異世界へスキルを手にして
ドンッ、ゴッッ。
『ぃつたあ〜、なんだ誰だよ俺のイス引いて更に机引いて床に落としたやつ』
そう言いながら俺は痛みで目を覚まして周りを見て犯に…ん……を……。
『何処だ…ここ』
そんな言葉を漏らさなければ恐怖で可笑しくなりそうだった。
周りを見渡しても白、白、シロシロシロ! 空と地面の堺でさえわからない何も無い空間に放り出されてるのだから。
「ねぇ、何?何が起きてるの?」
「わかんねぇよ! そんなもん俺が聞きたいくらいだ!」
「皆さん落ち着いて下さい。まず今誰がいるか…」
後から声が聞こえて来たので振り向くと担任教師とクラスメイト数人がそこにいた。
話し声を聞く限り他の奴らも俺同様って所か。
「出席を取ります。明石山君……いませんね。石野さん……いませんね。織田君」
「おう、いるぞ」
「次、菊岡君……いま…………………」
先生が順番に名前を読んでいる。にしても先生出席簿無しでクラスメイトを五十音順に言えるってスゲーな。名前を覚えることが苦手な俺からしたら尊敬するわ。
「次が、中﨑君」
『はい、いますよ先生』
「えぇと、あ、中﨑君で今いる人数分ですね。生徒14名に私1人っと」
そう言って彼はポケットに常に入れてるボールペンでプリントに今いる生徒の名前を書く。
俺寝てたからどうしてこうなったか全くわからないし少しでもわかることを先生に聞くとするか。
そう思い、先生を呼ぼうとした途端また後から声が聞こえた。
「ひとまずは、こんにちわって言っておこうか」
その声で皆一斉にその方向をみる。そこにはタキシードみたいな服装の金髪イケメンが立っていた。
「え〜と、どちら様ですか?」
先生が話しかける。他の生徒や俺は何が起こってるのかわからず、ただ先生の行動を見守る。
「そうだな、自己紹介をしよう。私はいわゆる神様だ。そして君たちには異世界に転移して魔王を討伐してもらいたい」
は? 魔王を討伐だって? ふざけんな俺はアニメや小説の主人公でもないんだぞ。ましてやもし俺が物語に登場しても名前の出てこないモブのモブのモブレベルの存在だそ。
「待って下さい! 私達はそんな物騒なことはできません。戦うことさえしたことない民間人なんですよ!」
「あぁ。それは分かってる。後話す順番が間違ったな。私の悪い所だ。まず、謝らせてくれ。私が管理する世界の者どもがしなくてもいい勇者召喚の魔法を使ってしまい、結果君たちを巻き込んでしまった。本当に済まない」
ふむ、神様はそもそも俺たちが召喚されること自体望んでなくてその異世界の奴らが勝手にやったと。
俺以外の生徒は狼狽えたりしているが神様に罵声を浴びせたりとかする奴はいない。そんなことをしてもどうにもならないのと、話が進まなくなるのを分かってるからだろう。
「では、私達はその勇者召喚のせいで今ここにいるということ?」
「いや、この空間は私がその召喚に割り込んで一時的にここに君たちを留めてるだけだよ。この空間から出たら直ぐに私の世界に飛ばされる」
「では、何故ここに私達を留めてるのですか?」
「少し長くなるぞ。まず、君たちの世界と私の世界では言語が違うからそこに大変苦労するのは目に見えている。だから私が神の力でその問題点を解決する。次に君たちが異世界転移した時にそれぞれ職業が与えられる。どれも有能な職業なのだが魔王討伐まで生き残れると保証しきれない。なので、君たちは今からステータスオープンと念じると自分の職業が見えるはずだ。その後欲しいスキルを言ってくれ。私の力だと1人1つが限界だ。その職業にあったスキルを考えて私に言ってくれ。強力すぎるスキルになるとそれ相応のデメリットが発生するからそこも考慮してくれ。そしてそのスキルと共に魔王討伐を果たして欲しい」
は〜長ったらしいな結局は俺たちの世界と異世界の言語が違うからそのための力を与える。それと、俺たちの職業を考慮した上で望んだスキルをくれる。(強いスキルほどそれ相応のデメリットがつく)ってことだろ。
俺たちの生存率を高める為にと、謝罪のお詫びって所か。まぁ言われた通りにするか。ステータスオープン…………何も起きな…
ブォッン! おっこれがステータスか。まるで画面が浮いてる様な感じだな。触れは……しないか。
えぇっと
名前 中﨑 ミカ Lv 1
年齢 17
職業 暗殺者
スキル 《暗器術Lv1》 《隠密》 《隠蔽》 《気配遮断》
《魔力遮断》《火魔法Lv1》 《水魔法Lv1》《土魔法Lv1》
《風魔法Lv1》《無魔法Lv1》《空間魔法Lv1》《回復魔法Lv1》《言語理解》《成長促進》
ステータス
物攻 150
物防 50
魔攻 150
魔防 50
速度 200
魔力 1000
ステータスポイント 1000 【魔力には振れません】
俺の職業は暗殺者か。他の生徒が賢者やら聖剣やら騒いでいるがそんなこと後でいい。今は自分に合うスキルを考えないとな。
まずは暗殺者関連のスキルにするかだが、正直言って魔王に暗殺なんて通用するとは思えない。そんなのが通用するなら俺たちを勇者として召喚する必要なんて無いからな。
俺としては最初は創造魔法というのを考えたが魔法の数を見る限り必要はなさそうかな。
となると魔力消費量が多い分必殺技的なものになるスキルでも得るか?
でもな〜それって暗殺者である必要ないもんな。必殺技使うぐらいなら、もっと暗殺者らしく作戦による小手で勝ちたいし。
あっ! 現代兵器のスナイパーライフルによる暗殺とかいいな。いっそのこと現代兵器による暗殺者になるのも悪くない。
とするとスキルは現代兵器が造れるスキルがいいかな。
イヤ待てよ。それでも死んだら終わりだし条件付きでいいから物理攻撃や魔法攻撃を無効か半減できるスキルも欲しい。
いっそのことステータスによる値の暴力で勝ちに行くか?なら成長系スキルも………。
ブツブツと俺はアレやコレやとスキル選びに迷いに迷い続けた。そんな中周りは「俺はステータスが大幅に上がるやつ!」
「私は唱えた魔法が複数になるスキル!」などと決めて行き、更に神様がいつの間にか用意した魔法陣で生徒達を異世界に送っていく。
そんな事にも気づけず主人公は1人になっても考え続けていた。
「なぁ。お前さんよ、皆はもう異世界への魔法陣に入ったぞ。後はお主だけだ」
『けどよ、神様なかなかスキルが1つに絞れないんだ。できたらでいいからさ、スキルを造るスキルって造れないか?』
「スキルを造るスキルか。一応皆が思ったより力を消費せずに済むスキルが多かったから造れ無いことは無いが…デメリットはどうする? 魔力で造るなら弱いスキルでも十万以上消費するぞ。」
うわ〜何その量。今の魔力千ですよ! 諦めて他のスキルにするか?
そういや確かこれもデメリットにはなるだ。それに上手く行けばチートスキルになるぞ。聞いて見る価値はある。
『それなんだけどさ。デメリットをクールタイムの長さに変更できないか?』
「クールタイムといことは、再使用までの時間のことか? それをデメリットにすると……再使用までに1年と少しって所だな」
『じゃあそれで頼む! 後はクールタイムを減らすスキルを手に入れればいい話だからな!』
「なる程。それはいい! それなら魔王討伐の可能性やお主たちの生存率も飛躍的に上がるだろう! 今すぐ造ってやる待ってろ」
よし! これで一安心だ。後は出来上がるまで待つとするか。
数分後…………。
「よし、時間は掛かったができたぞ! それとスキルを造る時に私がスキルを造るのと同様にデメリットが発生するがクールタイムを減らすスキルだけにはデメリットが付かないようにできたぞ! これで世界を救ってこい!」
『それはホントか!? ありがとう神様! じゃあ早速異世界に行ってきます!』
「あぁ、頼んだぞ」
そうして俺は魔法陣に足を踏み入れると視界が光に覆われて、意識が飛んでいった。