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I am Aegis 4  作者: アジフライ
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第47話【東の海】(後編)

前回からの続き……

『ゴグァァァアァァァ! ! ! ! 』

暗闇の中からミヴァルネルの叫びが聞こえる。

『何故だ……何故防御ができない! 』

『覇神龍の力を前にお前の防御は無意味だったようだな……』

それを聞いたミヴァルネルは狼狽えた。

『覇神龍……だと……! 』

そうか……ミヴァルネルはザヴァラムを覇王龍のままだと思い込んでいたのか……能力透視のスキルを持っていなかったのか……

……? 何かおかしい……レベル1000のはずなのに……フェースの攻撃も効いてる様子だった……しかも持ってるスキルや魔法……どれもレベル1000ならざる強さと数……何かおかしいぞ……?

イージスはミヴァルネルの強さに不信感を覚えた。

「……まさか……やってみるか……」

そう呟くとイージスは足元に魔法陣を展開した。

「ラム、 下がってくれ……」

『? …はっ!』

そしてザヴァラムは人の姿に戻り、 イージスの後ろに下がった。

すると魔法陣は光の波動を放った。

「スペル・カタルセオース」

(スキル、魔力阻害を発動します。)

もし俺の予想が合っているならこのレベルのスキルとの合わせ技ならいけるはず……

するとミヴァルネルが慌てた様子で叫んだ。

『や、 やめて! この雲を消されたら! 』

や、やめて……?

次の瞬間、 渦巻いていた雲が一気に晴れていった。

「なっ! イージス様、 一体何を! ? 」

「試しにやってみたんだが……予想通りだった……」

するとイージス達の上空から声がしたと思ったら何かが落ちてきた。

「ふぇぇえぇ~~~! ! 」

「え……」

落ちてきた何かはイージスの頭に直撃した。

『ぐぇっ! 』

イージスと何かは変な声を出し、 倒れた。

「イージス様! 」

「イテテ……何だ? 」

イージスが落ちてきた何かを確認するとそれは……

「うぅ……」

『お、 女の子! ? 』

なんと少女だったのだ。

やっぱりなぁ……あの雲は確かに魔力の塊に間違いは無かったが、 出てきたドラゴンやら攻撃……レベルは恐らく偽物だった……

(はい、 主様の思惑通り……スキル、 偽装とステータス隠蔽を使っていました。)

あとは魔法もいくつか使って強く見せたり、 大きく見せていたんだろうな……

そんなことを考えていると少女は目を覚ました。

「う…ん……ハッ! 」

イージス達に気付いた少女は甲板の端に逃げた。

「い、 命だけはご勘弁を! ! 」

「いや、 別に命までは……」

イージスは少女を落ち着かせ、 話を聞くことにした。

「なるほどなぁ……君は確かにミヴァルネルに間違いは無いと……」

「は……はい……」

「それで、 一体何をしていたのだ」

ザヴァラムは脅すようにミヴァルネルに聞いた。

「うっ……それは……」

ミヴァルネルは話し始めた。

「……皆さんは魔の海の伝説を聞いてましたよね? 」

「あぁ」

「実はあの伝説を流したのは私で……今まで少しずつ弱い魔力を集めて雲を作り、 あのような幻影を見せるようにしていたのです……」

なるほど……高密度の魔力反応の正体はあの弱い魔力が寄せ集まった雲だったんだな……本人自体からは強い魔力を感じられない……

「何故そんなことを? 」

イージスが聞くとミヴァルネルは顔を赤くして答えた。

「ザ……ザヴァラム様に……憧れていたんです! 」

「は……私! ? 」

ラムに憧れていたのか……まぁ大方そんなものだと思っていたが……

「だ、 だってザヴァラム様は覇龍族一の強さを誇る覇王龍ですもの! いえ、 今は覇神龍ですっけ……どちらにせよ! そんなザヴァラム様に私は刺激を受けたんです! ……当然、 私如きがザヴァラム様と対等にいられる訳が無いのは分かっていました……ならせめて、 ザヴァラム様と同じくらいの大きな伝説を作って、 ザヴァラムに振り向いて欲しかったんです! 」

……分かるかもな……人も時にある人に憧れを抱き、 その人に振り向いてもらいたくて努力をする……それは間違ったことではない……だが……

「ミヴァルネル……君の気持ちは分かる……でもな、 他の関係無い人達に迷惑をかけるようなことは褒められた事じゃない」

「うぅ……」

すると落ち込むミヴァルネルに対してザヴァラムは言った。

「おい、 お前」

「は、 はい! 」

「お前の幻想魔法……悪くは無かったぞ……私を欺ける幻影は初めてだったぞ」

そう言いながらザヴァラムはミヴァルネルの頭を撫でた。

「ふ、 ふぇぇ……ありがとうございます……! 」

「しかし、 イージス様のおっしゃる通り……あのような行為は褒められたことではないぞ」

「は……はい……ごめんなさい……」

……ラムも優しい所もあるんだな……

イージスがそう思っているとザヴァラムはイージスの前にひざまづき、 言った。

「イージス様、 この場に及んでお願い申し上げたいことがあります……」

……まぁ大体予想は付くけどな。

「何だ? 」

「ミヴァルネルを……私の率いる兵士としてメゾロクスに勧誘したいと思うのですが……」

まぁそんな感じだよな……別にデメリットも無いし、 幻影魔法とか隠蔽魔法が得意みたいだし……訓練すれば戦闘においては物凄い貢献ができる……

「いいよ、 ミヴァルネルを俺達の国に歓迎しよう! 」

「感謝申し上げます! 」

するとミヴァルネルは驚いた様子でザヴァラムに言った。

「よ、良いのですか! ? 私なんかが……! 」

「あなたを放っておいたら何をしでかすが分からないからね、 私が面倒を見てあげる」

そう言うとミヴァルネルは泣いて喜んだ。

そしてミヴァルネルはイージスに対して忠誠を誓い、 一旦ザヴァラムと共にメゾロクスへ行くことにした。

……まさかこんな形で新たな戦力が加わるなんてなぁ……しかし幻影魔法か……使ったことも無いな……今後ミヴァルネルに習ってみるか……

「さて、 魔の海の正体は分かったことだし……東の果てに行くとしよう! 」

『はい! 』

そしてイージス達は再び東へ飛空挺を動かした。

…………

その頃、 ザヴァラムは……

「……という訳で、 しばらくアルゲルの元でこの子の魔法を鍛えて欲しいのだけど……」

ザヴァラムはアルゲルにミヴァルネルの面倒を見て欲しいと頼んでいた。

「はぁ……何故我が……魔法ならフォルドゥナでも構わんだろうに……」

「フォルドゥナは駄目だ……あの変態に任せると余計な教育までされてしまいそうだからね」

それを聞いたアルゲルは渋々受け入れた。

「はぁ……確かに……これ以上フォルドゥナ以外の変態を増やされるのはこちらも後免だ……」

「それじゃあ任せるわよ」

そしてザヴァラムはミヴァルネルをアルゲルに預け、イージス達の元に戻ろうとした。

すると……

「ちょっと待って、 ザヴァラム! 」

レフィナスがザヴァラムを引き止めた。

「何? 早くイージス様の元へ戻らないといけないんだけど……」

「イージス様にとっても大事な用なのよ」

「イージス様に? 」

そしてザヴァラムはレフィナスから話を聞くことにした。

「何! じゃあ……」

「しばらく私達もイージス様も忙しくなる……」

「……分かった、 でもそれはまだイージス様に報告はできないわ……今はイージス様は他の用事で忙しい様子だからね」

そう言うとレフィナスは頷き

「そうみたいね……じゃあしばらくは私が何とか引き延ばしてみせるから、 なるべく早くね……」

「言われずとも、 イージス様は早く戻れるわ」

そしてザヴァラムは姿を消した。

……………

「……ここが東の果ての島……! 」

「綺麗……! 」

同時刻、 イージス達は東の果てに着いた。

島は自然豊かで、 水も風もとても清々しい音を奏でていた。

流石はアルゲルが作った飛空挺だな……ここまで一日も掛からなかった……

「さぁ……伝説の剣士を探そう……」

するとザヴァラムがイージス達の所に戻ってきた。

「ただいま戻りました、 イージス様……」

「おぉ、 戻ったか! それじゃあ行こうか」

『はい! 』

そしてイージス達は島を探索することにした。

……凄く清らかな場所だ……強力な魔物の気配がしない……その代わり……

イージスは異様な気配を感じていた。

魔物ではないが……ただならぬ気配は感じる……

するとイージス達の前にある茂みから音がした。

「むっ……皆……」

イージス達は武器を構えた。

茂みから現れたのは……

「……待っていたぞ……英雄殿……」

一人の謎の男だった。

「あなたは……まさか! 」

「察しがいいな……まぁ元よりそれが目的だったのだろう……ついてこい」

そう言うと謎の男はイージス達に背を向け、 案内し始めた。

……あの人……年を取ってるみたいだがかなり強い……ガムールと似た気配だ……もしかしなくてもこの人……

そしてしばらくイージス達は謎の男についていくと開けた場所に出た。

その広場には小屋がポツリと建っていた。

「あの小屋は……」

「俺の家だ……」

やっぱりこの人……

すると男はイージス達の方を振り向いた。

「さて……お前達は伝説の剣士を探しているのだろう……もう薄々分かっているだろうが……それこそがこの俺、 クローロの事だ」

やっぱり伝説の剣士はクローロの事だったか……そしてこの人が……

「お前達の目的は分かっている……その剣の力を知りたいのだろう? 」

「あ、 あぁ……」

するとクローロは小屋へ向かっていった。

「まぁまずは休め、 ミヴァルネルの邪魔が入って疲れたろう……俺が飯を作ってやる……」

「お、おう……」

ガムールの相棒だって聞いたから性格もガムールに似てるとは思っていたんだが……結構落ち着いてるな……

「イージスさん……」

アメニは不安そうな顔でイージスの服の裾を掴んだ。

「……大丈夫だ」

クローロさんとアメニに何か関係があるな……これはクローロさんから聞いた方がいいか……

そしてイージス達はクローロの小屋へ入っていった。

小屋の中は至って普通で、 木造の家具が並べられている。

壁には一本のボロボロの黒い剣が飾られていた。

……あの剣……ガムールのとそっくりだ……手入れは随分長いことされてないみたいだが……

イージス達はしばらく待っているとクローロが部屋の奥から現れた。

ローブは取られており、 その顔には無数の傷痕がついていた。左目は見えないようで眼帯を付けられており見えないが、 右目はガムールと同じ銀色の瞳をしていた。

「待たせたな、 座ってくれ……」

そう言われてイージス達は席に着いた。

「さて、 まずは……」

そしてイージス達は話を始めた。


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