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二 背中を追いかけて……裁司者に……





 「レノア先輩! これはマズイんじゃ!」

 わたしは頬に冷や汗をかく。

 「おいレノ姉、流石に!」ライルもマズイといった顔をしていた。


 「ああ良いだろう。これより、アリシェア、ライル両名に裁きの力の行使を許可する!」レノア先輩は高らかに響く声で告げた。


 「よっしゃ! ようやくだぜ!」

 ライルは嬉しそうに手の平に拳をパンッと打ち付ける。



 本当にようやくだよ……

 わたしは、あの日のことを思い起こす。

 わたしが裁司者を夢見だした時……憧れの背中を追いかけ始めた日……


 八年前……幼かったわたしは。

 住んでいる村を罪業者達に襲撃された……


 家屋から上がる火の手……逃げ惑う村の人達……悲鳴……力なく倒れている人……全く動かなくなった人も……


 わたしは……ライルと安全な場所に隠れようとするため走っていた。ハァハァ……互いに息を切らしながら必死だった……


 そこに罪業者だと思う人が力を使って攻撃してきた。


 当たらなかったが、わたしとライルは転んでしまう。迫ってくる罪業者……ライルは庇って震えながらわたしの前に立つ。


 終わりだと思ったんだ……


 その時、背中が見えたんだ。私達より広い背中……

 「お前たち、子供に何をしてる!」

 その人は果敢に格好良く罪業者に立ち向かっていた。


 暫くしてその人は罪業者を無力化すると声をかけてくれた。

 「もう大丈夫だからな。アリシェア、ラル、よく頑張ったな……」

 その時助けてくれたのがレノア先輩。だからその背中に憧れ、立派な裁司者を夢見たんだ。




 ……だから……ようやくなんだ。ようやくなんだよ……


 わたしは四足歩行の異形を見据え息を吸う。スゥー……


 「行くよ!」そう気合いを入れて声をだし、白い両翼を背中に展開する。すかさず、異形複数に狙いを付けて翼の羽を射出した。

 もちろん、わたしの力は変化の翼。刃のように硬質化して飛ばしてるから通用するはず。


 一体に眉間に命中……「ヨシッ!」でも気は抜けない。二体にはかわされてる。

 わたしはレノア先輩に教えて貰ったアレを試そうと。

 翼の羽を一つ取る。


 「変化!」すると手に持つ羽は光り出し、光が収まると別物に変わっていた。両刃の剣に。


 わたしは、飛びかかってくる異形に剣を構え、次に振り下ろす。

 剣の刃は異形の頭を捉えた。

 だけど終わりじゃない、もう一体いる……

 すかさず右から向かってくる異形を斬り上げで倒した。


 「……やったよ」呼吸を落ち着かせてから、二人の方を振り返って見る。


 ライルは丁度、力で帯電させたガントレットで、異形を倒していた。何故か頭が潰れてて雷電の力は関係ないように見えるけど。

 ライルに言わせると雷電で筋力もブーストしてるらしい。

 一応、黒こげだから雷電の意味もあるのかな……?


 レノア先輩は相変わらず格好良く戦っていた。光熱の力なんだけど流れるように戦う裁司者なんだよね。

 だからか先輩は女性にも好かれていて人気なんだ。


 それから異形との戦闘が終わり、わたし達は再び歩く。




 ──昼過ぎ。太陽が南西に傾き始めた頃には隣の町に着いたと思う。


 ここで列車に乗れば……中央の都市に……裁司協会に着く。裁司者になれるんだね……


 でもトラブルがあったみたいで……


 「すいません! 列車は只今トラブルが起きたため、発車出来ません!」


 すると、一人の女子が「何よ!? なんで発車出来ないの!? これじゃ中央都市の協会に行けないじゃない!」とわめいていた。


 わたし達以外にも裁司者になる子がいるんだね。当たり前だよね……なんか仲良くなれそ。


 それにしても、列車が出発できないんじゃどうなるんだろ?

 わたしは裁司者になる決意と高揚感に先行きの不安とで複雑な気持ちだった。


 でもなるんだ……裁司者に……




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