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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第四章 運命編
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74話「日本にて」

 Side ~結月凜~



 現在、私こと結月凜は学校にて授業を受けている。今は二限目で、科目は戦闘理論。戦闘理論の授業は難しく、単位も大きいので真面目に授業を受けているのだが――。


(……眠い。戦闘理論ってあまり得意じゃないし、面白くないし……。それに、來くんが心配)


 ――要は、つまらないのである。最後に別のものが混じっていたが、気にしないでほしい。私は持っているシャーペンをくるくる回しながら、先生が黒板に書いた事をノートに写す。


 眠気に耐えながら、私は授業を受ける。……私は才能が無い方なので、普段の授業を真面目に受け、そして復習等をしなければ好成績を維持出来ないのだ。


 ――そうして、授業は終わった。終了のチャイムが鳴った後、私は机に突っ伏した。授業で疲れたので、動きたくないのだ。……そんな私に、近づいてくる人が一人。


「……凜、大丈夫?」


 水月だった。水月と私は同じクラスで席も近いため、良く話す。水月とは、小学校時代からの仲だ。中学は別になったが、高校からまた同じになれて嬉しかった。私は身体を起こして、水月の方を向く。水月と話すのは楽しいので、疲れているのは気にならないのだ。


「うん、大丈夫。……昨日は忙しくなかったから」


 私は手を振りながら答える。水月は難しそうな顔をしていたが、押し黙った。……そして、私は水月に話を振った。


「そう言えば、水月こそ大丈夫なの?」


 質問の押し返しだが、水月も水月で疲れているように見えるためだった。水月は、私と違って才能がある。その証拠に、水月は執行科(エンフォースメント)に所属している。……だからこそ、私は水月が心配だった。……來くんも心配だけどね。


「私は大丈夫よ。時間には余裕があるし」


 ……それ以上は、追及しなかった。水月が私にしたように、私も水月にしたのだ。今は……何も、言わない方がいいだろう。


 それから、私と水月は他愛も無い雑談で盛り上がった。するといつの間にか四限目のチャイムが鳴り、四限目が始まった――――。




 ――――そうして、今日の授業の全てが終了した。長ったらしいHRを終えて、水月と一緒に帰宅する。


 今日は学科の用事も無いので、久しぶりに水月と一緒に帰れる。なので、私たちは雑談に花を咲かせ、楽しく家路を辿ることが出来た。


「またね、凜」

「うん、またね水月」


 家の場所が離れているため、私と水月は途中で分かれることとなる。この時間はつまらないが、ここから家は近いのですぐに終わる。


 ――そうして、家の前に着く。


 玄関のドアの鍵を開け、「ただいま」と言いながら家の中に入る。ドアを閉めて鍵を掛け、手を洗ってから自分の部屋へと駆け込む。


 部屋へ入った後は、ベッドにダイブする。


(はぁ……つっかれたぁ……)


 今日一日の授業は、いつも通りキツかった。疲れ切っていた私は、ベッドに倒れ込んだまましばらく動けなかった。……もとい、動きたくなかった。……來くんみたいに、しばらく寝ていようかな。でも、復習もしないといけない……。


 睡眠欲と、勉強をしなければならない事がせめぎ合う……が、それは意外とすぐに終わった。


(――寝よう。少しくらい休憩してもいいよね)


 そうして、私は眠りについた――――。




 ――――何時間、経っただろうか。私は目が覚めた。眠気はもう無い。疲れは、完全にとは言えないが取れた。私は服を着替え、リビングへ行く。琉愛が帰っているかもしれないからだ。


 部屋を出て階段を降りてリビングへと入る。中では……琉愛が、料理をしていた。一人で苦戦しながらも、自分と私の分の料理を作っていた。


「……あ、お姉ちゃん起きたんだ。……ごめんなさい、勝手に料理作っちゃって。お姉ちゃん、最近疲れてるように見えたから、何か手伝いたくて……迷惑、だったかな?」


 琉愛はそう言いつつ、目を伏せる。……そんな琉愛の元に近づき、頭の上に手を置く。


「迷惑だなんて、そんなわけ無いじゃん。……ありがとね、琉愛。助かったよ。手伝うよ、一緒にやろう?」

「……うん!」


 ――私と琉愛は一緒に料理の準備をし、夕飯を食べた。夕飯を食べ終わった後は、琉愛と一緒に食器を片付けた。その後、リビングで琉愛と雑談をしながら過ごしていた。


 ……そして、雑談を始めてしばらく経った頃。


「……電話だ」

「……電話だね」


 私のスマホが鳴った。私と琉愛が言ったように、電話である。画面を見てみると、お父さんからだった。応答ボタンを押し、電話に出る。


『もしもし、俺だ。凜、軍事機関からの通告だ。よく聞け。琉愛も近くにいるなら、琉愛にも聞かせてくれ』

「……わかった」


 電話をスピーカーにし、琉愛に「お父さんから、琉愛も聞いて」と言い、電話に意識を向かせる。私も、電話に意識を向ける。


『日本にアルヴァダ兵共がやって来た。彼奴らは船で来たそうだが、日本の潜水艦とは入れ違いになったそうだ。……何人いるかは詳細はわからないが、20000以上はいると見ている。……俺はそっちにいけないから、今日はもう外に出るなよ。何処に潜んでいるかはわからないからな』


 ――そこで、お父さんからの電話は切れた。私はスマホを机に置いた。


「……大丈夫かな。それって、ここで戦争が始まるって事だよね」


 そっと、琉愛が呟く。その呟きに、私はこう告げる。


「大丈夫だよ。お父さんが、なんとかしてくれると思う。……今日は、一緒に寝る?」

「……そう、だよね。うん、一緒に寝よう、お姉ちゃん」


 ……今日は、琉愛と一緒に寝た――――。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ――――朝早く起きた凜は、朝食の準備をする。途中で琉愛が手伝っていたので速く終わり、二人で朝食を食べる。食べ終わったら食器を片付ける。


 その途中……凜は、ふとこう思っていた。


(……來くんが戦争に行って、四日目……大丈夫……だと思うけど、心配だな……)


 思わず、食器を握る手に力が入る。それを見た琉愛が、凜に声を掛ける。


「……お姉ちゃん?」

「……えっ、ああ、どうしたの?」


 琉愛に声を掛けられ、凜は食器を強く握っていることに気付いた。凜は力を緩め、持っていた食器を凜が握っていた食器には、幸いにもヒビは入っていなかった。琉愛が少し声を掛けるのが遅ければ、食器は割れていただろう。


 その事に気付いていた凜は心の中で反省し、食器の片付けを続ける。


 食器の片付けが終わった後、凜と琉愛は学校へ行く準備をする。……戦争が終わるまでは、アルヴァダ兵が何処に潜んでいるかわからないと言うことで、軍人が車を手配してくれる。


 凜の所には、真夜が来た。


「凜ちゃん、琉愛ちゃん、久しぶり。今日は危ないから、送って上げる。乗って」


 元々その予定で真夜は来たのだが、そう言っておく。


 ――そして、凜と琉愛は車に乗り、それぞれの学校へ向かった。最初は琉愛の所に行き、琉愛を見送る。その後、凜の所へ行った。


「それじゃ、頑張ってね」


 最後にそう言い残し、真夜は軍事機関本部へ戻った。軍事育成機関高校の駐車場には、車がいつも以上にある。これは戦争の影響であり、アルヴァダ兵がいなくなるまでこうなっていることだろう。


(……これ、一般人の人たちはどうなってるんだろう)


 ふと、凜はそんなことが気になった。ちなみに一般人たちには、隠密部隊を付けて対策をして済みで、その隠密部隊は、戦争に参加している軍人たちの一部で構成されている。……凜はこの事を知らないが、大体そんな感じだろうと予測していた。


 考え事も余所に、凜は学校へ向かった――――。




 ――――そして、朝のHRが始まる。


 今日、水月はいない。水月は、戦争に駆り出されているのだ。昨日、凜のスマホにそう言う旨のメールが来た。


 水月の他にも、日本に残っている執行科(エンフォースメント)の者は全員戦争に駆り出されている。他にも、存淵、夜霧乃、柊樹も戦争に行っていて不在。


 凜は水月以外にも友達は少なからずいるため、その友達と話して学校を過ごした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 日本に上陸したアルヴァダ兵は、船を能力で隠して待機する。アルヴァダの船が上陸した辺りは、地図に記されていない誰も居ない場所。20000人程いるアルヴァダ兵は、総司令官の指示で1組1000人の隊形に分かれ、各自潜伏する。


 今、約100名ほどの先遣隊が周辺を調査している。……今のところ、日本の軍人は来ていない。だが、時間の問題だと考えている。


 ――その頃、蓮也は。


(……これじゃ埒が明かねぇな……)


 約50人と一緒に、アルヴァダ兵が潜伏している場所を探していた。その50人は、全て戦闘能力に優れている者たちで、もし戦闘となっても対処出来るように構成されている。アルヴァダ帝国で戦争が始まってから四日目、遂に日本にアルヴァダ兵が上陸した。


 ……これは、由々しき事態である。この事態は想定していたことだが、日本に侵入されるのはマズいのである。日本の領土は、アルヴァダ帝国の領土に比べて狭い。故に、一般人が戦闘に巻き込まれる可能性が高いのだ。


 今蓮也たちはしらみつぶしに探しているが、これだといつ見つかるかわからない。日本の領土は狭いとは言え、潜伏している可能性があるのは日本全土だ。……なので、秘策を使うことにした。


 潜伏しているアルヴァダ兵の数はおそよ20000程だと考えており、それは当たっている。……このまましらみつぶしに探したとて見つからないだろう。この作戦の指揮の全権は、蓮也に任せられている。


 インカムを使い、全員に通達する。


「これから"アレ"を使用する。……10分で見つけるぞ!」


 ――蓮也はそれだけ伝え、早速使用する。研究班から貰っていた兵器『インサイト・モノクル』を目に付けた。


 ……簡単に言うと、これは魔力を分析するモノクルだ。……これにより、遠い場所の魔力を感知出来る。アルヴァダ兵は一般人よりも魔力の反応が強いはずなので、多く強い所にアルヴァダ兵がいると予測出来る。


 何故今まで使ってこなかったのかと言うと、研究班から『あまり使うな』と言われていたからである。これは試作品であり、もしもの時の為の切り札。よっぽどの事が無い限り自分で見つけろと言うことなのである。今回は、由々しき事態であるため、この切り札を使ったのだ。


 そして、モノクルを付けた右の見え方が変わった。


 魔力の流れが、"色"で見える。緑、青、黄、赤、白、黒の六段階に、魔力の強さが分かれ、一般人が緑か青、黄以上は訓練を受けている者だ。流れは、その方向に色が風のように流れて見える。多さは、単純に色の範囲である。その色の範囲が広いか、狭いかだ。


(研究班も便利な物を作るもんだな……)


 モノクルの性能に蓮也は感心しつつ、魔力が強く大きい場所を探す。いくら気配を隠していようと、魔力は隠せない。


 ……だが、このモノクルには弱点もある。


(……便利と言えば便利だが、視界が奪われるのは厳しいな。……ああ、だからこそモノクルなのか)


 そう、付けた目は魔力の流れしか見えず、通常の視界が見えなくなることだった。しかし、それはモノクルを付けていない方の目を使ったり、モノクルを外せば解決する。戦闘時には使わないので、あまり気にはならなかった。


『――報告です。神奈川の人が寄りつかない海沿いに、強く大きな魔力を確認。アルヴァダ兵の者だと思われます』 

「……そうか。調査しろ。正体がわかったら、再び報告を頼む」

『承知。すぐに調査いたします』


 捜索をしている軍人の一人から、見つかったと報告を受けた蓮也。思ったより速かったなと心の中で思いつつ、調査するよう指示を出す。


 ……そして、蓮也も今いる千葉から神奈川へと向かう。普通に歩いて向かった何時間かかるかわからないため、魔力を纏い家の屋根を跳ぶ。迅速かつ、音が出ないように。今の時間帯は深夜なため、寝ている一般人を起こすわけにはいかなかった。


 ――そうして、蓮也が屋根の上を跳んでいる途中の事。


『報告です。先程の調査で、あそこにアルヴァダ兵が潜伏している事が判明しました』

「そうか。その付近を封鎖して、人が寄りつかないように。それから、戦力をそこに集中させろ」

『承知』


 ……蓮也は、報告を受けてから屋根の上を跳ぶ速度を速くした――――。




 ――――そして、蓮也は神奈川のあの海沿いから少し離れた場所へ着いた。蓮也が着いた頃には、このこの作戦に赴いている軍人の半数以上が集結していた。……蓮也は近くの大きな岩の上に座り、休憩する。かなり魔力を使って動いたので、少し疲れたのだ。


「……蓮也、これで全員だ」

「来たか……焔斗。作戦を立てよう」


 そして、蓮也と同等の強さを持つ白凪焔斗(しらなぎえんと)が到着した。

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