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フラれた

「好きです!付き合ってください!」


私の生まれて初めての愛の告白に、意中の彼は


「えっと……なにかの罰ゲームでやらされてるんですか?」


そう返した。




「「振られたぁ!?」」

「ごえがおおぎいよぉぉぉぉ」

机に突っ伏し、鼻をすすりながら私は涙で制服の袖を濡らす。

「いや、ごめんごめん……で、なんで振られたわけ?」

背の高い彼女の名前はみっちゃん───副園そえぞのマミ。整った中性的な顔と、スラッとしたモデル体型で男子に人気で、それでいて男勝りな性格だからか、女子からの人気も高い。

そのみっちゃんは好奇心に満ちた目で私に聞いてくる。

「それは……」

私がまた鼻をすすりながら涙でぐちゃぐちゃの顔を起こし、言うか言わないか迷っていると

「まぁ言いたくなければいんじゃない」

また別の子がそう言ってポンポンと私の背中を優しく叩いた。

彼女は中川穂野なかがわほの。私より背の低い彼女は、みんなからはほーちゃんと呼ばれている。いつも口角が上がってて、口のラインは波線みたいになっている。

ほんわかとした雰囲気と言動でみんなのマスコットキャラとして愛されている。

「う、ぅ……罰ゲームで、言わされてるんでしょって、言われだ……」

さっきから泣いて所々言葉に濁点がついてる私は、平榀燿ひらこまいよう。みんなからはようちゃんと呼ばれていて、昨日、好きな男の子に告白して振られて傷心中の女の子だ。

「んじゃそりゃ」

みっちゃんがはぁ?と言いたげな顔でツッコミを入れる。

「それって、断られたってわけじゃなくない?」

みっちゃんがそう言うけど、ちゃんと私は振られたのだ。


『僕なんかにそう言ってくれるのは嬉しいです。でも……』

『でも……?』

記憶の中の彼が、言葉を少し躊躇してから言葉を続けた。

『本当に申し訳ないんですけど、断らせていただきます。それに、僕なんかとは、僕みたいな底辺とは、付き合わないほうがいいです』


その返答はばっさりと、ごめんなさい、と。フラれたのだと。

それを伝えると、みっちゃんはまた、はぁ?と言いたげな顔で話し出した。

「こーんな可愛い燿の告白断るなんてちょいとおかしいよ」

「ぅ……その、彼のこと悪く言わないで……」

「あぁ、ごめんごめん」

私がそう言うと素早く謝る。こうしたところも好感が持てるのでみっちゃんはモテる。

「でーも、その子ネガティブだねぇ。僕なんか、なんて」

やーちゃんがそう言って私の背中をポンポンと叩き続ける。

心が温まるけど、温まれば温まるほど涙腺が緩んでしまう。

「それに、最初に罰ゲームで言わされてるんですかって聞かれたんでしょ?相当ネガティブだねーその子」

やーちゃんが眉毛を八の字にしてむぅ、と息を吐く。

「ネガティブ……わがんない、彼のこと、よく知らないもん……」

そう、私は一目惚れだった。

どこかで関わりを持っていたとか、昔からの顔馴染みだったとかじゃなくて、本当に、ゼロからの出会いで、一目惚れした。

「ああ、そういや一目惚れなんだっけ?いいねぇ青春じゃん」

「青春て……あんたも青春してる、っていうか、青春するべき年でしょ?」

青春じゃん、とみっちゃんがしみじみと感慨深く、まるで昔を懐かしむお年寄りのようにそう言い、それをほーちゃんが呆れながらツッコむ。

「いいねぇ青春。羨ましい羨ましい。好きな人無し、彼氏無しの私は悲しいねぇ」

「彼氏もそんなにいいもんじゃないと思うけどねー」

「な!?ほー!お前、彼氏がいるんか!?」

「いやいないよ」

なんだよぉ〜、とつまらなそうにベタッと机に顔を突っ伏す。

「んでさ、ようちゃん。フラれたなら、それを諦めるも良し、振り向かせて見せると突っ走るも良し。動くためにも、今こうやって、涙流してる時間はもったいないよ?」

「そそ!命短し恋せよ乙女ってね!」

「およ?難しい言葉知ってんね?習いたてか?」

「習いたての言葉って使いたくならない?」

そう、そうだ。

私は、こんなところで挫けない。絶対に、彼を振り向かせる。

転んでも何度でも起き上がる。それが私の取り柄なんだから。

「うおっ!?」

「おおっ!?」

二人が驚いて声を上げてるけど、そんなの、今の私の耳には入らない。

私は燃えていた。彼への熱い想いに。

「これは……点いちゃった感じ?」

「そんな感じねぇ」

私は、右手を握りしめ、天高らかに振り上げた。その時には涙なんて、とっくに蒸発していた。

「絶対に!青春を!恋を!成就させてやる!」

周りがざわざわ騒がしくなってるけれど、やっぱり私は気づかない。

「……うむ!よく言った!それでこそ漢だ!」

「私は男じゃないよ!みっちゃん!」

「漢字が違ーう!」

決意したんだ。私は想いを伝えて、フラれて終わりだなんてそんなつまらない、悲しい話は嫌だって、変えて見せるんだって。

「というわけで……一回落ち着こ?」

「はい!落ち着きました!ほーちゃん!」

「声が随分騒がしいけどね」

大人しく座った私は、早速親友二人と作戦会議を、昼休みが終わるまでみっちりとしたのだった。


メインでヤンデレのやつ書いてるから更新は遅れる

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