一 レノアーデの授業
わたし達は列車ジャックの事件を解決し終えた。腑に落ちない点はあったけど……
あの罪業者二人……片方は赤き剣のリーダー? だっけ?
列車ジャックに赤き剣が関わってたみたいだけど……どうゆうことなんだろ?
……まあ良いや〜
せっかく中央都市に着いたんだしね!
やっと夢の裁司者になれるんだよ〜
そう、わたし達は列車を途中で乗り換え、それから中央都市に着いていた。
「ここが中央都市なんだね〜。見て見てライ、シオンちゃん、広いよ〜」
「おい、はしゃぐなって。田舎もんだと思われんだろ」
ライルはそう言ってくるが、この都市を見てはしゃがずにいられないよ〜
「付き合ってられないわ。ワタシは先に協会に行くわよ」
シオンちゃん……先に行っちゃうんだ……そっけないな〜
「あっ、待って! わたしも協会に行く!」
呼び止めるとレノア隊長、今は仮部隊解散したから違うよね。
レノア先輩はコホンっと咳払いをする。
「皆、協会での登録のことなんだが、ファーレイから話があるそうだ」
話? なんだろ?
わたしが楽しみにしてるとファーレイ君は口を開く。
「協会の登録は今日しても大丈夫ですが、部隊任命等は数日後になるとの事です。登録したら専用宿舎にて休んで貰って構わないそうです」
「そっ。ならワタシは先に行かせて貰うわ」
「待ってシオンちゃん! そうはいかないよ〜」
わたしは、シオンちゃんの腕を掴んでグイっと引き寄せる。
「みんなと一緒に行動しよ〜。まずは観光だね!」
「アンタ、何でそうなるの……ワタシは先に……」
シオンちゃんは一人で行こうと、わたしの腕組みから逃れようとする。
「そうはいかないよ〜ってわたし……言ったよね」
これでも、離さない自信はあるよ……
──わたし達は、ある女神像の前に来ていた。
「わあ〜これが女神ユスティアさまの像なんだね〜。きれい……」
わたしの言葉にレノア先輩は、「綺麗だな……それにユスティア様は偉大な方だ。今も生きている弟子の最高裁司長様達もな」と反応してくれた。
「何が偉大なんだか……よく分かんねえな。今はその女神様も他の神様も何もしてくれないのにな」
ライルはふてぶてしく言い放つ。
そしたらレノア先輩の様子が変に……?
「ラル……お前には偉大さが分からんらしいな? なら、これから説明してあげようじゃないか……」
なんかライルがレノア先輩の地雷を踏んだみたい……
「……古代、いや神代の頃。まだ神々が人の世に関わりを持っていた時代……」
レノア先輩の授業が始まちゃった……
「悪神と呼ばれる者が、人の世界に異形なる怪物を発生させた。異形は人々を襲い、その様子を見かねた主神は、裁きと正義の女神ユスティア様を遣わした」
で……今の国の象徴の導士さまの先祖さまが出てくるんだよね……
「それでユスティア様は、導士により導かれた一人の少女の身体を借りる。異形と悪神を倒す旅に出るのだった。さあ、ここからだからな」
レノア先輩は続けて話してく。
「その旅の中で……七人の弟子を取り、自身の裁きの力を与えたとされている。それこそが後に、裁きの力と呼ばれるものだった。旅を進めつつ異形を倒していき、悪神のいる所まで辿り着く」
いよいよ、盛り上がるところだね……
「戦いは熾烈を極め、四人の弟子が命を散らした……。だが残りの弟子と協力して、ユスティア様は悪神を倒すことに成功する。……その後は、弟子三人がユスティア様から神の権能の一部と不老不死を与えられる。ユスティア様は少女の身体から離れ天に戻ったのだった」
あとは確か……
「でもそれで終わりじゃない。お弟子様三人は自らを裁司者と名乗り、これこそが裁司者の始まりだった。のちのちになるが、お弟子様三人は神の権能で裁きの力を与えていき、やがて裁司協会を組織した。さらに最高裁司長になり組織のトップに就いた」
ここまでレノア先輩が話したところでライルは疲れきった顔をしていた。
「まあ、ここまでにしておくか。まだ、あるのだがな」
ようやく、歴史の授業が終わったみたいだね。
それからわたし達は、移動して店等を見て回る。協会に着く頃には日が暮れそうだった。