転生します!
はじめましてのご挨拶。
初めて投稿させて頂く松居タカヒロと申します。
普段は二次創作の方で一次創作の為の修行をしておりますが、自分だけの作品を作りたいと思い投稿しました。
まず、この作品を書くきっかけは新しい物語を書いてみたいという創作欲です。転生は転生ものでも主人公が訳ありな世界だけではなく仲間達が訳ありだった方の物語も面白いのでは無いかと思い書かさせて頂きました。
この様なサイトは初心者なので分からない事しかないですが頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。
ざくざくと整備されていない山道を歩く。横を見ると随分高い所まで来たらしい。今いる高さは軽くバンジージャンプが出来そうなほどだ。景色は良いし空気も美味しい。自然豊かな場所にいるだけで心も身体も浄化されていく。
今日は絶好の山登り日和だと思う。有給休暇にして良かったと思う程に満足な景色だ。ここは、誰も知らない土地。自分のみが知るルート。だからこそ危険が多いがそれでも得るものはある。
それは透き通った綺麗な池がある事。山頂の麓にあるその池は湖というには小さい。だが、普通の池にはないだろうその美しさは一人で来るに相応しいものがあった。
さてさて、と山頂まで来ると目を閉じて大きく深呼吸した。冷たく山の香りがする風が鼻から入って染み渡る。まるで天然水を飲んでいるかのよう。目を開けて景色を一望しながら良しと思うと麓へ向かった。仕事を頑張った自分へのご褒美だ。
草むらを掻き分けて進むと水色に煌めく綺麗な池が現れた。見つけたのは二年前。遠くに行きたいと山をたまたま登っていたら見つけたのがこの池。
名前は知らないが、整備されてもいないのによくもまぁ変わっていないものだ。
誰も手をつけていないからこその池なのだろう。俺は久しぶりに来れたと池の近くによった。透明な水のおかげで下の方まで見える。池の下の方に何かが光ったように見えた。もっと近くへ寄りたいと思って顔を出すと足が滑ってそのまま池に落下した。
大きな水しぶきが上がる。身体は一気に水の中に深く入り込む。上がろうとするも大きな装備品により上がって来れない上にそういえば俺は泳ぐのが苦手だった。
誰も知らないルートのここは電波が入らないし「助けて」と叫んでも近くに家は無い。まずいまずいと身体が危険信号を出す。何とか上がらねばと必死に藻掻くが冷たい水が身体を冷ましていく。ばしゃばしゃと手を動かすが逆効果だ。次第に疲れていって気づけば視界はぼやけていった。
目を覚ますと目の前には青空が広がっていた。誰かが助けてくれたのか、はたまた俺は死んだのかと目を動かすと如何にもご老人が自分の身体を囲んでいた。なんだなんだとゆっくり身体を起き上がらせるとご老人達が見渡す限り集まっており大歓声を上げた。
「うぉおおおお!勇者様!!勇者様がお目覚めになったぞぉ!」
「勇者様!!勇者様ァァ!!」
勇者様って何?俺ですか?と目を見開いていると一人のおばあちゃんが俺の手を取ってきた。シワシワの指に包まれたがとても暖かい。生きていると感じ取れる。
「ありがたや……おぉ、ありがたや。これで村は救われる」
何か意味深な事を言っているが返答した方がよろしいのだろうか。勇気を振り絞り声を出してみた。
「あのー……ここってどこですか?」
「勇者様がお話になられた!!!バンザイ!!」
聞いてみたもののご老人達は一斉にバンザイをし始めた。そんなにおめでたい事なのだろうかと苦笑いしながら上を見あげた。すると、手を握ってきたおばあちゃんが自分に語りかけてきた。
「勇者様。貴方様は我らの村、ダイイチの空から降ってきたのです。かつてこの村は若き人間が多く住まう場所でした。活気で溢れていたのですが二日前に魔王が侵略してきて村の半数は死に、残りは呪いをかけられてしまったのです。その悲しみに浸る中、空の神はこう仰ったのです。時期に魔王を倒す勇者が現れると……。それが貴方様なのです」
「……はぁ」
つまり魔王によりダイイチ村が呪いをかけられて悲しんでいる所に空の神様がそのうち勇者来るから待ってろ、と言った後に俺が来てしまったらしい。そんなおとぎ話の様な展開に俺が主人公みたいになってしまった。
とりあえず立って周りを見てみると村の中でも一番大きな建屋に案内された。その位の大きさだからイカつい村長さんかなと思っていればヨボヨボのおじいちゃんが出てきた。まぁ、座れと案内されて村長さんのご自宅にお邪魔することになった。
「お……おぉ……ゆ、ゆ、勇者よ。よ、よく、よくぞ……まい……(ら)れた」
「なんて?」
兎に角この村は魔王によって全員自分と同じくらいか若い人間が多かったのをご老人に変える呪いをかけたらしい。ダイイチ村に呪いをかければ戦える勇者は現れないと思ったのだろう。残念、空から降ってきてしまいました。
「ゆ、ゆゆ……ゆ……」
多分「勇者よ!!」と言いたいんだろう目の前の村長さんは少し粘って「勇者」を絞り出そうとしたが諦めたかのようにため息をついた。
となると展開的に自分が魔王を倒さなければならなくなる。とんだ呪いをかけられたものだ。
「あ、あ……あなた様には是非、村を……このダイイチ村を救って…いた、いた、頂きたい」
「お断りします」
「…………え?」
そんな義理自分にはないと思う。俺はただ上から降ってきただけ。それを勝手に勇者と言われて村を救ってくれなんて、見ず知らずの人を助けたくは無いのだ。
「……も、も、もう一度」
「ですから、お断りします」
「…………え?も、もう一度」
「……お断りします!!」
このおじいちゃん本当は聞こえているのではないだろうか。内心呆れて居るが、おじいちゃんは聞き返してくるので何度も言い返すが聞こえないと言う。初めは小さかった「え?」も段々と大きくなって行った。
「おーこーとーわーりーしーまーす!」
「えぇ??」
「…………」
「よ、よよ、よよよく、よく聞こえんのじゃああ……耳が、遠くてなぁあ」
「嘘つけぇ!聞こえているだろう!」
思わずシャウトしてしまった。おじいちゃんは耳を済ませてうんうんしたままだ。本当に聞こえていないらしい。そんな風にしてしまった魔王め。ここだけは許すまじと思う。せめて判断できるおじいちゃんにして欲しかったと心の底のマグマがふつふつと湧き出してきた。
これでは意思疎通できないでは無いかと思う。
「村長さんは、お幾つなんですか?」
「わし?今………なんじゃっけな。わからん!」
「おとうさんは百歳じゃよ」
「おぉ、そうだったか?」
「勇者が負ける度、呪いがどんどん大きくなってしまってねぇ……私ももう九十だよ。あはは」
「勇者が負ける?」
村長の奥さんらしき人は言った。みな歳が八十から百になると。ダイイチ村から送った勇者が魔王に負ける度に村に来て呪いを課せられるそう。それは年齢という呪いだった。
昔は生き生きとした若い人間が勇者としてパーティを連れて魔王を倒しに行ったがどれも叶わずおかげで年齢はどんどん上がっていったという。そもそも俺が好きだったゲームでも最初の村や途中の街に殆どご老人は見かけない。みな設定上、不老不死であるからだ。だが、年齢という呪いをかけられた人間達は不死にはならずとも不老ではなくなってしまったため、とても生きづらいという。
何故なら、彼らの設定上では若い人間の姿をしているからだ。それが何故か魔王により年齢を何度も重ねられご老人の身体になってしまい、生き生きとしていた活気は失われ、生活するのも苦しいのが今の現状だという。
「この村はもうダメになってしまったのじゃ。もう勇者になれるものはおらんし……みな爺婆になってしもうた。あと何回か年齢を重ねられたら今度こそわしらは寝たきりじゃ」
「……」
「天空から舞い降りた勇者よ。是非ワシらを助けてくれんかね」
そう言われると弱いのが俺の本性。勇者が負け続けているのは聞き捨てならない。おじいちゃんおばあちゃんが寝たきりになるのは村としても遺憾だろう。良しと決まれば俺は膝を叩いて立ち上がる。
「引き受けましょう。そして今度こそ、魔王を倒しダイイチ村を救ってみせます!」
「おぉ……おぉ、それでこそ勇者!!」
「ありがたや!!!」
ーー月日が流れ。
「それでは、行ってまいります!」
「ちょ……ちょっとま、ままま……まっとくれ!」
十分な装備をした俺は村を出ていこうとする。そこへ村長が引き止めた。杖を動かし、よいせよいせとゆっくり歩いてくる。
「あ、あ……あ……あ……」
「……」
なんだろうこの既視感。ふわふわと手を差し出してくる物体を思い出していると村長さんを見かねた奥さんが口を開いた。
「貴方に連れて行って欲しい子がいるんだけれど」
「俺にですか?」
勇者の連れ……ならばパーティになる子だろう。勇者は仲間を連れて魔王に立ち向かうのだ。たった一人ではなし得ない事だから。
「お、おぉーーい……きゃさりん」
きゃさりん…?誰だそれは。そんな人いたっけなと少し想像する。キャサリンだから金髪のツインテールで目が青色の女の子。そうだったらいいな。そうだったら……いいなと思いながら出てきたのは大きな杖を持つどころか支えにして歩くおばあちゃんだった。
「きゃさりんです……どうぞよろしくお願いします」
「お……よろしくお願いします」
よいせよいせとキャサリンは魔法の杖を支えにしながらゆっくりと歩いてきた。こんなので大丈夫だろうかと思うが魔王がこんな事にしたので魔王が悪いのだ。本当に戦わせる気無くそうとしているらしい。
ま、まぁ魔法のステータスは見た所高そうだし大丈夫だろう。そういえばという所なのだが、俺は勇者としてのステータスは出発する前日に確認した。レベルは五。最初はこの位だろう。勇者スキルは今のところない。レベルをあげるにつれスキル解放はされていくのだろう。
それはさておき、キャサリンと俺は村に別れを告げて出発する事にした。
「はぁあ……待っておくれ。勇者様ぁ」
「……大丈夫かな。これで」
次の村まで歩くのにはどれだけかかるだろう。俺の速さで行けばそんなに遠くはないけれど問題はキャサリンだ。とてもゆっくりなのだ。亀より遅いその足で本当に……本当に勇者は倒せるのだろうか。
そこへ現れたのは一匹のウサギ型の何かだった。プリンみたいなゼリーみたいな何か。スライムだろうか。
「キャサリン!戦闘態勢だ!」
「はいっ!」
きっとこれはゲームでいうチュートリアルだろう。それなら余裕だ。何せキャサリンはレベル百なのだ。なんと心強い。勇者がレベル五なのに対して差が激しい。まさか以前の勇者達とよく冒険にでも行っていたのだろうか。
キャサリンは杖を構えて大地に力強く突き刺した。どんっ、という音と共に魔法陣がキャサリンの目の前に現れキュイイインと音を立てながら眩い光を放った。
そして、ポンッと光が出てきた。それはふよふよと空中を泳ぎながら敵スライムにぺちっと当たった。やりきった感のあるキャサリンは肩で息をしているがスライムのダメージはたったの「一」だ。
その場がしーんとなった。キャサリンは肩で息をしている。スライムも俺もただ見つめ合うだけ。
まさか、とは言いたくないがレベル百というのはまさか……年齢のレベルが百という事なのだろうか。いやしかし、キャサリンの魔法レベルは最大値の百だ。だとすれば……魔法に対して年齢という呪いが。力が足りない?という事だろうか。
「……嘘でしょ」
俺は思わず声を出す。キャサリンは肩で息をしている!だが、グッジョブと指を立ててきた。いやグッジョブでは無いのだが。
スライムは何を思ったのかキャサリンに向けて突進してきた。それを危ないと俺は剣を抜きそのプヨプヨの身体を真っ二つに切り裂いた。すると、自分のレベルが上がる。未だに肩で息をするキャサリンのステータスを見ると何故かレベルが下がった。
「まさか」
そのまさか。キャサリンは少し変化を感じたのか重い腰を少しだけ伸ばした。どうやら、俺のレベルは上がっていくが彼女のレベルは下がっていくらしい。
俺のレベルは年齢ではなくステータスのレベルなのだがどういう事なのだろうか。キャサリンは年齢が下がっていく。魔法のステータスは下がらずに。この世界は一体……なんなのだろうか。魔王を倒したらそれは何時か分かるのだろうか。
読んで下さり有難うございました。
まだまだ未熟ですが、沢山読者して頑張って書いていこうと思っておりますので応援よろしくお願い致します




