやりたいの?」
「やってみたいです」
「そう。じゃあ今度事務所に聞いてみるよ。うちは女優しかいない事務所だけど、まぁツテはあるだろうから、どっかの現場に潜り込ませてもらえるかもよ」
「青山翡翠のお墨付きって言っておいてください」
「あははっ、たしかにそれなら使ってもらえるかもね」
それからしばらくして、AVの制作会社から連絡がきた。
AVの会社というから、実はヤクザみたいなところなのかも……と恐れていたが、電話から聞こえてくる声は、普通のサラリーマンのようにしか聞こえなかった。
事務的なやり取りの後、話は本題に入った。
「青山翡翠さんの紹介ということですが、どういう関係なんですか?」
「まぁ、いわゆるセフレですね」
「彼氏ってことにできますか? ちょうどうちで青山さんで撮る予定があるんですが、企画がまだまとまっていなくて。人気AV女優のリアル彼氏が出てきて、プライベートでしていることをカメラの前で晒す……って趣旨にしようかと思いまして」
「リアル彼氏じゃないけど、そこはいいんですか?」
「そんなの観ている人も気にしませんよ。リアル彼氏設定の男優としか思いません。だから誰でもいいんですが、プライベートのセフレだと、普通の男優さんよりはそれっぽくなると思うので。どうです? ちなみにギャラは安いですよ」
赤川さんを満足させられる男になるため、他の女性とも経験を積みたいと思っていた。
この話だと、仕事を受けても赤川さんとすることになってしまうな……。
でも、現場にはきっとプロがいるだろうから、いろいろ指導を受けられるかもしれない。
この仕事を受けることにし、俺は大学生兼AV男優になった。
撮影の日、人に見られながらするという慣れない状況に、最初は戸惑った。
現場には、思っていた以上に多くのスタッフがいて、その全員がこれから俺と赤川さんの行為を見るのだ……と考えると、どうしても緊張してしまう。
そのことを赤川さんに話すと、
「製品になったら、ここのスタッフさんどころじゃない数の人が見るんだよ?」
なんて当たり前のことを言われた。
そう、当たり前のことなのだ。
AVとは、セックスを見せる商売だ。
これから俺たちは、見てもらうためにするのだ。
いつもやっているような自分たちが楽しむためのものではない。
とっくに理解していたはずだが、いざ撮影を前にしてみると、いろいろ思うところもある。
なにかすごく悪いことをするような気さえしてくる。
しかし――、
「見られながらって、なんかゾクゾクしない?」
赤川さんが瞳の中に“♡”が浮かんでいるような笑みを浮かべると、つられて頷いてしまった。
いや、つられたというよりは、本音を引き出されたと言うべきか?
赤川さんと体の相性が抜群の俺は、どうやら“見られると興奮する”という性癖も一致しているらしい。
撮影を前に打ち合わせ等があったが、別に難しいことは言われなかった。
「カメラを意識し、魅せるプレイをしてくれ」
と、一言でまとめられるものだった。
そして撮影が始まった。
青山翡翠のリアル自宅(という設定の、スタッフの誰かの自宅)での撮影。
カメラがドアから入って来るところからスタート。
それを俺と赤川さんで出迎える。
「ここが青山翡翠の自宅ですか~。なかなか乙女趣味ですねぇ」
なんてナレーションをスタッフさんが入れる。
たしかに装飾の半分以上がピンク色で、乙女趣味な部屋だ。何人かいる女性スタッフの中の誰かの部屋なのだろう。
俺はカメラに向かって軽く挨拶をした。
素人っぽく……なんて意識する必要もない。実際に素人なのだから。
それから赤川さんは、まるで本当に自分の家であるかのように中を案内した。
そういう一連の流れが終わると、いよいよ“本番”の撮影だ。
ふたりでベッドに並んで座り、服を脱がせあい、キスをするところからスタート。
休憩やメイク直しを挟みつつ、撮影は三時間ほど続いた。
「君、なかなかいいねぇ。見栄えするプレイするじゃないか」
撮影の後、会社の偉い人からそう褒めてもらえた。
出演を決まって以降、赤川さんと撮影を見据えた練習をしてきた成果が出たのだろう。
「また男優やってみるつもりある? あるなら、今度のに呼ぶよ。ひとりの女優が一日で百人を相手にするって内容なんだけど、それに参加しない?」
「いいんですか?」
「回復力があってひとりで何人分も働いてくれそうだからね。期待してるよ。あ、たくさんいる男優のひとりだからギャラはすごく安いよ。そっちの期待はしないでよ」
そこに赤川さんがやって来て話に加わった。
「おもしろそうな仕事もらえたじゃない。おもしろそう、見学に行こうかな?」
「いやいやいや、青山さんも今度やってみます? 売れたら第二弾、第三弾と続けると思うから」
「百人はキツそうですねぇ。う~ん……撮影を見てから考えます」
なんて話を笑いながらして、俺のデビュー作の撮影は終わった。
それからしばらくして、その仕事の日になった。
この日、赤川さんは本当に見学に来た。
その日の主演の女優さんは、かなりの売れっ子だ。数年前から活躍している人で、今のAV業界の顔と言ってもいい人のひとり。
その辺のアイドルにも負けないルックスだが、かなりハードなプレイを楽しそうにこなす人だ。
高校時代の友人のAVソムリエたちの全員が、彼女をS評価していた。なので、俺も彼女のAVをそれなりに見たことがある。
……たぶん、青山翡翠以外では、一番見たと思う。
初めての相手が一番好きな女優さんで、次の相手が二番目に好きな女優さん――俺はなんという幸運な男だろう。
そんな感慨にふけりながら参加した撮影は、我ながらうまくできたと思う。
他の男優の中には素人もかなりまざっていたらしく、緊張で役に立たなくなる人もいた。そんな中で、俺はおそらく一番数をこなすことができた。
「やるじゃん、カッコ良かったよ」
撮影終了後、赤川さんがそう褒めてくれた。
そこに今日の主演の女優さんもやってきた。赤川さんとは顔見知りのようだった。
「この人、翡翠ちゃんが連れてきたの?」
「そうですよ」
「若いのにかなりやるよ。将来有望だね。まぁフィジカル頼りで、テクはいまいちだけど」
「これでも最初の頃よりはだいぶよくなったんですよ。最初はひどいお粗末で」
「成長中か。じゃあ伸び盛りの今こそ、いろいろ経験積まないとね。今日の撮影、ヘタな人が多くてあんまり楽しめなかったんだよね。これから二次会したいんだけど、ホテルに連れて行っていいかな? この人のフィジカルなら、まだできるでしょ?」
「さすがにひとりでは行かせられないですね……でも前に仕事紹介してもらった恩もあるし……じゃあ私も同行するってことで」
「お~、三人でしちゃう?」
「ずっと見ててムラムラしてたので」
俺の意志などまったく無視で、この日はふたりに連れられて朝まで搾り取られた。
その噂が広まったらしく、俺は複数の人気女優に認められた“期待の若手株”として扱われるようになった。
それからさらにいくつもの仕事をもらえるようになり、様々な女優さんと経験を重ね、また先輩の男優さんから技術を学ぶ機会も得られた。
デビュー作が発売される頃には、AV男優の端くれと言えるくらいにはなれた……ような気がした。
そしてデビュー当日。
出演したDVDが届いたので、赤川さんの家で鑑賞会をすることにした。
テレビの画面に映った自分たちを見る……というのは、なにか不思議な気がした。
いつもしていることではあるが、画面を通して見ると妙に恥ずかしいと言うか……こういうことは、きっとあまり客観視してはいけないのだろう。
ところで、映像にどこか違和感があった。
これまでたくさん見てきた赤川さんの出演策とはなにかが違う気がする。
それがなにか考えてみたが、画面を凝視し続けることができず、逃げ場を求めるように赤川さんの手を握り、肩を抱き寄せ、キスをした。
「自分がしてるのを見て興奮しちゃった? じゃあ、映像を流しながらしようか?」
そして、画面に映った自分たちを見ながらした。
その最中に違和感の理由に気付いた。
事後、いつものように赤川さんを抱きしめながらそのことを話した。
「いつもよりキスが多かったんですよ」
「なんの話?」
「今回のDVDでは、プレイ中にキスする率っていうか、時間がかなり長いんですよ。他の作品だとそこまでじゃないのに、今回のはキスしてばっかりな気がしてたんです。そういえば今日もキス多いな~、ってプレイ中に思って気付いたんだす」
「あ~……言われてみればそうかも。自分では意識しなかったけど」
「なにか理由あるんですか?」
「そんなの彼氏とのエッチだからに決まってるでしょ?」
「……………………」
一瞬、頭がフリーズした。
彼氏?
俺が?
セフレでなくて?
「あ、ああ、そうか。今回の作品はそういう設定でしたもんね。あやうく勘違いするところでした」
「設定? 勘違い? ねぇ、なんの話してるの?」
「なんのって……」
「私たち付き合ってるよね? だから、リアル彼氏としてるところを撮影したいって企画を紹介したんだけど」
「え、俺たち付き合ってるんですか⁉ いつから⁉」
「それはわからないけど、なんかいつの間にか付き合ってた、ってアレでしょ?」
「そうなんですか?」
「そうなんだと思っていたけど……」
ものすごい根本的なところですれ違っていたことがわかり、しばらく呆然とした。
だが、抱き合いながら見つめ合い、どちらからともなく笑い出した。
「なになに、いちいち告白とかしないとお付き合いできないタイプ? 中学生かよ!」
「しかたないじゃないですか、男子校出身で彼女なんていたことないんですから」
「そういうことならもっと早く言いなよ。さっさと告ってあげたのに。それとも、そっちからしたい?」
「じゃあ……赤川さん、俺と付き合ってください」
「いいよ。っていうか、とっくに“突き”合ってるけどね」
「いや、俺が突いてるだけで、合ってはいないですよ」
「では今度は、私が突いてあげよう。そういう仕事も来るかもしれないし」
それからふたりでまた笑った。
笑いやむと、赤川さんはまじめな顔になった。
「一応聞いておく。AV女優なんかが彼女でいいの?」
「赤川さんがAV女優だったから知ることができたんです。AV女優だったから、好きになることができたんです」
「学校のみんなが私の乳首の色知ってるけど、それでもいい?」
「俺だって似たようなもんですよ。赤川さんとの共演作が発売されたんで、近いうちに俺がAV男優なのも周囲に知られるでしょう」
「そういえば、なんで男優になろうと思ったの?」
「赤川さんを満足させられるテクを身につけたくて」
「そんな理由で? 私のために、AV男優になったの? ……ぷっ、あははははっ、君って本当におもしろいね」
「変でした? っていうか重すぎました?」
「いいよいいよ、最高の彼氏君だ」
赤川さんは俺の胸に顔を埋めてから、静かな声でこう言った。
「今さらだけど、これからは恋人としてよろしく。というわけで、たまにはエッチなしのデートとかしてみようか? とりあえず次の週末、遊園地でも行ってみる?」