日本人として女性に優しく?
目を覚ますとそこには見知らぬ天井が……ってそりゃそうですけども。
次の日の朝、俺は日本での習慣で、おそらく5時半辺りで起きた。
ベッドの方を見ると、二人はまだ眠っている。
この世界での起きる時間って何時か知らないし、彼女たちを基準にするためにしばらく見つめて待っておこうかな。
彼女たちの寝顔を覗きに近くまで移動してみると、二人は手を握り合いながら気持ち良さそうに眠っている。
寝顔……カワイイぞ! カメラは!? カメラはどこだ!? あ、スマホ、スマホ……無い!? そうだ、教室の鞄の中に入れたままだ……。
こうなったら目に焼き付けるしかないな。ついでに二人の名前も考えるとするか。
俺は頭を巡らしながら二人の寝顔を景色に俺得な時間だった。
時計が無いから分からないが1時間くらい経って、二人は起きた。
「ん……ぬ、ここ……は? え? ご主人様? あ、ごめんなさい! ご主人様をお待たせしまいました! 直ちに準備致しますので!」
エルフの声で獣人の方もハッキリと目が覚めたようで、凄い慌てて出掛ける準備を……って服は奴隷商で着ていた服しかないので着替える必要はないし、ベッドから降りるだけで良いと思うからそんなに慌てなくてもいい気がする。
朝食が出来るのは……何時だっけ? 大抵こういう宿は誰か呼びに来てくれたりすると思うのだが……。
その時、コンコンとノックがドアから聞こえてきた。
『は〜い。起きてはいますよ』
「そうなのですか? なら1時間後にで朝食が出来るので5分前にはくるのですよ!」
凄い幼じy……少女らしい声が聞こえてきた。合法的なやつか、ここで親子で働いている人辺りだろうか? 朝食は7時半か8時辺りにできるってことかな。
『さっき聞こえた通り、朝食まで時間があるから、その寝癖とかを直してこい。それと、今後は別に俺より遅く起きようが、朝食の時間までに支度出来ていたら文句は言わない。てか、そうしてくれないと寝顔がみえ…ゴホン! 好きなだけ寝て構わないということだ』
「ですが……ワタシたちは奴隷ですので、主様より遅く起きるというのは流石に……」
『なら、そうする様に俺が命令するまでだがどうする?』
「っ……分かりました。しかし、本当によろしいのですか? ワタシたちにそこまで自由にさせて?」
『俺はお前らが戦闘を出来たらそれ以外は別に文句は言わないつもりだ。いっその事、それさえ出来たら後はお前らの自由だ。ちなみに契約する期間は予定だと短くて1年だ。それを過ぎたら俺が必要かどうか判断して期間を伸ばすか考える』
その言葉を聞いて二人は少し目を見開いたが直ぐに無表情になり、口を開く。
「全ては私たちの戦闘次第という事ですか……」
『そういうことだ。自由が欲しいなら俺の期待に応えろ。以上だ』
「畏まりました。ご主人様の期待に応えられる様に精一杯お役目を務めさせて頂きます」
「同じく、主様の為に望む様な事は……出来ないかもしれませんが、失望されない様に頑張ってみせます」
二人が片膝をついて、なんか忠誠を誓う感じになっているが日本に住んでいた陰キャの俺にとっては美女に何をさせてんだと、両親や妹に怒られる光景が目に浮かんできたので急いで辞めさせる事にした。
『よし、お前ら今後敬語を無くす様に努力しろ。癖づいてるのは分かるから直ぐにとは言わないが絶対にしろ。ただし、これは命令ではなくお願いとする。それと頭を上げて立て。こっちのは命令だ』
「え? なんですかそのお願っ……と。普通に考えて命令とお願いにするのが逆で……いえ、どちらも命令にするべきでは?」
エルフが命令で強制的に立たされたので半分バランスを崩しながらなんとか立つ。獣人の方は身体能力が元から高いのか普通にヒョイと立った。
そういやこいつ等のスキルは見たけどステータスは見てないてか、魔道具で見れなかったが正しいか。盗んだ……じゃなくて使い方とか聞かずに借りたやつだからあれが正しい使い方なのかも不明だしな……。
てか、まだあの姫様は魔道具が無いのに気づかないのか? それか普通に予備とか複製品があるから問題無いからかな? パーフェクトポーションの空瓶だけどゴミ置き場に沢山あったし後者の方があり得るな。なら一生借りたままでいいか。
『そんなもん俺の自由だろ。とりあえず髪とか梳かせ。そういう小道具は化粧台にあっただろ』
「わ、分かり……ました。ではしばらくお待ち下さい」
二人は髪を梳かして、化粧台に香水とか置いてあることに気づき、チラチラとこっちを見るので使って良いと言ったら、少し死んだ目が生きてる感じになった気がしたが、直ぐに化粧台とにらめっこする。
鏡は地球のより反射力が低いのかあんまり鏡では顔が分からないが、獣人の子は尻尾降ってるし、エルフの子は耳が少しピクピクしてるので、エルフの方はそれが喜びを表すかは分からんが、獣人の方はとても喜んでいるのがよく伝わる。
数十分後、彼女らは少し満足顔で支度の完了を伝えた。時間的にも朝食なので、一階にある食堂に移動する。
部屋の番号と同じ数字が書かれたテーブルに座る様に店員さんに言われたのでそれに従い、座る。自分だけ。奴隷の二人は立っている。
うん、これはテンプレの奴隷は立ったままとか、主人のテーブルと一緒に食事は……のやつだろうな。
『お前ら命令だ。今後俺と一緒に食事を取るときは可能なら俺と同じテーブルで好きなモノを頼んで食べろ』
「いえ、私たちは奴隷なの……うっ……」
奴隷紋の効果で彼女たちは俺と同じテーブルに着く。それとほぼ同時くらいに朝食が運ばれてきた。
見た所スープとパンとミルクが今日の朝食みたいだ。もしかしたら毎日朝食これかもしれないから、今日のかは断言できないけどな。
『色々と面倒くさいから命令だ。奴隷として扱うのは冒険者として活動する時のみだ。だからそれ以外は、そこら辺の女と同じ様に一般人みたいに生活しろ』
「けどそれは……分かりました。命令通りそうさせて頂きます」
エルフの子が反論しようとしたがこれ以上は命令もあるし無駄だと思ったのか諦めて朝食に手を付ける。
俺もパンをスープに付けて食べ……硬すぎないかこのパン!
スープに付けてるのにフランスパンといい勝負だそ! それにスープの味薄すぎ! 日本人としてはもっとパンは柔らかくスープは味を濃くして欲しい。なんか城にいるクラスメイトも俺と同じ感じのこと思ってたりしないかな?
特に会話は交わさずに黙々と朝食を食べ、宿屋を出る時に服、武器のオススメ場所を教えて貰った。おそらくこの情報も姫様の思いやりだろう。世話を焼くのが好きだな。とてもありがたい。
さて、昨日は夜中で殆ど町の事を見れてないからな。実質俺からしたら初の異世界の町探査だな。
そう思いながら俺は朝日が溢れる宿屋の出入り口の扉を押して……押して開かなかった。引き戸でした……ハイ。
なんか締まらないなと思いながら、後ろの二人の視線を全力でスルーして今度こそ俺は外に出た。
今後の投稿予定の報告です!
まず一つ目は来週は学校と塾のテストにより休みです。
二つ目は第4日曜日、言い換えたら11月22日が今年最後の投稿になります。 受験生なので1月の一次試験に向けて勉強する為に休ませて頂きます。
2次試験が2月の末なのでどんなに早くても3月に投稿開始となります。てか予約投稿してます。
長い休みですが気中に待って頂けると幸いです。
ヒロインの名前募集中ですので、この腐った脳みその筆者に是非案を!