表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスで存在感が薄い少年の勇者記録  作者: 神﨑 翔
序章
3/18

異世界についたけど……

頬や手に冷たい岩肌が触れている感覚がする。


『ん、ん〜』


俺は目を覚まし、ボヤける視界の中起き上がる。


周りを見渡すと床に天井、壁が石でできている部屋だった。


てか、この天井少し発光してる気がする……てかこの部屋の光源これだけ? まぁ問題がある程暗い訳でもないし、発光に関しては異世界ってことで今は忘れよう。


誰も居ないのは俺が遅すぎて先生達とおそらくその場に居たであろう召喚した人たちはどっかに行ったのだろう。


まぁ、クラスの集合写真で忘れ去られて写れなかった俺だからな。今更気にすることでもない。


部屋の床には、この部屋の床全てを覆うほどの円い魔法陣が描かれていた。


『これが俺たちを召喚させた魔法陣か?』


アニメとかでよく見る魔法陣の見た目で円を描くように書かれてる文字みたいなモノを見つける。


これが言語なら神様から貰った言語理解のスキルが使えるはず……。


そう思い、文字を凝視してみたり、「スキル言語理解発動!」とか言ってみたが読めたりはしなかった。


『はぁー。これが読めたら元の世界に帰る魔法陣も作れると思ったんだがな』


落ち込みながら、そういやポケットにスマホを入れてたりしないか確認したが、無かった。


せめてこの魔法陣の写真は撮りたかったな……。


凹みながらここに居ても仕方ないので部屋にある扉へと向かおうとして、ピタッと止まる。


『そういや神様が俺たちを召喚したのはこの世界の奴の勝手な行動とかそんな感じのこと言ってたな』


そんな奴が良い奴とは流石に思えないし、隠密と隠蔽スキルを使っておくか。


『後はステータスポイントを振っておこう。最悪戦闘になるかもしれないしな』


そう思い、俺はステータスを開いて何に振るかを考える。


『暗殺者だし、速度に振るのは確定として、そもそもこの数値ががこの世界にとっての高い低いが分からないしな……。とりあえず残りは全て攻撃の奴に振っとくか』


そして、ステータス値はこのようになった。




物攻 450

物防 50

魔攻 450

魔防 50

速度 600

魔力 1000


ステータスポイント 0




うん、凄い俺が紙装甲になってる気がする。けど俺は暗殺者だし、攻撃は全て躱せば理論上問題は無い。


『よし! 行くとするか!』


そう俺は意気込み扉の前に立つ。


扉の近くに見張りか見回りの者がいる可能性があるので、ゆっくりと扉を開ける。


開けた扉の隙間から顔だけを出し、周囲を確認すると、この部屋と同じ様な床や壁が続いた廊下があった。部屋から出て左は壁になっていた為、右に進むしかない。


『進むのは一本道だけどな……、ここ灯りが無いんだよな……』


魔法陣のある部屋は天井の灯りでちょっと暗くて見えづらい程度だったが、この廊下の天井は発光しておらず真っ暗で、物理的に一寸先は闇状態である。


『火魔法で灯りを点けるのもいいが、それで見つかる可能性が大きいしな……』


この暗闇の中を灯り無しで手探りで進むしか無いのかと落ち込んで……俺ここに来てから落ち込んでばかりじゃん。


この先俺は無事に元の世界に帰れるのか心配になってきた。


『よし、行くか』


俺は勇気を持って闇の中を突き進んだ。


壁に手を当てながら、足を滑らす様に動かして慎重に進む。


ここがどんな場所か分からない以上侵入者用のトラップがあってもおかしくはないからな。


数十分は経っただろうか、どれ程進んだのだろうと後ろを振り返つてみる。


『嘘だろ……』


振り向くと10メートルぐらい先に開けっ放しにした扉から光が漏れている魔法陣の部屋が見える。


『俺どんだけビビりなんだよ。数十分も使ってこんだけしか進んでいないって…』


自分のチキンっぷりに恥じたが、それでも進むペースは変わらず

遅いいままである。


しばらくすると、『スキル《暗視》を獲得しました』という声が聞こえた。


俺はその声に驚かなかった訳では無いが、特に表情も変えずにステータスを確認する。


『暗視のスキルが増えてるな。今使えるなら使いたいが……』


暗視のスキルを発動させてみると、目の前に広がってた暗闇が急に晴れる様に消え去り、日の下にいる様な明るさになった。


そして3メートル先に上に昇る階段が見えた。


『うわ〜スキルって偉大だな……ってスキル創造のこと忘れてた!』


ここに来てから、目先のことばかり囚われていたせいでか、大事な事を忘れていた。


俺は慌ててスキル創造を発動させる。


すると、目の前にいろんな入力する項目が出てきた。


『え〜と、スキル名と効果を記入し、申請する。それが世界に認められたら獲得可能。スキルの性能に合わせてデメリットを付与する…か。この世界に認められたらってのがよく分からないが、まずはスキルの再使用時間を消すスキルを造って《スキル創造》を使いまくれる様にしないとな』


そう思い、スキル名に『スキルリキャストゼロ』と打ち込み、効果にスキルの再使用時間をゼロにすると書いて、申請のボタンを押す。


すると『申請結果世界による審議で否決』と声が頭の中に響く。


なんでだよ! と叫びたいが状況的に考えて、その言葉を飲み込む。


多分もっと効果を弱くしろ的なやつか? 世界に申請するんだし、世界がこの世界のバランスを崩しかねないレベルのモノを許可するはずないか。


何でも許可したらこの世界を破壊するスキルとか許可でもしてみろ、ある意味世界が自滅したようなものだ。


俺は限界まで再使用時間を減らしたいので、まず効果を再使用時間9割減にして申請してみる。


『申請結果否決』


なんか急に略してきたな。まぁいい、俺は1割ずつ減らしていき申請して、5割減のところで、『申請結果可決』と聞こえた。


半分で可決か……。スキルを半分にし続けるとしたら、造りまくれるのは1年後ってことになるのかな。


その間はなんとしても生き残らないとな。


この先何が待ってるかは分からない。だが俺は生き残ってみせる。その為に元の世界に戻れなくなるとなっても構わない。家族と会えない事に寂しさはあるが、大学生になったら1人暮らしの予定だったんだ。その日が早くなったモノだと思えば、少しは気が紛れる。


そんな思いみたいなのを胸に俺は出口に続くであろう階段を一歩ずつ上がった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ