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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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50話「お願いと行われる理由」

これで、学科対抗戦編は終了です。

「そこまで! 勝者、東道瞬華!」


 怜次の判定が下った瞬間、第一戦闘場は歓声に包まれた。


 結論から言うと、瞬華が勝利できたのは瞬華の作戦勝ちだったのだ。瞬華と彩月の技では、彩月の方が規模が圧倒的に上なのだ。威力は別かも知れないが、これだけは明白だった。故に瞬華は、一点突破で彩月を狙い、倒す作戦に出た。自身に当たる魔力波は、全て能力で操作して持ちこたえた。


 それ故に、瞬華が勝てたのだ。


 瞬華は刀を仕舞い、彩月の方へ行く。そして、彩月に向かって手を伸ばす。彩月は、先程目覚めたので、差し出された瞬華の手を取り立ち上がる。その後一言二言話した後、怪我の治療のため衣良文の所へ行った――――。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 ――――大将戦が、終わった。勝者は瞬華先輩なので、執行科(エンフォースメント)一チームの三勝二敗でこっちの勝利である。


 これで終わりかと思ったので、とりあえず帰ろうとしたが……。


「おい、まだ終わりじゃ無いぞ」


 と、天上先輩に言われ、瞬華先輩が戻ってくるまで待つこととなった。待っている間、白凪達執行科(エンフォースメント)二チームの科員達と集まりいろいろ話をしていた。……俺は一言も喋っていないが。


 集まっても良いのか……と考えたが、百々海先輩曰く「後でどうせ集まることになるから、今集まろうが関係無い」と言っていたので、大丈夫だろう。


 そうして数分経った後、瞬華先輩と彩月先輩が来た。その直後、刀華先生の声が響いた。


「優勝チームの執行科(エンフォースメント)一チームと、準優勝チームの執行科(エンフォースメント)二チームはこちらへ来て下さい」


 刀華先生の言葉で、俺達は待機場所を出る。そして、瞬華先輩達に着いて行き校長の前へ来た。


 そこから始まったのは、校長からの優勝チームと準優勝チームへの祝福の言葉。この対抗戦に三位等無いので、意外と速く終わった。……ちなみに、優勝の証みたいなのは無い。あるのは、優勝したよと言う紙切れだけだ。準優勝チームには、準優勝したよと言う紙切れのみ。もっと良い紙があったのでは無いだろうか。


 そんな訳で、今からアレである。正直に、俺が最も要らないと思っているアレだ。


「今から、私への願い事を一つ、言ってください」


 ……そう、校長への願い事だ。一つだけであり、大抵は叶えてくれるという願い事。正直どうでもいいので、それはチームの代表として、瞬華先輩が言うこととなっている。これは、チーム全員が納得しているため文句は一切無い。


 ちなみに、瞬華先輩がどんな願いを言うかは知らない。俺に関わらないのなら、別にどうでもいいからな。


「では……後日來貴君と話す機会を」


 ……ん? 瞬華先輩今、何て言った? 確か……俺と話す機会なんて言っていたような気がする。

 そこで俺が感じたのは、途轍もない嫌な予感。恐らく、それには甘い雰囲気など一切無いと思う。


「わかりました。來貴君に言っておきます。日程等は後にして、とりあえず來貴君を呼びましょう。……來貴く~ん、ちょっと来てくださ~い」


 校長が声を上げ、俺を呼ぶ。だが、俺は……絶対に行きたくない。そうして、俺がずっと固まっていると……校長が、もう一回俺を呼んだ。……仕方ない、行くか。


 そして、俺は校長の元へ行く。


 校長の元へ行く途中……なんだか、俺に敵意と殺意を孕んだ視線が向けられていた。だが……まぁ、この程度は無視で良いだろう。ということで、俺は無視して校長のところへ行った。


「それでは、日程は一週間後でお願いします。來貴君、その時に予定は無いよね?」


 有無を言わせない、瞬華先輩の視線。ついでに、校長の視線も俺に向いている。


「あの……」


 とりあえず、俺は断ろうとしたが……それを言おうとした瞬間、瞬華先輩からの無言の圧力が来る。


「……はい」


 それにより、俺は頷くことしか出来なかった。そして、俺は一週間後、瞬華先輩と話す事となった。……何を話すかは知らないが。


 その後、校長から全校生徒――主に一年生に話があるようで、全員第一戦闘場に残っていろと言われ残っている。その校長は、刀華先生からマイクを受け取り、第一戦闘場の壇上で佇んでいる。校長が何を話すのか、一年生がザワザワと話していた。


 だがその声は、校長が放った一声で静まり返った。そして、校長は話し始めた。


「――今回の学科対抗戦は、なんの為に行われたと考えていますか?」


 校長が言った一言に、一年生達は話し合う。二、三年生は知っているのか、ニヤニヤしている人と、無表情で沈黙している人が居る。ちなみに、瞬華先輩と彩月先輩はニヤニヤしている。百々海先輩と竜二先輩は無表情で、亜宮先輩も無表情。天上先輩と日鏡先輩は、少しニヤニヤしていた。


「……学科対抗戦は、一学期の最終試験のようなものです。学科対抗戦に出る者、出ない者関係無く、強くなる特訓を行われましたよね? 能力者も、出る者出ない者関係無く能力の本質理解をさせられましたよね? ……そう言うことです。学科対抗戦は、貴方達の一学期の成績を付けるための判断材料となっています。実技の方ですけどね。ちなみに学力の方は、この後行われるテストで判断します」


 校長の言葉で、絶句する一年生達。その一年生達は、サボっていた者だろう。俺の居る位置から見えた文奈や雫、黎は何も動揺していない。それは、白凪は明城も同じ事だ。……つまり、この五人は真面目にやっていたと言うことである。……あれ、それだと――。


(――俺の成績、ヤバくないか?)


 対して俺はと言うと、途中からあまり真面目にやっていない。相手をするのが面倒になったのだ。瞬華先輩達が相手だと、本気を出せば一瞬で決着が付く。それだとつまらないし、何より訓練にならないと思ったからだ。


 ……いや、待てよ。そこで、俺は一つ考えついた。


(……それなら、大丈夫か?)


 執行科(エンフォースメント)の両チーム共に、特訓を見ていたのは校長と桐生先生だ。……校長は、俺の強さを知っている。恐らく……いや、間違いなく、俺は瞬華先輩達よりも強い。……ならば、そこを加味した成績を付けてくれるのではないだろうか。……まぁ、俺の成績を付けるのは刀華先生なんだけど。


 ……大丈夫かな――――。




 ――――そして。

 刀華先生の司会で、学科対抗戦の閉会式が行われた。それは十数分で終わり、その後は帰ることとなった。


 帰ることになった俺は、凜姉と文奈と一緒に帰っている。なんだか周りからの視線が痛いが、俺が気にすることでは無い。


「ねぇ來くん、一週間後……瞬華と何話すの?」


 帰っている途中……凜姉から、そう聞かれた。ついでに――。


「あ、それ私も気になります」


 ――文奈も、そう聞いてきた。


 ……というか、聞かれても答えることは何も無いんだが。話相手である瞬華先輩は、何を話すのかは全く言ってくれなかった。故に、俺から言えることは何も無い。


「……知らない。何も言われていないからな」


 俺がそう言うと、二人は「そっか……」と言い、引き下がった。


 その後は、いろいろ話し帰った――――。




 ――――一週間後。今日は金曜日である。そして、瞬華先輩と話す日である。ちなみに、話す時間は放課後だ。


 今は、教室でHRの途中である。まぁ、刀華先生の話は一部聞き流しているが。確か……「今日からテスト期間ですよー」みたいなことを言っていただけだ。


 それで、一部のクラスメイトは、「疲れた直後にテストは嫌だ」とか言っていたが、刀華先生の「貴方達は学科対抗戦に出ていないからあまり疲れていないでしょう。寧ろ、決勝まで出ていた來貴君や、他に出ていた雫さんや文奈さん、黎君や湊君の方が疲れていますよ」という正論により黙らされた。


 確かに、そうだろう。文奈なんかは一週間くらい前に「学科対抗戦、疲れました」とか言っていた。それに、黎達の様子を見るに、とても疲れているのが目にわかる。……一回戦しか出ていない黎はあまり疲れていなさそうだったが。


「これで、HRは終わりです」


 そう言って、刀華先生は教室を出て行った。その後は、一限目が始まるまで文奈と喋って過ごしていた。


 そうして一限目が始まった。一限目は戦闘理論。得意な方の教科なので、大体内容はわかる。それに今日の内容は後で把握すれば良いので、とりあえず今はバレないようにボーッとしている。ちなみに、寝ると文奈に視線を向けられるので、寝られないのである。


 そんなことを考えている間に、一限目が終わった。そして、二限目、三限目、四限目、五限目が終わった。


 次は、六限目である。六限目は軍事学で、俺の得意な教科だ。……ちなみに、俺が得意な教科は全てだ。出来ないことは……絵だけだ。絵だけは……そう言う能力が無い限り、どうにも出来ない。まぁ、これはどうでもいいのだが。


 ……暇だな。寝るのは出来ないし、軍事学は覚えることが多いが、能力を使えば一瞬で全て完璧に覚えられるので俺には関係無い。チラッと隣を見ると、文奈が覚える事が多く苦戦しているようだが……俺には、心の中で頑張れとしか言えない。


キーンコーンカーンコーン


 ……あ、授業が終わった。俺がそんなことを考えている間に、教師が挨拶をして教室を出て行った。


 そしてその後、刀華先生からの帰りのHRがされて、終わった。終わった後、刀華先生は教室を出て行った。それを引き金に、クラスメイト達は教室を出て帰って行く。それを見る中、俺は帰らずにいる。


(……はぁ)


 思わず、心の中で溜息をついてしまった。瞬華先輩との対談……嫌な予感しかしない。……最も、執行室集合だから、瞬華先輩以外にも居るかも知れない。とりあえず、行くか……。


 そして俺は、執行室へと足を運んだ。ちなみに、執行室へと行く間、白凪と明城を見かけたが、一緒に楽しそうに帰っていた。故に、執行室には居ないだろう。……一番可能性が高いのは、彩月先輩か……?


 そんなことを考えていると、執行室の前へと着いた。俺は扉を叩いてノックをし、扉を開けて中に入る。


「……失礼します」

「あ、来たね。來貴君」


 執行室の中には、瞬華先輩と彩月先輩がいた。まぁ、彩月先輩がいることは予想していたので別に良いか。


「ごめんね、來貴君。あの時に呼びつけちゃって」


 瞬華先輩はそう言いながら、俺を執行室の奥へと連れて行く。彩月先輩も、瞬華先輩について行き奥の方へと行く。


 そして奥の方へと行った後、瞬華先輩が話をする。


「今日はね、來貴君に話があるから呼びつけたの。彩月も一緒だけど、気にしなくて良いからね?」

「……話、ですか?」


 話……か。変な話であることは確かだろう。何せ、学科対抗戦のあの時に言われたときから、嫌な予感はあった。俺を呼びつけたと言うことは、俺に関する話だと言うこと。恐らくそれは、生徒には聞かれたくないことなのだろう。


 例えば――――。


「うん。ちょっと、気になることがあってね……」


 瞬華先輩は、そこで一旦言葉を切り、彩月先輩と目を合わせる。そして頷き合い、言葉を続ける。


「來貴君の能力って……脳のリミッターを解除する割に、強いなって思って」


 ――――一瞬、俺は反応しそうになった。まさか、俺の能力の事が怪しまれるとは……いや、考えてはいたが、こんなに速く見抜かれるとは思っていなかった。俺が少し迂闊過ぎたのもあるかも知れないが……いや、言い訳はよそう。


「……そうですか? 普通だと思いますが」


 俺は、平然を装い言葉を返す。だが、瞬華先輩は引き下がらない。そして、瞬華先輩が口を開こうとしたが、それを遮り彩月先輩が口を挟む。


「なら、幾つかおかしい所があると思うんだけど。來貴君の素の身体能力が高いのはわかるけど……それは、人間の範囲内。脳のリミッター解除なら、人間の範囲内の力だと思うの。……でも、來貴君の力は人間の範疇を超えてる。……來貴君の能力は、最上位の強化系じゃないかな?」


 彩月先輩の言葉に、瞬華先輩は頷き、俺は無言を貫く。


 そんな俺に、瞬華先輩がこっちへ寄ってきた。戸惑っている俺を余所に、瞬華先輩はこう聞いてくる。


「……ねぇ、來貴君。覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)は、本当は脳のリミッター解除する能力じゃなくて、とても強い身体強化じゃないの? 私と彩月は、誰にも言わないから……教えてくれないかな」


 上目遣いで……瞬華先輩が聞いてくる。なんだか、断りづらい雰囲気が出ている。彩月先輩は俺の方を見てニコニコしているが、笑顔の奥に「瞬華を泣かせるなよ」みたいな圧を感じる。


 ……さて、どうするか。教えるか、教えないか。


 瞬華先輩と彩月先輩が言っていることはあっている。俺の『覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)』は、脳のリミッターを解除する能力では無く、全てのリミッターを覇壊する能力。そして、彩月先輩の言うとおり最上位の強化系だ。……この事を知っているのは、凜姉達と、兇介達と、校長のみ。……瞬華先輩と彩月先輩に、教えても良いのだろうか。


 そんな思考が、俺の中で渦巻く。瞬華先輩と彩月先輩は、俺の様子をじっと見ている。


 数秒間考え、俺は――。


「……俺の、覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)は」


 ――言うことにした。二人は、俺の言葉に真剣な顔で耳を傾けている。……二人は、この力を聞いてどんな反応をするのだろうか……嫌な反応をしてくれなければいいのだが。


「脳のリミッターを解除する能力ではありません。本当は……全てのリミッターを覇壊する能力……です」


 俺はそう言い、瞬華先輩と彩月先輩の反応を見る。結果は案の定、二人は驚いていた。まぁ、驚いているのは、主に本当の力の方だと思うが。


「……凄いね、それ。だって、人間の限界を突破出来るんでしょ? だったら……私達よりも強いんじゃない?」


 瞬華先輩がそう言いながら、彩月先輩と少し話す。約二十話した後、俺に向かってこう言った。


「話してくれてありがとう、來貴君。この事は、勿論他の人に話さないけど……執行科(エンフォースメント)の科員達には話しても大丈夫?」


 その質問に、俺は少し考えてから言う。


「……はい、大丈夫です」

「うん、私から話しておくね」


 どうやら、瞬華先輩では無く彩月先輩が話すようだ。……まぁ、どっちでも変わらないと思うけど。


 その後は、帰っていいと言われたので、家へと帰った。


 そして、執行科(エンフォースメント)の科員が全員集まったときに、俺の本当の力について、いろいろ言われたのは言うまでも無いだろう――――。

次の51話は遅れるかもしれません。

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