四 赤き剣
作戦が始まって列車ジャック犯達の悲鳴が聴こえた……
すぐ静かになったけどね……じゃあ取り押さえたのかな?
こちら……列車内部……犯人達を拘束完了よぉ〜
頭の中に、導士のお姉さんの声が響く。良かった〜安心だね……
こちら隊長レノアーデ……了解した……
レノア隊長は返事をした。その時だった……!
列車の窓硝子が割れたのだった。な、何が起きたの?!
こちら列車内部……! 罪業者と思われる者が複数!
……しばらくして。
……こちら罪業者達の無力化に成功……繰り返す、無力化に成功……
──程なくして列車内部の裁司者から思考が流れてくる。
ぐっ……! 気を付けろ! まだ罪業者が潜ん……で……
そこで途切れた……まだ罪業者達が? 大変だよ……
……今向かう! 場所を教えてくれないか?
おおよそでいい……誰か……!
レノア隊長の思考が流れる。
恐らく……列車一号から三号車よぉ〜四号車にいて前から悲鳴のようなのが聴こえたから……
レノア隊長……二号車です!
わたしの思考に隊長は答える。
……ああ、私もそう思ってた!
レノア隊長は走る。二号車の上に経つと光状の剣を生み出す。
下にある2号車の天井の一部分を、四角に刻み穴を造ると、足から飛び込んだ。
わたしも続く。えい……
2号車内を即座に見る。ビンゴッ!
わたしが動くより早く、レノア隊長は罪業者一人、二人を気絶させた。残り一人……
その一人が大声を上げる。「何なんだよ、お前らぁ!?」
罪業者は手をかざし攻撃をしてこようとする。
だけど、わたしは硬質化させた翼の羽根を、一本だけ手目掛けて放ち命中させる。
……そうはさせないんだから〜
既にレノア隊長は、距離を詰めて相手の頭を掴んでいた。
「動くな! 私の光と熱の力で火傷したくないならな」
「ひっ! 分かった、降参だ。とでも言うと思ったか!?」
罪業者は隊長の頭に手をかざし、力を使おうと……
その時、気品のある女性の声が響いた。
「おやめなさい……そこまでよ」
「誰?!」赤いフードにローブ……まさか罪業者たちによる反組織……赤き剣……なの? そんな……赤き剣が関係してたなんて……
わたしの質問に気品のある罪業者の女性は答えない。
「そのお声は……ということは隣の方は……もしや!?」代わりに、レノア隊長と相対していた罪業者は、丁寧な口調になった。
「そうよ……我らが赤き剣のリーダーの御前よ……」
気品のある罪業者は、奥に控えている同じく顔を隠している罪業者をリーダーだと言った……
「こちらに来なさい……貴方には失望したわ」
気品のある罪業者はため息をつく。
「それが、この裁司者に頭を掴まれてまして……」
罪業者の男がそう言うと……
「それならワタクシの力で動けなくしてあるわよ?」と気品のある罪業者はそう答える。
見れば、隊長の様子が変な気が?
レノア隊長はぷるぷる震えていた。何かに抵抗しているみたいに……
「レノア隊長、ダイジョブですか?!」
「ア、アリシェア……」
レノア隊長はしばらくして、気絶してしまう。
糸が切れたように倒れ込むところを、わたしは支えた。
「行くわよ……」気品のある声の罪業者と男の罪業者は、天井に出来ていた穴から外に出ていった。
残る一人……リーダー? と思われる罪業者はわたしを一瞥する。
「ま、待って!」
わたしの言葉通りに待つはずがなく、罪業者のリーダー? は、天井の穴から去っていったのだった……