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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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49話「決勝戦・後編」

やっと決勝戦を書き終わりました。

 そして今、始まりの合図が――――。


「それでは、始め!」


 ――――審判の怜次により、下された。

 その瞬間、二人は走り出す。天上は最初から能力を使い、抜剣して百々海に斬りかかる。対して百々海は、能力を使い剣を逸らしてから影に潜り込み、後ろから発砲を一回。だが、天上に簡単に避けられる。


 その後は、互いに距離を取り睨み合う。同時に、二人は魔力を練っている。数秒の時間が経った後、百々海が発砲したことで戦況が動く。百々海が放つ魔力の込められた銃弾を天上が弾き、その勢いで魔力の斬撃を百々海に飛ばす。対して百々海も、魔力の斬撃を躱し影を放つ。


 天上は、百々海の影を躱して距離を詰める。そして、剣を振り下ろして攻撃する。振り下ろされた剣には、黄色の魔力が纏われ、鋭さと速度が増していた。だが、百々海には当たらない。百々海は、魔力を使い身体強化をして躱したのだ。


 その後百々海は影を伝って距離を取り、天上に影の弾――影弾を放つ。影で出来ているため、弾くことなど出来ない。魔力を使えば可能だが、天上はそれをしなかった。影弾を躱し、能力を発動させる。それにより、天上の速度と力は跳ね上がり、攻撃を躱し続けてきた百々海に攻撃が当たってしまう。


「ぐっ……」


 百々海は少し怯んだが、それ以上は隙を見せない。すかさず影の波動を天上に当て、距離を取る。天上は、影の波動が当たったことで動きが鈍ったが、すぐさま百々海を追いかける。


 天上は剣で斬りかかりながら、百々海の影を躱していく。百々海は影の波動を放ちながら、天上の斬撃を躱していく。


 ――そして、五分以上経った。二人の戦闘はまだ続いていて、戦闘は百々海が有利になっていた。


 二人の魔力量はとても多いので、能力を使い続けていても長く持つ。だが、使っている量が多いのは天上だ。天上は能力で常に使い続けていて、尚且つ刀身に魔力を纏わせていて、消費魔力が多いのだ。いくら魔力量が多い天上でも、五分以上に渡る戦闘で魔力が無くなってきたのだ。


 対して百々海は、あまり使っていない。影の波動は、影そのものに、魔力を込めて指向性と形を持たせて放つだけなので、あまり魔力を消費しない。百々海の戦闘スタイルがあまりアグレッシブに動くタイプでは無い。


 武器である拳銃も、結局能力の方が強いのでそっちを使っている。それに、魔力を込めた弾丸も、弾丸の芯に魔力を込めているだけなので、あまり魔力を消費しない。百々海の方が魔力量は少ないので、百々海が節約している……というのもあるだろうが。


 この状況を、天上はよく理解していた。故に、天上は思案する。


(ヤバいな……百々海先輩より俺の方が魔力量は多い……だが、強化系の能力を持つ俺の方が消費量は多い。それに、百々海先輩も攻勢になってきた。このままだと、魔力が枯渇したときの隙を突かれて負けるな……ならいっそ、全部出して倒すか)


 天上は脳筋なので、あまり深い事は考えられない。故に自分らしく、全力で百々海を打ち倒すことを考えついた。なんとも脳筋な考えだが、天上らしい考えである。


 そして天上は、身体にも黄色の魔力を纏わせる。百々海は危険に感じ、自身も身体に灰色の魔力を纏わせた。……そうして、二人は約数秒動くこと無く、息を整える。


 ――数秒後。


 天上は百々海の方に駆け抜けながら、剣に魔力を収束し振り下ろす。対して百々海は、影を使用し後ろに下がりながら、手に影を溜める。そして、影の波動を放った。


 黄色い魔力の斬撃と、灰影の波動。二つがぶつかり合い、そして――――。


「そこまで! 勝者、天上司!」


 ――――天上が、勝利した。だが、その姿はボロボロであった。


 あの後、魔力の斬撃が灰影の波動を突き破り、躱そうとした百々海に直撃し、百々海が気絶した。だが、まだ形のあった灰影の波動が天上に当たった。なんとか天上は踏ん張り、気絶しなかった事により、勝者は天上となったのだ。


 気絶した百々海と怪我をした天上を、怜次が衣良文の元に運んだ。そして怜次が戻ってきた後、刀華が続きの司会をする。


「さぁ……この勝負の結果で、学科対抗戦の優勝チームが決まります! 大将戦! 両チームの大将は、準備をしてこちらへ来て下さい」


 そして……大将である、瞬華が待機場所を出て行く。対して彩月も、準備をして待機場所を出る。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 東道瞬華、鳳彩月。この二人は、生徒の中で五本の指に入るほど強い。そして、実力はほぼ拮抗していた。今までも、引き分けが殆どであり、どちらも五勝五敗千分である。


 そんな二人の戦いは、全校生徒や、教師までもが注目している程だ。


 そして、その二人の戦いが、今――――。


「それでは、始め!」


 ――――始まった。


 その瞬間、瞬華と彩月は走り出す。同時に、瞬華は柄に手を置く。彩月と距離が詰まったと同時に、抜刀し居合いをする。……だが、彩月には当たらない。身体を傾けて躱したのだ。


 この攻防が終わった後、能力を使った応戦が始まる。瞬華は時間を操りながら刀で彩月を攻撃し、彩月は幻惑の世界を創り拳で瞬華を攻撃する。


 そして、この応戦は数分続いた。その間、二人の攻撃は互いに当たっていない。互いが互いを攻撃し、それを躱し続けているという攻撃が続いているからだ。

 この構図は、瞬華対彩月の戦いではいつもの事だ。実力が拮抗しているからこそ、決着がつきづらいのだ。後は、二人の戦い方の違いにある。


 瞬華の戦い方は、時間を操りながらの刀での近接戦。彩月の戦い方は、幻で翻弄しながらの肉弾戦。戦い方が、根本から違う。武器の有無もあるので、真っ向から打ち合うことは、彩月がしない。速度勝負も、瞬華の停止世界の中では関係無い。……これが、決着がつきにくい理由である。


 この事は、何回もやってきたので瞬華も彩月もわかっている。わかった上で、戦っているのだ。二人とも強いので、校内で相手になる者は殆ど居ない。だからこそ、この戦いを楽しもうとしているのだ。何せ、殺し合いでは無いのだから。


 そして、このまま続けていても、決着はつかない。着くとしても魔力と体力切れだろう。こんな状況で、瞬華は考える。


(うーん……このままだと、長引くね……彩月とは何回も戦ってきたから、手の内は知り尽くしてるけど……何か、隠し球がある可能性はある。私も、それはあるけれど――)


 瞬華はそこで、一旦思考を切る。そして、こう考えた。


(――今は、彩月との戦いに集中して、勝たないとね!)


 瞬華は少し微笑みながら、彩月に刀を振り下ろす。だがそれは幻で、本当の彩月は瞬華の後ろにいた。そして彩月は、瞬華に向かって蹴りを放つ。それも、瞬華が身体を捻ることで当たらなかった。


 瞬華は、身体を捻り体勢を整えると同時に、魔力を刀身に纏わせ魔力の斬撃――魔力斬を放つ。その事に、彩月は少し驚きつつあったが……自身も拳に魔力を纏わせ、魔力の拳――魔力拳を放ち対抗する。


 橙色の魔力斬と、水色の魔力拳がぶつかり、辺りに突風が吹き荒れる。それは、瞬華と彩月の艶やかな髪を乱すが、本人達は気にしていない。すぐに戻るからである。そして、瞬華と彩月は大きく後ろに跳躍し、距離を取る。


 数秒――その後魔力を練り、身体に魔力を纏わせつつ、少しづつ距離を詰める。そして、瞬華が能力を使い時間を止める。そして、本体の彩月に魔力斬を放つ。


 停止世界の中では、能力で創られた彩月の幻は居ない。彩月自体が止まっているので、能力で幻を維持出来ないのだ。故に……停止世界の中では、瞬華が圧倒的優位に立つのである。


 そして、瞬華は指を鳴らして時間停止を解除する。だが、彩月は既に防御態勢に入っている。魔力斬があるところに魔力の波動を放ち、防ぎきれないところは魔力を厚く纏わせる。瞬華が彩月の手の内を知り尽くしているように、彩月も瞬華の手の内を知り尽くしているのだ。故に、どのような行動をするのか予想するのは、容易かった。


 それ故の、彩月の行動なのだ。瞬華の魔力斬は、魔力の波動で防御される。だが完全には防御仕切れなかったようで、一部服がすり切れていて、ダメージを負った。瞬華は、それを予想していたようで、対して驚いていない。


 そんな中、彩月は思案する。


(どうしようかな……私の能力って、瞬華の能力と相性悪いしね。時間を止められたら、抗う術が無いよ。……だけど、時間停止を解除しなければ攻撃は来ない。そこを突いて、私の幻で翻弄すれば……勝てる!)


 彩月は、このように考えていた。この考えは、間違っていない。瞬華の隙を突くことが出来れば、彩月は勝てる可能性がある。だが、それは逆も然り。彩月が隙を見せれば、瞬華にそこを突かれて負けるだろう。


 故に彩月は、自身と瞬華の動きに注意しながらも、幻を使い隙をうかがう。同時に、魔力拳を叩き込む。対して瞬華は、魔力を刀に集束して迎え撃つ。そして、拳と刀がぶつかり合う。彩月の拳は、魔力により保護されているので、傷一つ付いていない。それは、瞬華の刀も同じである。


ギィンッ! ギィンッ!


 刀と拳での、打ち合いが始まる。ここから本格的に、瞬華と彩月の戦いが始まった。常人には見えない速度で振るわれる刀と、繰り出される拳。大半の観客は何をやっているかわからなかったが、教師陣は興味深そうに見ていた。


 そして瞬華は、『時間支配(クロノ・ルーラー)』を使い自身の時間を加速させる。それにより、瞬華の動きがより一層速くなり、彩月を襲う。彩月は、幻を使いつつ攻撃を躱し、魔力をより厚く纏い攻撃力と速度を上げる。


 彩月は、瞬華の斬撃を躱すのに余裕は無いが、まだまだ余力はあった。対して瞬華は、彩月の拳を躱せているが、それもギリギリだ。この状況は、瞬華にとって不利だった。


 故に瞬華は、一つ手を打つ。


 時間を止め、彩月の後ろに回る。そして、刀を振りながら時間停止を解除する。すると、瞬華が瞬間移動しいきなり後ろから攻撃してきたようになった。彩月は反応出来たが、瞬華の斬撃を食らってしまう。


 瞬華は追撃を仕掛けようとしたが、攻撃したのは彩月の幻だった。彩月は距離を取りながら、幻を多数出現させる。その幻は、彩月の魔力を一定量持っている。瞬華が魔力斬で幻を切り捨てる中、彩月は技を使う。


「――滅びの幻惑誘導ヒュプノ・カタストロフィー!」


 水色の魔力の波動が、瞬華を襲う。幻を使い、滅び――即ち、"死"へと誘うそれは、段々と不可視になる。そして、思わず瞬華は目を閉じそうになるが、瞬華はなんとか意識を保ち、自身も魔力波を放つ。それにより、瞬華は彩月の技を防ぐことに成功した。


 滅びの幻惑誘導ヒュプノ・カタストロフィーは、幻の世界で放った魔力波を浴びた者を、全て死へと誘う技なのだ。抵抗出来なければ、死へと誘導される。範囲を設定することは可能なので、観客達に被害は行かないようにしたので、この技は瞬華にしか当たっていない。


 瞬華は息を吐きながら、彩月の方を見る。……だが、瞬華が見た先に彩月は居なかった。彩月はもう、瞬華の懐に潜り込んでいたのだ。瞬華は焦って時間を止めようとするが、彩月の方が速かった。拳は瞬華の腹部へと直撃し、瞬華は後ろへ大きく飛ぶ。


「ぐっ……」


 空中で息を吐きながらも、バク転をしながら瞬華は体勢を整え着地する。その後、瞬華は時間を止める。


 停止世界の中で、瞬華は特に何もするわけでは無い。息を整え、刀身に橙色の魔力を集中させ、停止世界を解除しながら叫ぶ。


加速魔力波時圧斬(アクセル・クロノレイ)!」


 瞬華の刀から、橙色の魔力斬が、波動となって放たれる。それは段々加速していき、とても強い魔力圧を放ちながら彩月へと接近する。


 瞬華の加速時圧魔力波斬(アクセル・クロノレイ)は、瞬華の『時間支配(クロノ・ルーラー)』を最大限に生かした技なのだ。時間を止め、魔力を収束することで魔力圧が発生しないようにする。魔力圧は時間が止まっていると発生しない特性を、瞬華は利用したのだ。

 それを、時間停止解除と同時に放つことで、一気に圧を出す。それを瞬時に加速させる事で、圧を周りに逃がさず彩月に伝えるという事が出来るのだ。


 対して彩月は、自身の能力である『幻惑の世界(ヒュプノス・ワールド)』で創った幻の世界を破滅させ、そのエネルギーを瞬華に誘導することで対抗する。


全て破滅の幻惑世界エンド・オブ・ヒュプノス!」


 彩月の放った絶技は、眩い光りを周囲に放ちながら瞬華の方へ向かっていく。


 ――そして、激突する。周囲には衝撃波が吹き荒れ、眩い光りが煌めく。魔力の波動が、瞬華と彩月を襲う。第一戦闘場の、二人が戦っている様子は誰も見れなくなっていた。


 数秒後、ようやく衝撃波と光りが無くなった。それにより、怜次は審判をしようと様子を見る。


 そこには、傷を負った瞬華と彩月が、二人とも立っていた。……だが、二人とも息は荒く、魔力も半分以上消費している。そんな状況の中、瞬華と彩月は再び戦闘態勢を取ろうとした。


 だが――――。


「……凄いね、瞬華」


 ――――彩月が、倒れた。怜次はそれを確認し、判定をする。


「そこまで! 勝者、東道瞬華!」


 怜次の判定が下った瞬間、第一戦闘場は歓声に包まれた。

次の50話で、学科対抗戦が終了です。少し投稿が遅れたのは……瞬華は書きづらいからです、はい。

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