一 夢と憧れの始まり
わたしは今、夢へ近付く道を歩いている。
道は隣の町へ続く道なんだけど、わたしにとっては夢へ近付いていってる。なにせ、隣町に着けば列車に乗れる。
そうすれば裁司協会のある都市に行けるから。
そうすればそうすれば……ようやく夢の裁司者になれるんだよ……
今、胸が微かにトクン……トクン……ってしてる。楽しみな気持ちもある。
「どうしたのかな? アリシェア?」
わたしは名を呼ばれ言葉を返す。「ううん、ダイジョブです! ただ、ようやく裁司者になれるんだって思ったらドキドキしちゃって……」
目の前の人は裁司協会に所属する先輩裁司者で凄い格好良い女性。名前はレノアーデ・ヴァレット。わたしの憧れの裁司者でもあるんだ。えへへ……
「また、ボケ~っとして大丈夫か? そんなんで異形とかと戦えんのかよ?」
そう弄ってくるのは幼なじみで同い年のライル・ヴァレット。この幼なじみは憧れのレノア先輩の弟。
だけど似ても似つかない……んだよね。
「ダイジョブだよ! わたしの力、変化の翼でイチコロなんだから!」とわたしは自慢顔で笑う。
続けてライルにもう一言。
「ライこそダイジョブ?」
「大丈夫に決まってんだろ? おれには雷電の力があるし。このガントレットがあるからな!」
ライルは自信とやる気に満ちた表情だった。
コホンッ……咳払いの音が聴こえた。レノア先輩からだった。「二人共、分かってると思うが……二人はまだ裁司者じゃないからな。協会の規則に従って力を行使して戦いは出来ない」
レノア先輩は一旦区切り、「だが……」と言葉を続ける。
「……緊急時に限りは、裁きの力の行使が許可される」
「ハイ!」わたしは返事をする。横からライルは……。
「分かってるって、レノ姉。出発する前に説明受けたし」
面倒くさそうにしていた。
「ラル、お前と言うやつは……そもそも緊張感が足りない……」
レノア先輩は、片手で頭を押さえ、ため息をつく。
「緊張感が足りないと油断を招くからな……このようにな!」
レノア先輩は道端の茂みに目を走らせる。すると次に片手を横にかざし、光のような衝撃波を放った。
同時に茂みから跳び出していた何かに命中する。
「な、何っ?」わたしは咄嗟のことに驚く。
「異形か!」ライルは真剣な表情に変わる。
「ああ、異形だ。しかも……多いな」レノア先輩は焼け焦げの異形をチラリと見た後周囲を見渡す。
すると四足歩行の白い異形が次々に沢山現れた……