表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第四章 運命編
58/234

54話「オリケルス・シュタイフレス ~一なる決意~」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 山の中の日本家屋。その家の中で、オリケルスが、現在伝えられたことに対して頭を抱えた。


(……まさか、あの御方がもう動き始めるとは……困ったものだな。來貴を鍛え上げる時間が無くなってしもうた。……だが、あやつの強さはかなりのもので、儂に匹敵するほどだ。……そろそろ、頃合いか)


 オリケルスはそう考え、筆を手に取り、紙に文字を書き始める。その筆跡はとても綺麗で、読みやすい。また内容は、とても長かった。そして、オリケルスはその()()をある棚に隠し、家を出て行った――――。




 ――――オリケルスは家を出て向かったのは、ある悪魔がいる場所。その悪魔は、オリケルスより立場が上なため、より上座に位置してオリケルスの話を聞いている。


「――と言う強さになっております」


 ……そして、今オリケルスがその悪魔に報告したのは、來貴の事。今どれくらいの強さなのかと言うことと、神を殺すに足りるであろうかと言うこと。


 オリケルスの判断では、神を殺すにはまだまだ足りないが、自分より強くなっているという事。それを聞いた悪魔は、少し考えるような仕草をして、こう言った。


「……では、オリケルスよ。役目を果たせ」


 最後にそれだけ言って、その悪魔は去って行った。


 それを見届けたオリケルスは、家に帰って行った。


 ……そして、家に戻ったオリケルスは、自身に課せられた役目を、頭の中で思い返す。


(……()()()選定の悪魔として、神を殺せる者を鍛え上げよ。……これが、儂に課せられた役目。來貴も、もう頃合いじゃからの……儂も、覚悟を決めるとするか)


 オリケルスは覚悟を決め、自身の過去を振り返る。



――――――――――――――



 オリケルス・シュタイフレス。彼は、悪魔の中でも強い家系の家に生まれた。……これは、約1100年ほど前の事である。


「この子……強いね。強力な能力と、莫大な魔力を身に秘めているよ。鍛え上げれば、強力な戦士になるんじゃないかな?」


 そう、オリケルスは、彼の父親が言うとおり、強力な力を身に秘めていた。彼の父親はそう言うものを解析する能力を持っているので、こういうことがわかったのだ。


 それからオリケルスは、言葉を喋り二足歩行で歩けるようになってから、悪魔の戦士としての英才教育が始まった。オリケルスは、そこで自らの才能を開花させていき、みるみるうちに強くなっていった。


 悪魔の戦士としての英才教育をされる中で、魔力の運用と操作を極め、能力の練度を上げていった。そのレベルは、シュタイフレス家の中でも上位に入るほど。ちなみにこの時はまだ10歳であった。オリケルス自身の向上心も高かったので、鍛錬は怠っていなかった。


「オリケルス……お前、強くなったなぁ。……あ、そうだった。オリケルス、話があるんだが」


 そして鍛錬をしている中、いつの間にか来ていた父親にそう言われた。オリケルスは接近に気付けなくて驚いたが、一旦そこでオリケルスは鍛錬を止めた。そして父親の方を向き、話を聞く。


 なんでも、父親が来たのは、オリケルスを学校に行かせようという事だった。実は、オリケルスはずっと戦士としての英才教育を受けていて、学校には行っていなかった。故に、父親が学校に行かせようとしているのだ。


 その目的は、オリケルスの頭脳を鍛えるという目的だ。オリケルスは戦闘面を鍛えすぎて、頭脳面は鍛えていない。オリケルスはアホという訳では無いが、勉学に関してはぱっぱらぱーだ。そこでオリケルスを学校に通わせ、考える力と知識を身につけようという父親の意向だ。


「わかりました。学校に行ってみます」


 オリケルスは、学校に興味があったので承諾した。そして、イギリスの悪魔しか居ない小学校に、ある程度の勉強をしてから転入する事になった。


 そのために、オリケルスは鍛錬の他に勉学を母から教えられた。


 ――結論から言うと、オリケルスは賢かった。母が言ったことをどんどん吸収し、覚えていった。戦闘を父に教えられた時も、言ったことは一回で大体出来ていた。これの影響が、勉学にも出ているのだろう。


 そして約三ヶ月で、一年生から四年生までの内容を全て覚えた。これにより、転入が出来る学力となった。まぁ、オリケルスは最低限の実力を遙かに超えているが。


 ……転入の日、父親に連れられオリケルスは学校へ行く。学校についた時に父親と別れ、学校の教師に連れられていった。転入するクラスの教室に入り、自己紹介をしてから席に着く。


 それからの学校生活は、オリケルスに取って真新しいものだった。勿論、生活は鍛錬と勉強の日々で大変になったが、それでもオリケルスはこの日々を楽しんでいた。


 小学校を卒業し、その後進学しまた卒業してを繰り返して100年が経ったある日――――。


「……オリケルス。よく聞いてくれ。……母さんが、死んだ」


 ――――このとき、オリケルスは学校に通っておらず、悪魔の戦士としての仕事をしていた。オリケルスは期待の新人として、そこで活躍していた。ちなみに、今は50年目である。年長者は300年以上居る者もいるので、オリケルスはまだまだひよっこだった。


「……どうして、でしょうか」


 そこでオリケルスは、父親に事情を聞き、母親の葬式を済ませた。その死因は、寿命だった。


 そして母親の葬儀を済ませた後は、前よりも多く鍛錬を積んだ。母親の死は仕方の無いことだが、仲間の死は別だ。戦士の仲間が、戦いにより死んだのだ。これが母親の死と同時期に起こった事で、オリケルスはより強さを求めることになった。


 鍛錬を続けて10年経つと、オリケルスは気付いた。


 ――自分は、天才では無いと。


 他の天才である悪魔を見て、自身に才能が無いのを悟った。……実際に、自身はもうあまり強くなっていなかった。


 オリケルスは父親が寿命で死んだのをきっかけに、悪魔の戦士を引退。そして、ほどほどに鍛錬をしながらひっそりと日本で暮らし始めた。山奥に和風の家を建設させ、そこで一人暮らし。100年もの間、平和な日々を送っていた。


 だが、その100年後に、ある者がオリケルスの元に来た。


「……本当にここに住んでいるんだな。物好きな悪魔だ。……すまない、気に障ったか? それなら謝罪したい」


 その者の態度は高圧的だったが、オリケルスには不快感は無かった。寧ろ、好感が持てた。その者が誠実だったという事もあるだろう。


 それからオリケルスは、その者と友人になった。その者の名前はドルナイトと言い、かつて悪魔の戦士だった時に先輩から聞いた名前と同じだった。


 ――原初神ドルナイト。


 全てを創造したと言われる、最強の神。その者が目の前にいるのに緊張し、少し身体がこわばったのをドルナイトに見破られ、ドルナイトは笑いながら言った。


「そう緊張しなくても良い。今は原初神では無く、ただの神だ。……この表現も駄目か? まぁいい。私はお前と友人になりたい。今は抜け出してきたが、いつ見つかるかわからない。それ故……オリケルス、友になってくれるか?」


 オリケルスは、ドルナイトの頼みを承諾し、友人となった。


 そして時々、ドルナイトはオリケルスの所へやってくるようになってきた。そこで、オリケルスとドルナイトはいろいろと話をした。


 オリケルスはドルナイトに敬語で接していたが、その間に遠慮はあまり無かった。ドルナイトは敬語では無くてもいいとは言っているが、オリケルスは敬語で接し続けていた。


 そしてドルナイトの人柄に触れていく内に、いつしかドルナイトの事を尊敬するようになっていた。……だが、時たまドルナイトに連れられて、口調を変えなければならない場面になるのは少し嫌だと思っている。その時には、ドルナイトの事を「御方」……と、呼ばなければならないのだ。


 オリケルスがドルナイトと友人となり数百年が経った頃、オリケルスの元にかつての後輩だった悪魔が来た。


「よく聞いて下さい、オリケルスさん。……ドルナイト様が、この世界の地へ堕ちました」


 ――その悪魔が持って来たのは、朗報では無く凶報だった。


 ドルナイトは堕ちるような者では無いと、オリケルスは知っている。だからこそ、オリケルスはそれを嘘だと思い一笑した。


 そして、その悪魔はオリケルスをイギリスに連れて行き、本当にドルナイトが堕ちたことを、悪魔の戦士長から聞かせた。それを受け、オリケルスはドルナイトが堕ちたのを信じた。


 ……だが、ドルナイトが堕ちるような者では無いと思っている。


 そんな思いを抱えたまま、オリケルスはドルナイトを倒すための戦争に出向いた――――。




 ――――その戦争は、ドルナイトが封印されることで終了した。


 だがその封印は完全では無く、不完全なものなので、数百年も経てば解ける。故に、対策を始めた。まずは、ドルナイトが封印される前に何かした人間の事を観察した。他には、悪魔や天使たち合同の鍛錬や、神を完全に倒せる者を探した。


 そしてオリケルスも、探す者の一人となった。


 ――そうして、500年ほど経った。それまで、神を殺せる者は一人も居なかった。探したが、見つからなかったのだ。悪魔や天使でさえ、神を殺せないのだ。


 ……だが、最期に一人見つかった。


 結月來貴。彼の者は、オリケルスが見た中で一、二を争うであろう天才。


 頭脳、身体能力、洞察力、魔力量、能力、その全てが超高水準であり、それに加え優れた容姿も持つ。人間を遙かに超える才能をその身に秘めていた。だが、大きすぎる才能故に生かし切れていない部分があったので、オリケルスはそこの部分を指導し鍛えた。


 來貴は、オリケルスの事をどんどん吸収し、覚えていった。まるで昔の自分を見ているようで、オリケルスはいけるところまで指導をしていった。その度に覚えていくので、オリケルスは息子の成長を見ているようで嬉しかった。


 そして先程、上司から伝えられた言葉を聞き、オリケルスは覚悟を決めた。ドルナイトも封印を解いたようなので、そろそろ來貴を次のステップに行かせる必要があるのだ。



――――――――――――――



(……フッ、來貴の奴の才能は、儂を遙かに上回る。……だが、奴はそれに傲ることは無い。最期に教えるのは、今までで一番難しいものだ)


 オリケルスは、もう戦えない。今のオリケルスの強さは、全盛期である500年前には程遠い。……だが、その500年で培われた技術は、決して劣っていない。それどころか、日を重ねる度に磨かれていく。


 その技術を、オリケルスは來貴に教えていた。今や來貴は、オリケルスに勝るとも劣らない技量を持っていた。


(……儂も、覚悟は決めた。今日、來貴は来るだろう。……試すとするか。あやつが、()()出来るか)


 オリケルスは、今一度精神統一をした。


 そして数分経った後、オリケルスは家の外へと歩き出した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 ――俺は、オリケルスの所へ行く準備をし、オリケルスの元へ行く。


 一階へ降り、玄関へ行きドアに手を掛けようとすると――――。


「あ、お兄ちゃん。何処行くの?」


 ――――琉愛に話しかけられた。俺は琉愛の方を向き、こう答える。


「……少し、な」


 俺の答えを聞いた琉愛は、少しムスッとした顔をしている。……その原因はわかっているが、バレるわけにはいかないから言うことは出来無い。


 そして俺は、琉愛に「行ってくる」とだけ告げ、家を出る。


「……いってらっしゃい」


 ドアを閉めかける所で、琉愛の声が聞こえた。俺は口に少し笑みが浮かびそうになるのを我慢しながら、ドアを閉める。……少し琉愛の反応が可愛かったので、ちょっとニヤけそうになったのは秘密だ。


 ――そして十数分後、俺はオリケルスの元に着いた。オリケルスは、家の外で俺を待つように立っていた。オリケルスは俺を視認した後、俺を家へと招き入れた。


 招き入れられた俺が連れて行かれたのは、いつぞやの和室。……どうやら、オリケルスは何か話をするようだ。雰囲気がそうなっている。何を話すのだろうかと考えながら、俺は和室の座布団の上に座る。


 オリケルスも、俺と机を挟んだ対面の座布団の上に座る。そして、眼を瞑る。


 ――それから数秒が経ち、オリケルスは眼を開けた。同時に、話し始めた。


「……今から話す事をよく聞け、來貴」


 オリケルスはそう前置きをし、俺の眼を見据える。


 そして、口を開いた。


「今から話すのは、500年前の事。儂たちが、世界を守るために戦った時代の話だ」


 オリケルスの言葉を聞き、俺は今話すのかと戸惑ったが、表情には出さずオリケルスの話を聞く姿勢になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ