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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第一章 選定編
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9話「來貴の学力」

「ん……?」


 俺は、目を開ける。昨日は、凜姉と添い寝をしていたので、俺の隣には凜姉の気配がする。というか、俺は凜姉より早く起きたのか。……凜姉起こすか。


「……起きて、凜姉」


 凜姉の体を揺すり、起こそうとする。今日も学校なので、早く行かなければならない。凜姉が起きないと、俺が起きれない。右腕にがっちり抱きつかれているから、起き上がりたくても起き上がれない。というか、なんで俺の右腕に頬ずりしてるんだよ。


「ん……あ、おはよう、來くん」

「……おはよう、凜姉。邪魔だからさっさと起きて」

「……は~い」


 そして、凜姉は俺の右腕から手を離して起き上がる。……やっと自由になったか。とりあえず、起きて一階に行くか。ベッドから降りて、一階へ向かった。

 ……が、俺は一つ言いたいことがある。


「……なんでまだ引っ付いてんの?」


 そう、凜姉はまだ俺の右腕に引っ付き、抱きついていた。歩きにくいからやめてほしい。


「なんでって、來くんの近くにいたいからだよ」

「……はぁ」


 これはもう初めてのことでは無いので、俺は気にしていない。というよりかは気にしたら負けだと勝手に思っている。

 そして、俺は凜姉に腕に抱きつかれたまま一階へ行った。一階のリビングに、まだ琉愛はいなかった。ということは、まだ琉愛は起きていないと言うことだろう。


「私、朝食作ってくるね。琉愛起こしてきて」

「ん、わかった」


 ようやく、凜姉は俺の右腕から離れた。そして、朝食を作りに行った。……琉愛起こしてくるか。面倒だけど。リビングを出て、二階への階段を上がる。琉愛の部屋の前へ行き、一応ドアをノックする。


「……琉愛、起きているか?」

「あ、お兄ちゃん……起きてるよ」

「……じゃあ、さっさと一階に降りてこい」

「わかったよ」


 そして琉愛は、自分の部屋から出る。そのとき既に、俺は階段を降りようとしていたところだ。だが、琉愛が走ってこっちへ来て、俺の左腕に引っ付いてきた。というか、琉愛まで引っ付いてくんなよ。


「……引っ付いてくるなよ」

「……お兄ちゃんの傍に居たいから……」


 上目遣いで、俺の方を見てそう言ってくる。そうやりながら言われると、なんか断りづらいんだが……。


「……さっさとリビングに行くぞ」

「うんっ!」


 琉愛は、リビングにつくまでずっと俺の左腕に引っ付いてきた。リビングに着いてからは、凜姉の方へ行った。

 ちなみに、俺はと言うと、凜姉に皿を用意しろと言われて皿を用意していた。


「「「いただきます」」」


 朝食を凜姉が作り終え、三人で合掌する。そう言えば、朝は大体三人で食べるな……まぁ、朝は大体俺の記憶では一人で食べたことが少なかった。これ、別にどうでもいいか――――。





「――――ごちそうさま」


 数分後、俺は朝食を食べ終える。食器を片付け、自分の部屋へ行き学校へ行く準備をする。もうすぐで土曜日だから、今日も面倒だけど学校へ行こう。

 自分の部屋へ行って学校へ行く準備をする。と言っても、準備する物なんてほぼ無いので、約数秒で準備が終わる。昨日のうちに、準備する物は準備しているというのもあるのかもしれないが。まぁとにかく、準備が終わったのでさっさと学校へ行く。


「……行ってきます」


 今日は一人で学校へ行く。ちなみに、凜姉はまだ準備中。女の準備は遅いって言うからな。琉愛は、のんびりしている。琉愛は、学校に行く前はいつものんびりしているので、遅刻しないのかよといつも思う。まぁ、サボろうとしても凜姉によって強制的に行かされるだろうから、あまり心配はしていない。


「……そういや、今日は普通の授業だな」


 学校というワードで思い出したが、今日は普通の高校と同じ普通の授業だ。昨日も、普通の授業はあったが……一限だけだった。今日は、最後の授業以外は普通の五教科だ。最後は確か……いや、別にいいか。


 まぁ、六限目だけ如何にも軍事学校という授業だが、それ以外は普通の高校と何ら遜色ない授業だ。まぁ、この高校は無駄に頭が良い奴が多いから、授業がそれなりに難しかった。……ということが、凜姉から聞かされた。

 別に、俺にはあまり関係ないと思う。俺は結構成績はいい方だ。凜姉も同様に、成績はいい。琉愛も、俺や凜姉ほどでは無いにしろ、上位の成績だ。


 成績の事は置いておいて……学校に行くか。


「來貴、偶然だね」

「………………そうだな」


 声のした方を向いてみると、黎がいた。とりあえず、一応返事をしたから無視しよう。そして、俺は黎を無視して止まった足を歩き出す。


「……ちょっと、無視しないでよ!」


 歩き出した俺に、黎が走りながら追ってくる。


「せっかく会ったんだから、一緒に学校行こうよ!」

「……まぁ、いいぞ」


 そして俺は、黎と一緒に学校へ行く。黎の歩く速度は、俺より遅い。俺が黎の歩く速度に合わせている。黎の走る速度はそれなりに速かったのに、歩く速度は遅い。これは、身長による足の長さの差なのか、単純に歩幅が小さいのか。どちらかと言われたならば俺は両方という。


 黎と一緒に学校へ行く間、黎にいろいろ質問をぶつけられた。その全てを適当に返したが、黎は別に動揺などしていなかった。これが何なのかは知らないが、別にどうでもいい。


 一緒に登校しながら雑談していると、もう学校に着いた。クラスは同じなので、さっさと1年1組に行く。


 当然だが、その中には誰も居なかった。まぁ……俺は、いつも一番早くに学校に来ているからな……誰も居ないのはいつも通りだ。とりあえず、適当に寝ていよう。

 自分の席へ行き、机に突っ伏して寝始める。寝る前に廊下側で一番後ろの黎の方を見てみると、何か本を読んでいるようだった。何の本かはわからないが、本が分厚いことだけはわかった。


「おはようございます」

「あ、おはよう、文奈」


 最後に聞こえたのは、文奈の声だった――――。





「起きてください、來貴君。そろそろHRです」

「……そうか」


 ――――文奈に起こされたが、実はその前にちょっと起きかけていた。まぁ、とりあえず起きるか。


「起きましたか。なんでいつも來貴君は学校に来てから寝ているんでしょうか」

「そんなの決まってるだろ。眠いからだ」

「……そうですか」


 俺の言った一言に、文奈は呆れているような表情をして溜息をつく。というか、今の一言のどこに溜息をつく要素があるのか、聞いてみたいのだが。


「皆さん、席についてください。HRを始めます」


 教室のドアが開き、刀華先生が入って来た。その一言を聞いて、このクラスにいる全員静かになった。


「まず、今日の予定や変更を話します。特に変更はありません。以上!」


 そう言って、刀華先生は教室から出て行った。相変わらず、適当なHRだ。まぁ、別にこれで困っているというわけではないし、いいんだけど。それに、重要なことがあったら、しっかりと説明してくれるからな。


 そして、一限目……数学が始まった。数学は、俺が五教科の中で一番得意な教科だ。だって、あれ公式に当てはめて計算するのと、図形とグラフだけだろ。

 ちなみに、数学の担当は、刀華先生ではない。一年三組の担当の先生だ。刀華先生は数学が一番苦手らしいので、数学を教えることが出来ないらしい。数学担当の先生がそう言っていた。


「授業を始めます。結月君、号令お願いします」

「……起立、気をつけ、礼」


「「「「「お願いします」」」」」


「着席」


「「「「「失礼します」」」」」


 この先生も、俺に号令を振ってくる。他に号令させられる生徒は沢山居るのに、何故か俺に振ってくる。自己紹介の時に寝ていたから一週間ずっと号令というあの罰、刀華先生がこの先生にも伝えたのかもしれない。余計なことをしないでほしい。案外面倒なんだよ、この号令。


「では、教科書12ページを開いてください」


 言われたとおり、数学の教科書12ページを開く。周りのクラスメイトも、先生の言うとおりに数学の教科書を開いている。


「まず、この問題を解きましょう。この問題は…………」


 俺はしばらく、教科書に書かれていたことをノートに写していた。先生の話は一応聞いて必要ない事を捨てて必要なことを記憶している。


「結月君。ここの問題を解いてください」

「ん……?」


 先生から急に指名され、ホワイトボードの方を見る。一応話は聞いていたが、まさか指名されるとは思っていなかった。周りのクラスメイトも俺に注目している。

 え~……問題は……? あれか。先生が指差している場所。


「來貴君。早く行って解いてきたらどうですか?それともわからないんですか?」


 文奈にそう茶化され、俺は席を立ち問題を解きに行く。この問題は途中式とかあるが、そんなもん書くのは面倒なので、いきなり答えを書く。まぁ、途中式を書かなくてもわかるので、別にこれでいいだろう。


「……正解です。途中式を書いていないのが気になりますが」


 先生にそう言われ、俺は自分の席に戻る。自分の席に戻る間、俺は周りから視線を感じた。


「……來貴君、途中式は書いた方がいいですよ?」

「……別にいいんだよ。俺はわかるから」


 そして、先生は授業を続ける。その間、また何度か俺は当てられたが、俺は全て正解した。文奈も黎も当てられたが、全て正解していた。


 先生が話していたことも、ほぼ全て記憶している。黒板に書かれたことも、ほぼ全てノートに写した。残りの授業時間はもう2分。一限目はもうすぐ終わる。


キーンコーンカーンコーン


「チャイムが鳴ったので、これで一限目を終わります。結月君。号令お願いします」

「起立、気をつけ、礼」


「「「「「「ありがとうございました」」」」」」


「では、今日やったことをしっかり覚えていてくださいね」


 最後にそう言って、数学の担当の先生は教室を出て行った。


 次は二限目。国語の授業だ。まぁ、国語は得意な方だから行けるだろう。というか俺に苦手な教科は無い。

 そうして、二限目が始まった。国語の担当は、一年二組の担任だ。ちなみに、性別は男。


「教科書9ページを開いてくれ。今日は昨日の続きから始める」


 どうやら、今日は昨日の続きだそうだ。まぁ、予想はしていたけど。今は先生の話を聞いておくか。いろいろ話しているみたいだし。


 話を聞いて、必要なことと必要ないことを取捨選択すると言っても、国語は記憶することが殆ど無い。テストには、文が書いてあるので、そんなに必要ないのだ。本当に大事だと思ったことは、記憶しておくけど。


「何か意見がある奴いるか?」


 先生の一言に、手を挙げたクラスメイトは結構いた。半分くらいだろうか。まぁ、その中に俺は入っていないんだが。


「じゃあ、稲垣」


 俺の隣で手を挙げていた文奈が当てられた。そして、文奈は席を立ち意見を言う。


「そうか、他にある奴はいるか?」


 文奈の言ったことをホワイトボードに書きながら、他の人の意見を募る。というか、一回言っただけで全部覚えて黒板に写すのか……この先生、中々やりおるな。

 とりあえず、適当に写しておこう。無駄なところは省こう。


 そして、二限目が終わった。


 三限目は、確か英語だ。英語の担当は、一年四組の担任だ。ちなみに、性別は男。というか、一組から四組の担任でそれぞれ五教科を分担しているのか。今気付いた。……だが、それだと一人足りない。


 考え事をしていると、チャイムが鳴った。三限目が始まる。


「この英文、訳せる人はいますか?」


 授業が始まってしばらく経った後、先生が教科書に載っていた英文を訳せる人を探す。だが、中々に難しいので、数人しか手が上がらない。隣にいる文奈は、手を挙げている。ということは、この英文を訳せていると言うことだ。それなりに頭良いんだな、文奈。


「……数人、ですか。周りの人と話し合って、訳してみてください」


 先生の一言に、周りの生徒は、近くの生徒と話し始める。俺はというと、一応文奈と話していた。


「來貴君、わかりますか?」

「わかるから大丈夫だ」

「じゃあ、訳してみてくださいよ」


 文奈にそう言われたので、俺はさっきの英文を訳す。訳したのを文奈に見せてみると、合っていたようだ。


 その後、再び訳せる人が居るか先生が探した。それには、廊下側の席の人が答えた。ちなみに、答えは見事正解だった。

 そんなこんなで三限目が終わった。 


 四限目は確か、社会だ。社会の担当は……二年一組の担任らしい。ちなみに、女だ。ということは、刀華先生は化学が得意なのか……まぁ、それはどうでもいいか。


 そうしているうちに、四限目開始のチャイムが鳴る。四限目が始まった。


「ここは、覚えておけ」


 ホワイトボードに赤で書いたところを指差しながら、社会担当の先生が言う。確かに、先生が言っているところは重要な部分だな……覚えておこう。


 そして、四限目が終わった。


 四限目が終わったので、昼休みだ。今は凜姉が作った弁当を食べている。

 ……というか、なんだこれ。いや、おいしいんだけど……大好きって海苔で書いてあるんだけど。

 ……まぁ、別に嫌って訳じゃ無いんだけど。ていうか、文奈と黎は見てんじゃねぇよ。


「……來貴。今、大好きって書いてあるのが見えたんだけど」


 さっき、俺の弁当に大好きという文字が書いてあり文奈と黎が二人でヒソヒソ話し合っていたが、黎が俺に一つ聞いてきた。


「……気にするな。いつものことだ」


「「いつものこと……」」


 文奈と黎は、別の方を見ていた。


 そして、昼休みが終わり五限目が始まった。五限目は、理科。担当は刀華先生だ。


「授業を始めます。來貴君、号令お願いします」

「起立、気をつけ、礼」


「「「「「お願いします」」」」」


「着席」


「「「「「失礼します」」」」」


「教科書15ページを開いてください。今日はそこから始めます」


 教科書15ページか……新しいところだな。刀華先生は、いろいろ端折っているけど、大事なところだけは端折らないから、余計なことを言わない。故に、わかりやすい。まぁ、わかりにくいと言っている人も居るけど。ちなみに、凜姉はわかりにくいと言っていた。俺はわかりやすいんだけどな、話が短くて。


「では、今日はここから……」


 そして、刀華先生の端折った説明が始まった。まぁ、端折っていても説明はわかりやすい。というか、端折った方がわかりやすい気がする。


「ここ、わかる人居ますか?」


 問題、か。普通に簡単な問題だな。さっき刀華先生が言っていたことを使えば、簡単に解ける。周りの生徒でわかっているのは……約三分の一か。文奈もわかっているようだ。こいつ、やっぱり頭良いな。黎も、文奈には一歩及ばないものの、十分頭がいい。


「では、來貴君。解いてください」

「……俺かよ」


 思わず、その一言が出てしまった。俺も一応成績を上げるためにある程度手を挙げようと思い、手を挙げていた。当てられたので、解くか。

 ホワイトボードの方に、刀華先生が手招きをしている。さっさと来て解けということだろう。なんか気に食わないけど、解きに行こう。


 そして、その問題を解いた。解いた後、すぐに俺は席に戻った。


「正解です。よくできましたね」


 刀華先生が、そう言いながら俺の方を見る。俺から言わせて貰うと、よくできたなんて思っても居なさそうだ。これ位は普通に解けるだろと思っているだろう。


 そして、しばらく経った後チャイムが鳴り、五限目が終わった。


「これで五限目は終わりです。六限目は、第一戦闘場に武器を持って来てください。來貴君、号令お願い強います」

「起立、気をつけ、礼」


「「「「「「ありがとうございました」」」」」」


 というか、次は第一戦闘場か……確か合同で実戦訓練だったけ。俺と同じ強さの奴がいるか……楽しみだ。

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