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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第四章 運命編
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69話「乱戦」

ハッピーハロウィン(ハロウィン要素皆無)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 再びアルヴァダ兵が迫り、軍人たちはすぐさま戦闘態勢に入る。刀華たちも、例外では無かった。武器を持ち、魔力を活性化させて身に纏う。


 アルヴァダ兵たちは自身の考えで動きながら、軍人たちに銃を放つ。軍人たちも、それに応戦する。


 ――そして、乱戦が始まった。銃弾と魔力と能力が飛び交い、怪我をする者と死ぬ者が出る。


 そんな中、刀華たちは奮闘する。普通のアルヴァダ兵を倒しつつ、この兵たちを操作している兵を探す。見事な統率力でこの雑兵を制御している兵を倒せれば、この兵たちをかなり散らせて、他の軍人たちの負担も減る。


 そう考え、アルヴァダ兵を倒しつつ、刀華たちは強い兵を探す。


(……何か、気配が……)


 ――瑠璃は刀華たちから少し離れ、その気配がした方向へと向かう。刀華たちはその姿を確認したが、何も言わなかった。


 瑠璃はアルヴァダ兵を斬りつつ、一度跳躍し気配を探す。


 ……その気配は、他とは違う。その気配は、他よりも強い。故に、開けた場所から見ればわかると思ったのだ。


「……!」


 そして、瑠璃はその場所を掴んだ。瑠璃の居る位置から約300m奥の場所だ。……だが、このままだと着地際に殺される。下を見ると、アルヴァダ兵たちが、銃を自身へ向けているのがわかった。そこで瑠璃は、能力を発動する。


 『抵抗操作レジスト・コントロール』。抵抗を操る能力で空気抵抗を操作し、落ちる場所を調整する。それだけではまだ銃弾は当たるので、銃弾に空気抵抗と摩擦を掛け、摩擦熱で焼き切る。


 頭の中でプランを考え、早速実行する。


「撃てえっ!!」


 一人の兵の号令により、一気に銃弾が瑠璃に向かう。その殆どが瑠璃に当たらないが、当たる弾も多くある。その弾だけに能力を使い、焼き切る。そして、進行方向の銃弾は切り落としつつ、アルヴァダ兵の包囲から離れた。


 瑠璃は刀に魔力を溜め、自身を包囲していたアルヴァダ兵に対して放つ。


 ――真空刃(しんくうは)。魔力の斬撃が空気を振動させ、それが刃となる。魔力と空気の刃がアルヴァダ兵を切り裂き、アルヴァダ兵は死んでいった。


 それを確認した後、瑠璃は着地して再び気配の方へ走る。


 その瞬間――――。


「ッ!!」


 ――――その場から大きく左に飛び退き、刀を構えた。


「うんうん、さすがだね。さすがの反射能力だ。能力も持っているみたいだし、うちの来ないかい?」


 そこには……刀を構えた、異色な雰囲気を放つアルヴァダ兵がいた。瑠璃は何をするのかが読めず、警戒を上げる。


「自己紹介をしよう。僕の名前はタミフル。こいつら見たいな雑兵とは、ひと味もふた味も違うから、覚悟してね?」


 その言葉を聞き、瑠璃はタミフルに向けいた剣先を下に向け、魔力の斬撃を斬り上げて放つ。瑠璃色の斬撃は一直線にタミフルに向かっていくが、簡単に避けられる。


 瑠璃もそれは読んでいたので、接近して接近戦を仕掛けた。タミフルも刀を持っているので、刀と刀がぶつかり合い火花が散る。魔力で刀が壊れないように保護し、瑠璃は更に速度を上げる。


 それは來貴程では無いが十分に早く、タミフルの頬をかすめた。……そして、タミフルが反撃に出る。


 瑠璃の斬撃をひらりと躱し、後ろを取る。


(マズい……!)


 タミフルの刀に魔力が溜まり、放たれた。その斬撃は瑠璃の背中に直撃する。咄嗟に瑠璃が背中に魔力を集中させたので、深い切り傷にはなっていない。瑠璃の着ている服がしっかりとした防刃防弾の服なのもあるが。


 ……だが、まずい状況なのには変わりは無い。背中から血がこぼれ、それを見たタミフルが唐突に呟く。


「……ふむ、能力抜きでもこれほどか……」


 瑠璃にその呟きは聞こえておらず、タミフルが一瞬止まったのをチャンスだと思い一気に距離を詰める。背中の傷の事もあり、早く決めたいと思っていたのだ。


 そして、瑠璃はタミフルに瑠璃色の一閃を放つ……!


「――ハハッ!! いいねェ!! 素晴らしいよ! やっぱり君はアルヴァダに来るべきだ! 今なら僕の推薦で高い地位を得られるよ!」


 タミフルは瑠璃にそう叫びながら、瑠璃色の一閃を迎え撃つ。刀から眩くも怪しい光が溢れ、一閃を弾く。続けざまに刀を引き、光りを纏わせたまま瑠璃の身体を切り裂く。


 瑠璃が刀を翳すことで防がれたが、タミフルは慌てず飛び退く。瑠璃も一度距離を取り、正眼の構えを取る。それを見て、タミフルも真剣な表情になる。


 両者とも、この攻防で全てが決まると勘で悟ったからだ。


「「ハアッ!!」


 気合いの声を上げ、両者技を放つ。


瑠璃(るり)風斬(ふうざん)!」


 空気を裂く瑠璃色の風の刃が、タミフルに迫る。対するタミフルも、剣先を瑠璃に向けて脚を下げる。そして、不気味な光に包まれた。


(くも)(かげ)!」


 不気味な光りに包まれた刀身が出てきて、瑠璃の一閃とぶつかり合う。それは時間が経つほどに輝き、より激しさを増していく。


(……これほどの魔力を込めても、まだ届かないか……! やはり、僕は……)


 瑠璃には、五つ年上の兄がいる。その兄は、瑠璃湊よりも大きな才能を持っていた。今ではその兄は、軍事機関で軍人をしている。瑠璃が剣を持ったきっかけも、この兄だった。


 兄も剣の才能があり、瑠璃は兄から剣を教わった。……だが、兄に勝てたことは一度も無かった。瑠璃も能力を持っているが、兄も能力を持っている。


 その差が大きかった。他にもあるだろうが、一番にたどり着くのはそれだ。……故に、瑠璃はずっと葛藤し続けている。


 どうすれば兄に勝てるのか。どうすればもっと強くなれるのか。


 現に、目の前にいる敵を打ち倒せていない。そろそろ背中からの出血が厳しく、魔力も限界に近い。……そろそろ決めなければ、瑠璃の負けだ。


『――湊。一つ、兄さんからのアドバイスだ。相手が強い、勝てないと思ったら、信じるんだ。自分を。もっと、上に行けると信じるんだ。そうすれば、きっと限界以上の力が出せるよ』


 ……その瞬間、瑠璃は兄からのアドバイスを思い出した。


「……そうだよね、兄さん。自分に限界は無いと信じれば、きっと限界以上の力が出せるんだよね」


 ――()()()は、自分を()()()()()。もっと上に行けると、()()()()()


「「ハアアッ!!!」」


 両者とも気合いの声を出し、刀に魔力を込め続ける。


 そして――――。


「ハアッ!!!」


 ――――瑠璃が、タミフルの刀を砕いた。その後、首に向けて剣閃を飛ばす。それは命中し、瑠璃は確かな手応えを感じた。


 そんな状況の中、タミフルはこう思っていた。


(……僕も、これで終わりかな。退屈しのぎにここに入ったけれど……まぁ、退屈しのぎにはなったね。最後に、いいモノを見させて貰ったよ――)


 ――そして、タミフルの首がずれる。……そのまま、前へと落ちていった。


「……終わったか。今まででやった相手の中で、一番、強かったな……」


 瑠璃は言葉をこぼしながら、刀華たちの方へ戻っていった。


 ――そうして、瑠璃は刀華たちの所へ戻ってきた。そこで待っていたのは、怒った顔の刀華だった。ついでに、傍に控えている桐生も笑顔である。……ただ、目は笑っていないが。周りにいる瞬華と亜宮も、無言の圧を瑠璃に向けている。


 ……そしてまず、瑠璃が負った傷の応急手当。医療班が来て、手当てをした。そしてその後すぐさま説教。主に、刀華から。


 十数分ほど説教をした後、刀華は「來貴君は何処へ行ったのやら……」と呟きながら、戦闘へ戻った。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ――その頃、怜次は。


(兵の統率が乱れた……今叩けば、ボロが出て一気に崩れる……!)


 怜次は、混乱しているアルヴァダ兵に一気に突っ込む。薄赤の右拳を引き、アルヴァダ兵の中に着くと同時に拳を放つ。


 薄赤色の流動が、アルヴァダ兵たちを襲う……! アルヴァダ兵たちはその流動に飲まれ、殆どの者が死滅していった。


 ……だが、一部死ななかった者もいる。


「……不意打ちか。やってくれたな」


 それは、各小隊の隊長格の者たち。先程のアルヴァダ兵たちは、小隊に分かれこの戦争の総司令官の指示を待っていた。だが、その指示が来なくて混乱していたのだ。生き残った者たちは、その事を一旦放棄し、目の前の敵に集中する。


 数では、怜次側の方が不利。……だが、怜次は負ける気がしなかった。懐からメリケンサックを取り出し、拳に付ける。それと同時に、隊長格の者たちが怜次に向かって銃弾を放つ。怜次はその全てを拳で弾き、隊長格の者に肉薄する。


 それに隊長格の者たちは反応し、応戦する。近づかれた者は銃で拳を弾き、それ以外の者は援護射撃。見事な連携だった。


 だが――。


「何ッ!?」


 ――怜次には、通用しなかった。そして、目の前にいる隊長格の者の頭を弾く。隊長格の者たちは驚き、しばらく固まっている。自慢の連携が、通用しなかったからだ。だが怜次はそんなことには目もくれず、二日前のことを思い出す。


(……今回の戦争に出る前、唯と約束した。五体満足で生きて帰ってくるって。そして、幸せに暮らすと約束した。……かなり難しい注文だが、関係無い)


 怜次と唯の兄妹が交わした口約束。それが、()()()()()怜次の力となっていた。怜次はルイジェンドに8年ほどいた。そして、そこで様々な経験を積んだ。積まされた。両親は既に死んでいて、妹はルイジェンドに囚われて。


 逆らったら、唯一の肉親である妹を殺すと言うのだから、従うしか無かった。


 ――そんな中、來貴が来た。ルイジェンドが、崩壊した。自分と唯は軍事機関に監視されているが、それでもルイジェンドにいた生活よりは断然マシだ。


「……ようやく幸せが掴めそうなんだ。ここで、死ぬわけにはいかないッ!!」


 怜次はカッと目を見開き、迫り来る銃弾を全て拳で弾く。少し遠くの位置に、隊長格の者たちは分散している。そして、少しづつ移動しながら怜次の周りを取り囲もうとしている。


 ……今、怜次たちの周りには人が殆どいない。他の軍人たちが、そこにアルヴァダ兵が来ないよう誘導しているからである。両者ともそれには気付いていて、周りを気にせず戦っている。


 ――そして、怜次が動いた。取り囲まれる前に、早く決めようという算段だ。その瞬間、怜次に向かって大量の銃弾が放たれる。


 ……怜次は、自分の視界がスローになるのを感じた。銃弾が、いつもより遅く見える。これが何なのかはわからないが、全ての銃弾を見切ることが出来る。


 拳を上げ、ラッシュを放つ。銃弾を全て弾き、距離を詰めることに成功した。そこからは簡単だった。急所に拳を打ち込み、一撃で殺す。それを繰り返し、やがて生き残った者たちは全て殺した。


 怜次の作戦は、成功した。……ほぼ力押しの部分はあるが。


「……戻るか」


 怜次は、刀華たちの所へ戻っていった。


 ――怜次には、何も言われなかった。少し怪我をしていたため、医療班からの治療。それが終わった後、魔力を少し回復させてから戦争へ戻った。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ――そして、瞬華たちは。


(……ここね。刀華先生から言われた場所は)


 軍人たちと亜宮を引き連れ、アルヴァダ帝国の情報収集へ行っていた。戦争の地の近くにある軍部へ侵入し、情報を集める。それが、瞬華たちに与えられた役割だった。……本来なら、これは來貴たちの役割だった。


 だが、何処かほっつき歩いたため、代役として瞬華たちが抜擢されたのだ。


(……ほんっと、來貴君と紫﨑君は何処へ行ったのかしら。帰ってきたら説教ね)


 そんなことを考えつつ、警備員を暗殺しながら奥へ進む。


(――おいしくないね)


 ……列の最後尾、亜宮はそんな事を考えていた。列の先頭にいる瞬華に視線を向けつつ、思考を切り替える。


(そろそろ何か出てきてもおかしくない。気を引き締めよう)


 ……そして、瞬華たちについて行きある部屋へと入っていく。


「……何、これ」


 その部屋にあったのは、ある資料だった。その内容は、『魂について』。魂というものを知らない瞬華たちにとって、それは未知なるモノだった。


 食い入るようにその資料を見つめ、軍人の一人が持って来ていた鞄にその資料を入れる。他に有用そうな資料は無かったため、それでその部屋は後にした。


 続けざまに部屋に向かおうとしたら、アルヴァダ兵と鉢合わせた。その数、五人。対してこちら側は八人。人数では有利を取っている。だが、瞬華たちは油断せず戦う――――。




 ――――約十数分ほど、瞬華たちは戦った。そして得た結果は、勝利。思っていたよりそのアルヴァダ兵が強者だったために、時間が掛かったのだ。戦闘を終えた瞬華たちは、少し休憩をしてから奥へ進んだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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