表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/96

収監中ですが勉強させていただきます

翌日、朝食が済んで侍女さんが食器を片付けるのと入れ替わりで、口髭を蓄えた厳しい顔のおじ様が分厚い本を3冊抱えて部屋に入って来た。

昨日、ジークさんが言っていた教師の人かな?


「おはようございます。本日よりお嬢さまの国文学を担当いたしますサミュエル・グリードです」


私は慌てて立ち上がり、淑女の礼をした。


「ルナ・・・」


家名を言おうとしてハッとした。

自分が他国の者だと言わない方が良いのでは?

ジークさんも余計な事は言うなと言っていたし・・・。


「お名前は結構です。旦那様からはお嬢さまとお呼びするよう申しつけられております」


さすがはジークさん。

私が身バレしないように配慮してくれている。


「あの、他に何か私の事を伺っていらっしゃいますか?」

「止ん事無き事由で学園に通うことが叶わない為、こちらで教育を受けさせたいと伺いました」


止ん事無き事由、ねぇ。

単なる囚人に教育を施してやろうという、金持ちの気紛れですが。

まぁ、何もしない一日を過ごすよりは、好きでもない文学もちょっとは刺激になるだろう。


・・・と思っていたのだけれど、予想以上に辛かった。

セルバン王国もルシュカン帝国も公用語は同じだ。

しかし、帝国国文学はルシュー語、つまり古語を習うのだ。

更には、学習が進むと、次に古代語を習うのだそう。

これは魔法を操る上で避けては通れない。

強力な魔力を引き出すには、古代語の詠唱が必要だからだ。

私にとってルシュー語はどうでもいいが、古代語は是非とも習得したいところ。

ルシュー語が理解できなければ古代語も理解できない為、回り道と知りながらもこの教科を修了しなければならない・・・とほほ。

いつか力を付けてここを(爆破して)出ていくその日まで、生きていく上で必要な知識は沢山あった方がいい。

あの腹黒美人をいつかギャフンと言わせてやるのだ!


それからは、週末以外は勉強の日々だった。

教師による虐めも無く、淡々と学習に取り組めた。

しかし、ひとりだと味気ない。

学生の醍醐味は友情と恋愛だ。

本当なら、今頃、セルバン王国の学園でヒロインとしてブリブリ言わせてたんだろうなあ。

チヤホヤされるのが嫌なわけではないが、色んな男に色目かけるのは女としてやはり気に入らん。

だが、この監獄に居ては恋愛しようにも出来ないではないか。

どうにか刑期を切り上げて釈放にならないものか・・・。


「クロ、あなたはお友達いるの?彼氏とかいたりする?」


クロは、綺麗な青い瞳で私を見ながら小首を傾げた。


「クロは大好きよ。でも、お喋り出来るお友達もやっぱり欲しい!ついでに彼氏も欲しい!」


クロを掲げ上げながらベッドに仰向けに倒れる。

うっ!

まただ、左眼が・・・。

そう構えていると、やっぱりジークさんが部屋に現れた。


「お前のお喋りに付き合えるような奇特な人間は、そうそう居ないだろうよ」

「いつも思うんですけど、どうやってこの部屋に入って来るんです?」

「当然、外からだが?」

「扉以外からどう入って来るのかを聞いているんです。それに・・・」

「それに?」


何故、彼が現れる前に、いつも左眼が疼くのだろう?

ラグーの市で初めて会った時からだ。

ジークさんは蜘蛛や蝙蝠みたいな人外の能力を持っているからなのか?

この人、何か本当に電波みたいなものを発しているのかな?

それが反応して、ヤバイやつが近くにいる-みたいな警告を私に教えてくれているのかな?


「何を難しく考えているんだ?」


この左眼の痛みとジークさんが関係あるのか分からないけれど、詳しく知ってしまったら何となく不味い気がした。

ジークさんが人ではないと知ったら、新たなフラグが立ちそうで怖い。

だから、話題を変えることにした。


「お友達が欲しいです」

「クロがいるだろう」

「クロは大好きです。でもお喋りできません」

「すれば良いではないか」

「クロにも喋ってほしいんです。それに、同年代のお友達も欲しいです」


だから外に出してくれーっと言いたかったのだが、またしてもジークさんは額に手を当てて溜息を吐いたので口に出来なかった。

・・・でも、友達欲しいんです。


「ジークさんのお友達を紹介してください」

「また突拍子もないことを言い出したな」

「ジークさんのお友達ってどんな方ですか?」

「・・・友人はいない」


えっ?!

お友達いないの?

ちょっとコミュ障っぽいなーとは思っていたが。


「えっと、なら、ご家族とか、妹さん?奥さん?私に年齢の近い女性は?」

「お前、さりげなく俺の身辺調査をしているのか?」

「誰でも良いです。あっ、出来れば私みたいな学のない小娘でも、話相手になって下さる寛容な方だと助かります」


険しい顔をした後、ジークさんは嘆息しながらこちらに向き直った。


「そんなに外に出たいのか?」

「出して下さるんですか?!」

「短時間だけだ。街に連れて行ってやる」


うっっしゃあああー!!

言質取ったーっ!

ここに閉じ込められて3ヶ月、やっとシャバの空気が吸える!・・・涙。


それにしても、お友達紹介してくれ作戦は失敗だったが、そんなに私に紹介したくなかったのかな?

遠回しに存在をダメ出しされている感じで、ちょっとへこみますね・・・泣。


お読みいただきありがとうございます♪

週末はお休みして、週明けからまた次話を掲載していきます。

続きも読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ