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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第四章 運命編
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68話「激突! アルヴァダ帝国!!」

 ――そして、二日後。アルヴァダ帝国についた。だが、まだ突入はしない。機会をうかがうらしい。今は、警備があるので突入は出来ない。


 ……先程メールで艦長から伝えられた内容を見ながら、俺はスマホを閉じる。そして、席を立つ。同時に、部屋の扉がノックされる。


「入って良いか?」

「……どうぞ」


 そう聞こえたので、俺は許可を出す。――だが、この声は。俺がそう考えていると、部屋の扉が開き、その者が入ってくる。


「……久しぶりだな、來貴」


 入って来たのは、兇介。兇介は入って来た後、扉を閉めて俺の隣に歩いてきて、そニカッと笑いながら俺の肩に手を置きながらこう言ってきた。……正直、俺は驚いている。まさか、兇介がここにいるとは思わなかったからだ。


 この、アルヴァダ帝国との戦争。まだ始まっていないが、それはきっと激しいものになるだろう。……何故、兇介はここに来たのか。……それが、俺は気になっていた。


「早速で悪いが、用件を伝える。……來貴、お前……なんで、この戦争に参加した?」


 ――それが、用件か。その質問に対する俺の答えが、兇介の用件そのものなのだろう。……それはいいとして、何故その質問をしてきたのだろうか。どう答えれば、よいのだろうか。……いや、そもそも決まっているか。


 そうして、俺はその質問の答えを口にする。


「……俺が俺であるため」


 俺の答えを聞いた兇介は、少し思案する。そして、口を開いた。


「……お前、変わらねぇな。……いや、()()いいか。それより――」


 兇介はそう呟き、話題を変える。何の話題を出すかは知らないが、聞いておこう。


「――來貴、お前は何故この場に連れてこられたかわかるか?」


 兇介から出された話題は、それだった。……しかし、何故この場に連れてこられたか、ね。確かに、戦争をするならば日本の地でもいいはず。……ならば、何故俺たちを敵国の地に連れてきたのだろうか。日本で戦争をするよりも、リスクが高まるはずだ。


 ……いや、それよりも日本への被害を嫌ったのだろうか。日本の軍事機関は、壊された地形さえも元通りにすることが出来る。……だが、それにも限界がある。だから、敵国で勝負を仕掛けようというのか。


 この場合、日本へ向かうアルヴァダ兵をこちら側が迎え撃つ形になる。……まさか、その形を狙って――?


「……來貴、何かわかったのか?」


 俺が思考の渦にはまっていると、兇介が声を掛けてきた。……そして、俺は兇介に今考えていたことを話した。


「……なるほど、その可能性は考えていなかった」


 兇介が、そう呟いた瞬間だった。


『――今から、アルヴァダ帝国に乗り込みます。軍人の皆さん、潜水艦から出て下さい』


 部屋に着いていたスピーカーから、艦長の声が響き渡る。そして、潜水艦が浮上した。浮上してしばらくすると、何かが開く音がした。……恐らく、潜水艦の扉だろう。


 そして瞬く間に、微かだが足音がして気配が大勢扉から出て行くのが確認出来た。


「……俺たちも行くぞ」

「……ああ」


 俺たちも、武器を持ち潜水艦を出て行った――――。




 ――――潜水艦を出た先、隠れられる場所――主に凹んでいる場所や草木――で、軍人たちは立ち止まっていた。俺たちも隠れて様子を見てみると、前でアルヴァダ兵たちが銃を構えてこちら側を向いているのが確認出来た。


 ……その数、五万以上。遙かにこちらの人数を上回っている。……回り込まれては、いない。そちら側は警戒されているため、大丈夫だろう。アルヴァダ帝国から日本へ行くためには、この港から船などを出すしか無い。……それ故、この者たちは粘っているのだろう。


 ――だが、銃など俺にとっては玩具でしか無い。


 俺本来の能力である『覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)』は、自身の外殻……と言うより、服等も強化出来る。……それは、魔力を込めれば込める程強くなる。この能力があるから、俺は防刃防弾の服など要らないのだ。


 前にレノルドやオリケルスと戦ったときなど、いつもこれをやっている。……これをやらなければ、恐らく俺は今頃死んでいるだろうから。


「……兇介、俺は今から道を開く。協力してくれ」

「……はぁ、しゃーないな。そうしなきゃ進まないだろうしな、やってやるよ。……ま、死んだら責任取れよ」


 俺と兇介は、武器を持って立ち上がる。アルヴァダ兵からは、見えないように。……その様子に、周りが少しザワつく。それを刀華先生は静かにさせて、こちらに話しかけて来た。


「……來貴君、兇介君、何をする気ですか?」


 怪訝な目で、刀華先生が話しかけてきた。兇介と刀華先生は、既に潜水艦の中で知り合っているらしい。俺との友好関係も知っていて、このような呼び方になっている。


 そして、刀華先生の質問に俺はこう応えた。


「道を開きます。俺と兇介ならば大丈夫です」

「ほ、本当ですか……?」

「見ていて下さい」


 ――そして俺たちは、隠れていた場所から飛び出した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 來貴は上空から、兇介は走ってアルヴァダ兵へ突っ込む。当然、アルヴァダ兵から銃の乱射を食らった。だが、その全てを切り捨てた。


「……何っ!?」

「銃弾を弾かれた……!?」

「構わん、撃てえっ!!」


 ――そうして、また銃弾が放たれる。


 來貴は銃剣、兇介は長刀で銃弾を弾いた。怯まずアルヴァダ兵は銃弾を放ち続けるが、全て弾かれる。懐に近づいた兇介はアルヴァダ兵を切り裂きながら奥へ跳ぶ。來貴は、上から銃剣を振り、周りの兵や木を根こそぎ切り刻んだ。


 そして地面に着地し、周りの兵を切りながら兇介の後を追った。


 ……一方、兇介は。


(……來貴を置いてきたのは間違いだったか? 兵が多すぎる……!)


 アルヴァダの港の奥で、兇介は奮闘する。雑兵たちの放つ銃弾を弾きながら、近づき切り裂く。


 兇介の能力……それは、『殺戮機械(キラー・マシン)』。あらゆるものを殺す能力。兇介はこの能力により、相手を攻撃すれば一撃で殺せる。勿論、気絶程度に加減することも出来る。それにより、この能力を乗せた斬撃によりアルヴァダ兵を殺し続けた。


 ……だが、アルヴァダ兵は多い。木の影に隠れつつ、兇介は思案する。……一つ、あまりにも理不尽じみた突破法があった。


「……周りに人がいねーな。來貴が来ているが……まぁアイツは大丈夫だろう。やるか」


 ――そして、兇介は長刀に魔力を込める。兇介の存在に気付いたアルヴァダ兵が、兇介を撃つが、全ての銃弾は弾かれる。


 更に、その魔力に能力を乗せ、斬撃を放つ……!


殺刃波動(グリング・ウェイブ)!」


 赤い刃は死体を散らしながら飛び、アルヴァダ兵たちの血で更に赤くなる。そこにいたアルヴァダ兵が全て死ぬのには時間がかからなかった。


 兇介は長刀に付着した血を払い、後ろを見る。


「……兇介」


 そこには、右手の銃剣に黒銀の魔力を走らせている來貴がいた。來貴はその魔力を仕舞い、兇介の元に近づく。


「この辺りにアルヴァダ兵はいない。刀華先生たちの加勢に行こう」

「ああ、わかった。と言うより、なんでこの辺りに敵がいないってわかるんだ?」


 兇介が來貴にそう聞く。來貴は兇介の質問を聞いて、刀華の所に向かおうとしていた顔を兇介の方に向ける。そして、迷わずこう言った。


「兇介、お前が殺刃波動(グリング・ウェイブ)を撃ったからだ」


 來貴の答えを聞いた兇介は、フッと笑い特に驚きもせず來貴の言葉に頷いた。


「――ま、お前が言うんならそうなんだろうな。……とりあえず、行こうぜ」

「……ああ」


 そうして、二人は刀華たちの助太刀へ行った――――。




 ――――数分後、來貴と兇介は刀華たちの所へと着いた。刀華たちは今、アルヴァダ兵と睨み合っている。だが、確実に数が減っているのはアルヴァダ兵の方である。刀華はアルヴァダ兵たちを相手取り、一方的に戦っている。


 瑠璃は一人ずつ、だが確実に殺している。怜次は、今までの経験と駆け引きを使い、無能力ながらも敵を惨殺している。亜宮は、瞬華と共同して敵を近づけさせず、そして各所の援護をしている。桐生は、全体を見つつ援護をしている。


 ……アルヴァダ兵の数は減っているが、増え続けてもいる。何処まで増えるかはわからないが、このままだとこちら側が不利になるのは自明の理。刀華たちの魔力だって、無限では無い。魔力が切れたら、その時点で勝つのは絶望的になる。


(大元を叩くか、撤退させるかだな……)


 來貴は考えつつ、状況を見る。近くのアルヴァダ兵を殲滅しながら、移動して再現した能力を使う。研ぎ澄まされた超感覚で、アルヴァダ兵たちの総数と、近くにいるであろう親玉を探す。アルヴァダ兵が多くて、探しづらい。


 だが、親玉は格が違うはず。そう考え、より強い力を持つ兵を探す。


 ――そうして兵を牽制しながら探すこと数分、ようやく見つかった。


(あれが親玉だな……他の兵とは、モノが違う。アイツを叩けば、この雑兵たちは散り散りになるはずだ)


 そして來貴は、走って『それ』の所へ向かった。


「――あ、来たねぇ」


 ……同時に、『それ』は來貴が来たことを察知していた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 


 怜次は今、アルヴァダ兵たち相手に苦戦していた。援護は来ているものの、直接では無く間接だ。雑兵と銃弾の量が多すぎて、対処が出来ないのだ。


 だが、他の者たちは手こずっているだけ。それは、多さ故。他の者には、怜次には無い"才能"がある。故に苦戦せず、手こずりはすれども倒せるのだ。


 ――自分はどうだ?


 怜次は、自身に問いかける。怜次は、優秀な妹とは違い能力を持っていない。だが、戦闘経験は兄である怜次の方が上。……怜次は、こう思っていた。


(持っている者と持たざる者では、ここまで差があるのか……!)


 勿論、能力だけが全てでは無いと怜次はわかっている。だが、能力が重要だという事も、またわかっていた。


「ぐっ……」


 蹴りを食らい、仰け反る怜次。だがすぐに体勢を立て直し、返しの拳を放つ。薄い赤色の魔力を纏った拳が、兵たちを穿ち抜く。


 少し余裕が出来たため、周りを見てみる。アルヴァダ兵は少なくなってきて、もう少し粘ればしのぎ切れそうだ。


(……俺も、頑張らないとな。唯に無事に帰ってくるって、言ったからな)


 怜次は、決意する。戦わなければならない……いや、死ねぬ理由が、あるのだ


 そして、薄赤色の魔力を全身に纏い、アルヴァダ兵に突撃する。迫り来る銃弾は魔力で弾き、急所を狙い確実に殺す。死角からの攻撃は、長年の経験から予測して避け、迎え撃つ。


 そうしていく内に、怜次の周りにアルヴァダ兵はいなくなっていた。


「……なかなかやりますね、荒川先生」


 余裕が出来たところで、桐生が怜次に話しかける。怜次は魔力を分散させ、桐生の方を向く。そしてこう言った。


「……いえ、まだまだですよ」


 その一言を聞いた桐生は笑みを浮かべつつ、刀華を呼んで先生を集める。


 刀華が来たところで、桐生は話す。


「來貴君と兇介君がいませんが、何処へ行ったのでしょうか」


 桐生の疑問を聞いた刀華と怜次は考え込む。そして、怜次がふと思い出したかのようにこう言った。


「……そう言えば、來貴は途中で何処かへ走って行きました。チラッと見ただけなので、何処へ行ったのかはわかりませんが」

「兇介君は、何処に行ったのかはわかりません。恐らくは、來貴君の後を追ったかと……」

 

 二人の言葉を聞いた桐生は、途端に顔を険しくする。それを見て、刀華と怜次の二人も真剣な顔をする。


 ……そうして、戦場での教員会議が始まった。


 ――それを端から見ている生徒たちは、來貴と兇介がいないのには気付いている。……ちなみに、生徒たちも潜水艦の中で兇介の事を知った。そのため、教師たちが何を話しているのかおおよそ予想が付いている。


「……蓮君、瑠璃君。來貴君と紫﨑君が何処に居るか分かる?」


 そこで、瞬華たちの方でも会議が始まった。それに参加しているのは、亜宮、瞬華、瑠璃の三人。


 ――その会議は十数分続いた。アルヴァダ兵が来たが、他の軍人たちが対応してくれた。そのため、長く会議を続けることが出来たのだ。……その会議で、何をするか決まった。


「……來貴君と兇介君に関しては、生存を信じて待つ。……と言うことでよろしいですね」

「……はい」

「……承知しました」


 來貴と兇介は、自らの意思でこの集団から抜け出した。ならば、無事に戻ってくると言う責務がある。勝手に抜け出して勝手に死んでも、それは自分の意思となる。


 ……故に、生存を信じて待つことが最善なのだ。


 瞬華たちの方も、教師たちの判断に従った。


「――アルヴァダ兵が来たぞ!」


 一人の軍人の報告により、再び戦場の火蓋が切られた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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