九 それは巨大な……
わたし達は裁きの力で止めるが、巨大な異形は意に介さない様子だった。
わたしの放った巨大な杭でも止まってくれない……。
どうしよ……
異形はゆっくりと着実にレノア隊長へ近付いてく。
そして……。もうこれ以上無理だよ……。
隊長と巨大な異形の距離は切迫するほどだった。
わたしは思わず声を上げる。
「レノア隊長、逃げ……」
すると、隊長は目を開けた。
光だけは強くなったみたいな光熱の剣。それを上段へ構える。
瞬間、光熱の剣は巨大なものへ変わっていた。
その大きさは巨大な異形の背丈を超えるほど。
レノア隊長は、叫ぶ。
「皆、避けてくれ!」
その声で、ライルとジェイ先輩は横へ退避する。
シオンちゃんの他の使い魔も、こちらに戻ってくる。
レノア隊長は巨大な光熱の剣を振り下ろしてく。
剣先が、巨大な異形の頭部へ当たり、徐々に輝きと熱にのまれる。
最後には、異形の全身が刀身の輝きと熱を受けた。
光が消える頃には、巨大な異形は跡形もなく消えていた。
残ったのは、地面が焼け抉れた跡だけ。
レノア隊長の持つ光熱の剣はいつの間にか小さくなっていた。
剣が手から消える。その時、隊長がフラッとよろめいた。
「大丈夫ですか?! レノア隊長?!」
わたしは駆け寄ると、肩を貸すようにして支える。
「ああ、大丈夫だ……只、この奥の手は気力と体力を使うからな」
「レノア隊長に……あんな奥の手があったなんて……驚きました。でも今は休んでください……」
わたしは優しく言葉をかけた。
気付けば、東の空から太陽が昇りかけていた。
とりあえず、異形との戦いが終わったんだね……




