エピローグ
国際的な秘密結社「闇の連鎖」の陰謀は、ルナの**大災害召喚と、ルクリアの絶対零度氷棺**という、文字通りの「破壊と高笑いのシンフォニー」によって阻止された。浮遊大陸の一部は完全に消滅し、世界は辛うじて破滅を免れた。
戦いを終えたルナとルクリアは、国王から約束されていた報酬――世界に伝わる秘宝と、美食ツアーを満喫していた。灼熱の砂漠王国サハラデスでは、ルナがラクダの丸焼きを豪快に平らげ、ルクリアは砂漠に咲く幻の花をあしらったデザートを優雅に味わった。技術大国ギアハルトでは、ルナが最新鋭の合成肉を大量に注文し、ルクリアは精巧な機械仕掛けのティーセットで優雅なティータイムを楽しんだ。そして、神秘の島国アクアリーヌでは、ルナが巨大な海の魔物を釣っては即座に焼き尽くし、ルクリアは海底に沈む古代遺跡を背景に優雅にポーズを決めていた。
「いや〜、やっぱ美味いモンは最高だぜ! 毎日こんな美味いモンが食えるなら、世界を救うのも悪くねぇな!」
ルナは、満面の笑みで巨大な肉の塊にかぶりついた。彼女の顔には、旅の疲れなど微塵もなく、ただ純粋な幸福感が満ち溢れている。
「おーっほっほっほっ! ゼフィロス! ご覧なさい! この秘宝の輝きは、わたくしの美貌をさらに引き立てて差し上げますわ! まさに、わたくしに相応しいものですわね!」
ルクリアは、手に入れた秘宝を自らの顔の横にかざし、高笑いを響かせた。彼女の顔には、自らの「美学」が満たされたことへの満足感が浮かんでいる。
しかし、その裏では、ゼフィロスの胃痛がピークに達していた。彼の前には、山と積まれた莫大な復旧費用の請求書と、ルナがぶっ壊したものの弁償を求める各国要人からの怒号交じりのクレームが並べられていた。
「ううっ……私の胃が……もう、これ以上は耐えられません……!」
ゼフィロスは、青白い顔で机に突っ伏した。彼の脳裏には、半壊した最高科学庁、砕け散ったサンゴ礁、そして消滅した浮遊大陸の光景が、走馬灯のように駆け巡っていた。世界各地の要人たちは、直接国王に訴え、ルナとルクリアの責任追及を求めていたが、国王は「二人には世界の危機を救ってもらった恩がある」と、のらりくらりとかわすばかり。結局、全ての弁償と復旧費用は、ゼフィロスが所属する王室の経理部に回されることになったのだ。
「あたいが世界を救ってやったんだから、これくらい当然だろ? なぁ、ゼフィロス?」
「おーっほっほっほっ! ゼフィロス! わたくしの美学が、この世界の危機を救ったのですわ! 感謝なさい!」
ルナとルクリアは、ゼフィロスをちらりと見て、悪びれる様子もなく言い放った。彼らの言葉は、ゼフィロスの胃にさらなる激痛をもたらした。
世界は平和を取り戻したかに見えたが、莫大な復旧費用と、ルナがぶっ壊したものの弁償を巡って、ゼフィロスと各国要人の胃痛はしばらく続きそうな気配で物語は幕を閉じる。そして、ルナとルクリアは、そんなことなどどこ吹く風とばかりに、また新たな金儲けのネタを探しに、次の旅へと旅立つだろう。
「次は、どこの美味いモンを食いに行くか、だな!」
「おーっほっほっほっ! 次は、どこの世界に、わたくしの美学を広める場所があるかしら!」
二人の高笑いが、青い空に響き渡る。その高笑いは、ゼフィロスの、そして世界中の要人たちの胃を、これからも容赦なく刺激し続けるだろう。
黒幕は、ローゼリア王女