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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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46話「準決勝第二試合」

 準決勝は、第一試合が終わり第二試合を迎えていた。第二試合は、執行科(エンフォースメント)二チーム対能力科(アビリティ)一チームだ。


 そこで白凪は、待機場所にて彩月の言葉を聞いていた。


「これに勝ったら決勝戦だから、勝つよ」


 彩月の言葉はそう短いものだったが、しっかりと全員に伝わっていた。


「さぁ! 準決勝第二試合の始まりです! まずは先鋒戦! 各チームの先鋒は準備をしてこちらへ来て下さい」


 刀華の言葉を聞き、白凪は準備をして待機場所を出る。そして、能力科(アビリティ)の先鋒……雫が準備をし終え、待機場所を出た。


 それを確認した刀華は、始まりの司会をする。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 審判の怜次が出てきて、始まりの合図をする。


「それでは、始め!」


 怜次の合図で、第二試合の先鋒戦が始まる。それと同時に、白凪と雫は走る。走っている途中、雫は拳銃を抜き発砲する。放たれた銃弾は、雫の能力で加速されて白凪に迫る。白凪は、身体を捻ることで銃弾を躱した。


 銃弾を躱した後、白凪はお返しと言わんばかりに雫に地面の壁を隆起させる。そして、その壁で雫を覆う。だが、雫は跳躍し、壁を足場に白凪との距離を詰める。それを見た白凪は、剣を抜き地面を操作する。


 そして、上にいる雫に逆に近づき斬りかかる。雫は能力で白凪の斬撃を遅くして、二丁の拳銃で防ぐ。だが、力は白凪の方が上であった。雫はそれをわかっていたようで、剣を受け流し高くなった地面から飛び降りる。飛び降りながら、白凪に向かって発砲するのを忘れない。


 白凪は、発砲された銃弾を壁で防ぎ、自分も飛び降りる。互いに、落下時に魔力を使って衝撃を受け流したので怪我は一切していない。


 ……そして、静寂が訪れる。無限とも思える静寂は、数秒間で消え去った。


 雫が、白凪に向かって早撃ちで六発発砲した。白凪は瞬時に察知し、剣で銃弾を斬り伏せる。そして、雫は藍色の魔力を身体に纏い、白凪に接近する。白凪も、純白の魔力を身体に纏い、雫に接近する。


 そして、互いが互いの射程圏内に入った。白凪は雫の銃弾を避けながら、剣を振り下ろしと能力を使い攻撃をする。白凪は、地面の壁を使う事で、超速で放たれる銃弾を防ぐことが出来た。雫は白凪の剣を避けながら、能力を使いリロードをしながら拳銃を発砲する。雫は、時間の流れを加速し鈍化させることで、なんとかリロードが間に合っていた。


 だが、どちらが有利なのかは明白だった。白凪は能力を使って雫に接近し、剣を振り下ろす。そして、その斬撃は――。


「ぐっ……」


 ――雫の右肩に命中した。それにより、雫は右手に持つ拳銃を上手く操作できなくなる。


 白凪は、能力を使い剣を硬化させる。そして、雫の隙を突き剣を突き出す。雫は能力で時間の流れを加速させ躱そうとしたが――――。


「……降参よ」

「そこまで! 勝者、白凪鉤人!」


 ――――動けない雫に剣が首元に突きつけられ、雫は降参した。雫が動けなかったのには理由がある。その要因は必然的に相手である白凪になる。実際、白凪なのだが。白凪は、能力で雫の足下を拘束し、動けなくなるようにしたのだ。だが、それは即席なので脆く、力を入れればすぐに破壊出来るが。


 動けない隙に剣を首元に突きつけ、白凪は勝利した。まぁ、雫がそこで諦めたのも勝利の要因の一つなのだが。もし、雫が力任せに強引に足の拘束を引きちぎろうとしたら、引きちぎれていた。それ程、脆い拘束なのだ。


 そして、白凪と雫は待機場所に戻った。


「次は次鋒戦! 各チームの次鋒の人は、準備をしてこちらへ来て下さい」


 刀華の声が、第一戦闘場に響き渡る。


 そして、日鏡は次鋒戦の準備をする。と言っても、日鏡に準備する物なんてほとんど無いが。日鏡は心の準備をし終えた後、待機場所から出ていった――。


 ――双方の次鋒が、準備を終え待機場所から出た。即ち、それはいつでも次鋒戦が始められることを意味する。執行科(エンフォースメント)二チームの次鋒、日鏡。能力科(アビリティ)一チームの次鋒、波沢垣矢(なみさわかきや)。この二人が出たのを確認した刀華は、マイクに向かって言う。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華の言葉で、怜次が合図をする。


「それでは、始め!」


 怜次の合図により、次鋒戦が始まる。日鏡は、波沢の動きを観察する。対する波沢も、日鏡を観察し動かない。


 ――そうして、数秒経った。瞬間、波沢は日鏡との距離を詰める。それを見た日鏡は、能力を使用し波沢に近づかれないように光を放つ。波沢の反応速度はかなりのもので、日鏡が光を放つタイミングを見て光を躱しながら距離を詰めていく。日鏡は、少し顔を顰める。


(やっぱり、当たらない。私の光は、光に限りなく近い速度なんだけど……直線にしか進まないんだよね……そこを突かれたら、簡単に躱せるからね……波沢君とは相性が悪いよ)


 日鏡は、心の中でそう呟く。そして、日鏡は波沢との距離を開ける。近づかれたら、日鏡は一気に不利になるからである。体力の少ない日鏡にとって、近距離戦はなるべく避けるようにしているからだ。だが、必要になれば近距離戦はするが。


 日鏡の能力である『陽光操作シャイニング・コントール』。光を操る能力である、その本質は『直線』。操作系の能力である。そして、この能力で操る光は直線にしか進まない。だがそれ故に、躱されることがある。それに、日鏡の出す光の速度は、光速とは程遠いのである。


 そして、日鏡は光を放ちながら距離を開ける。上手く波沢の動きを利用し、常に一定の距離を開けている。日鏡自身の魔力量がとても多いのも、これが出来ている要因の一つだろう。能力を使い続けていても、魔力切れを起こさない。故に、日鏡は強いのだ。


 そんな状況の中、波沢は思案する。


(これじゃあ、近づけないね……僕が近づくタイミングに合わせて、日鏡は方向を変え距離を取っている。いくら僕の反射(リフレクション)があろうとも、このままじゃジリ貧だ)


 波沢の能力は、反射(リフレクション)。素早く動く能力である。その本質は『反応』で、補助系の能力である。この能力は、本質の通り反応速度が速くなる。波沢の反応速度は、0.01秒。人間の反応の限界を常に超えている。故に、体力の消耗も激しいが、この能力を常に発動している波沢の体力は日鏡の数倍は多い。


「く……」


 波沢の腕に、日鏡の放った光が擦る。だが、波沢は気にせず日鏡に接近する。


 そして、日鏡と波沢の攻防が数分続く。途中から、二人は魔力を纏わせていた。そんな攻防が続く中、日鏡は距離を取ろうとする。だが――。


「――あっ」


 日鏡は、体力を消耗し足がもつれる。転びそうになるが、すぐに体勢を立て直す。だが、波沢はその隙を逃さない。一気に距離を詰め、魔力の拳を放つ。


 放たれた拳を、日鏡は避ける。そこから、波沢の反撃が始まった。波沢の攻撃は手数がとても多く、日鏡は避けるのが難しそうな様子だった。波沢は、日鏡が攻撃を避けたほぼ同時に、次の攻撃を繰り出す。故に、手数が多い。魔力も纏っているので、一撃一撃も強い。


「くっ……」


 堪らず、日鏡は閃光を放ち距離を取る。その閃光は一瞬で消える。閃光輝く間に、日鏡は約数メートル距離を開けられた。だが、それでは波沢からは逃げられない。それは、日鏡もわかっている事だった。


(やるしかない……かな)


 日鏡は、近距離戦をやることを決意した。


 その後、波沢が光をかき分け距離を詰める。そして、日鏡が視界に入った波沢は魔力の拳を放った。それは、日鏡に当たる軌道だった。だが――――。


「ぐはっ!?」


 ――――逆に、波沢に攻撃が来る。先程の攻撃は、日鏡によるものだ。薄黄色の魔力の拳を、波沢に向かって放ったのだ。波沢と全く同じ攻撃だが、込められている魔力が違うので、威力と速度は日鏡の方が上だ。


 そして、波沢も負けじと魔力の蹴撃を放つ。日鏡は、屈む事で避け、先程よりも速い拳を放つ。その拳は、魔力だけでは無く能力による光もあり、光速に近い速度で波沢を襲った。


「ぐっ……」


 それにより、波沢は気絶する。それを確認した日鏡は、能力を解除し魔力を引っ込める。


「そこまで! 勝者、日鏡光!」


 怜次の判定により、日鏡の勝利とされる。そして、怜次は波沢を衣良文の所へ持って行った。日鏡は、待機場所へ戻った。


 次は、中堅戦。少し時間が経って怜次が戻ってきた後、刀華は言う。


「次は中堅戦! 各チームの中堅は、準備をしてこちらへ来て下さい」


 そして、双方の中堅は待機場所から出る。執行科(エンフォースメント)二チーム側は、竜二。能力科(アビリティ)一チーム側は、戦樫藤一朗(そよがしとういちろう)という三年生である。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華の言葉で、怜次が合図をする。


「それでは、始め!」


 始まりの合図と同時に、竜二と戦樫の二人は走り出す。その途中で竜二は拳銃を抜き、戦樫は短剣を抜く。


 竜二は発砲し、戦樫は魔力斬を放つ。だが、全ては擦りもせず躱される。


 二人の距離が近づいた途端、近距離戦が始まる。竜二は能力を駆使し、戦樫の攻撃を躱しながら銃弾を放つ。対する戦樫は、ほぼ直感で攻撃を回避し、短剣で斬りかかる。


(このままだと、手数に余裕が無くなる……それは、避けたい。なるべく、俺の能力で培ってきた予測力を使って戦うか)


 竜二はそう考え、能力の使用を控える。そして、紅色の魔力を拳銃に纏わせる。


 竜二の能力である『未来視(ラプラス)』。数秒先の未来を見る能力である。この能力の本質は『予測』。この能力は、数秒先の未来を予測する。故に、予測。補助系の能力だが、この能力は少し特殊なのである。この能力は、魔力を消費しない。……だが、一回発動すると五秒間の間は使用できない。ちなみに、昔は十秒だったが、半分減った。


 そして、竜二は能力を使えない間も予測が出来るようにと特訓をした。故に、相手の動作を見ただけである程度は次の動作を予測出来る。


バァンッ!


 竜二は発砲し、少し距離を開け能力を使わず予測をする。すると、戦樫が次に何をするかが大体わかったので、そこにある隙を突き攻撃をする。だが――。


「おっと……危なっ」


 ――躱された。だが、躱したと言うよりも、攻撃をされる前に避けたと言う方が正しい。


 戦樫の能力は、直勘インスティンクト。感覚を鋭くする能力である。その本質『本能』で、補助系の能力である。感覚を鋭くする……と言っても、それはほぼ本能みたいなものだ。故に、本能。その本能で竜二の攻撃を察知出来た故に、攻撃をされる前に避けることが出来たのだ。


 そして、竜二の隙を見て戦樫は攻撃を仕掛ける。だが攻撃は、それを読んでいた竜二に避けられた。


 それを確認した戦樫は、竜二に急接近し短剣で拳銃を叩き飛ばす。自身が持つ拳銃を叩き飛ばされた竜二は――。


「……降参する」


 ――降参した。理由は一つ。拳銃を飛ばされても素手で戦えるが、ここは潔く降参しようと思ったからだ。後の百々海や彩月による説教が怖いところではあるが、竜二は大丈夫だろうと考えた。


「そこまで! 勝者、戦樫藤一朗!」


 そして、竜二は拳銃を拾って待機場所へ戻った。戦樫も、短剣を仕舞い待機場所へ戻る。


 待機場所へ戻った竜二は、降参をしたことに少し説教をされた。まだ続くが、それは後でになった。まだ試合が残っているからである。


「次は副将戦! 各チームの副将は、準備をしてこちらへ来て下さい!」


 そして、双方の副将は待機場所から出る。執行科(エンフォースメント)二チーム側は、百々海。能力科(アビリティ)一チーム側は、枯木渚(かれきなぎさ)という三年生。


 枯木は、ショートの茶髪に、黄色の瞳を持つ麗人であり、能力科(アビリティ)の副科長でもある。そして、身長は百々海より少し上である。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華の言葉で、怜次が始まりの合図をする。


「それでは、始め!」


 そして、始まった。


 始まった瞬間、二人は走って距離を詰める。距離を詰める間、二人は拳銃を発砲する。互いが放った銃弾は、少し擦っただけで殆ど当たらない。


 そうして数秒、互いの距離が約5m程に詰まった。


 その瞬間、暗影と炎熱が空中を駆ける。二つは空中で激突し、周囲に衝撃波をまき散らす。百々海と枯木の二人は、その衝撃波を意に介さず、次の攻撃をする。


 百々海は影を渡り枯木の後ろに回る。そして影を纏った蹴りで攻撃をしたが、すぐに感知した枯木により躱される。

 その後、枯木は百々海から少し距離を取り、炎を放つ。百々海は影で防御をする。それと同時に影を放ち、枯木を攻撃するが躱される。


 そんな攻防が続く中、百々海は思案する。


(……攻撃が当たらないわね……このままじゃ、先に魔力切れを起こした方が負ける)


 百々海と枯木の二人は、能力を使い続けている。それ故、魔力切れを起こし能力が使えなくなると、一気に不利になるのである。


 百々海が持つ『暗影操作シャドウ・コントロール』は、影を操る能力。その本質は『日陰』で、操作系の能力である。この能力は、日陰の"影"しか操ることが出来ない。故に、本質が日陰なのだ。そして百々海は、その影を操り攻撃や防御が出来る。


 そして百々海は、枯木に向かい影を放つ。対して枯木は、炎で影を防御し、地面から炎を出す。百々海は咄嗟に影に潜ることで躱し、別の影から出る。


 それを見て、枯木は勝つためにどうするか考える。 


(このままじゃ、攻撃は当たらないまま……か。せめて、もう少し接近できればいいんだけど……)


 枯木は、拳銃を使っているが、それは牽制用だ。他に、刀を一本帯刀している。近づいて、刀を抜ければ枯木の本領が発揮されるのだが……百々海が、それを許さない。

 百々海は、近距離よりある程度離れた距離で戦う方が得意なのだ。故に、近づかない。少し離れた距離で能力を使う。それが、百々海の戦い方なのだ。


 そして、枯木の能力は『炎熱操作フレイム・コントロール』。炎を操る能力である。この能力の本質は『光熱』で、能力系統は、操作系。この能力は、炎により高温の光熱を出す事が出来る。故に、本質が光熱なのだ。そして枯木は、その光熱を操り攻撃や加速が出来る。


 枯木は、炎熱を光熱に変え、超速攻撃を仕掛ける準備をする。百々海の隙を伺い、拳銃を捨て刀を抜刀する。そして、光速の斬撃を放つ。


 百々海は、身体を一部影に入れながら捻ることで躱せたが、頬に傷が残っている。百々海は、すぐさま影を放ち、その後に影移動をし十メートル以上距離を取る。


 枯木は、刀身に黄色い魔力と炎を纏わせ、一気に百々海に肉薄する。対して百々海は、両手を前に掲げ、灰色の魔力を身体に纏う。それは、百々海の操る影にも伝わっていき、黒い影に灰色が混ざる。その影を溜めていき、攻撃に備える。


 ――そして、互いの距離が五メートル位になったところで、百々海は圧縮した大きな影を枯木に放つ。同時に、枯木も黄色い魔力と炎を纏った刀身を振るう。それは、巨大な魔炎の斬撃となり百々海に襲う。


 数秒後、灰色の暗影と魔炎の斬撃が激突する。激突により、周囲に衝撃波が吹き荒れる。百々海と枯木は、衝撃波に耐えながら相手の方を見る。

 ――そして、魔炎を突き破った灰影が枯木の方へ行く。同時に、灰影を突き破った魔炎も百々海の方へ行く。それは枯木と百々海にぶつかり――――。


「そこまで! この勝負、引き分け!」


 両者は気絶し、勝負は引き分けに終わった。気絶した二人は、怜次により衣良文の所へ運ばれる。衣良文により治療されるのだ。


 そうして怜次が戻った後、刀華がマイクに向かって言う。


「さぁ、次は大将戦! この勝負の結果で、勝敗が決まります!」


 刀華がそう言ったことで、観客達が沸き立つ。刀華はそれを華麗に無視して、司会を続ける。


「各チームの大将は、準備をしてこちらへ出てきて下さい」


 そして、執行科(エンフォースメント)二チームの大将である彩月は、待機場所を出て行く。次に、能力科(アビリティ)一チーム側の大将。

 藍色の長い髪に、黒色の瞳を持つ能力科(アビリティ)の科長、青道院景正(せいどういんかげまさ)も、待機場所を出る。


 これで、両選手の準備が整った。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華の言葉で、怜次は合図をする。


 ……準決勝、第二試合の大将戦。戦いの火蓋が今――――。


「それでは、始め!」


 ――――切られた。


 その瞬間、二人の大将は走り出す。彩月と青道院は、近づく間何もしない。それは、互いに能力の使用回数を減らすためである。


 そして、距離が約六メートル前後に詰まった時。彩月は、水色の魔力を纏った拳を放つ。青道院は、黒い魔力を纏った黄色の雷を放つ。

 彩月の魔拳は、青道院の方へ飛んでいき、青道院が咄嗟に防御した腕に命中する。

 青道院の黒雷は、彩月の方へ飛んでいき、彩月の胴体に命中する。


ドゴォン!


 命中した瞬間、周囲に轟音が響く。それと同時に彩月の方に黒煙、青道院の方に砂煙が立ちこめる。


 そうして数秒、二つの煙が晴れる。そこに見えるのは、無傷の二人。


「青道院、何処に撃ってるの? 擦りもしてないよ?」

「お前こそ、拳が弱すぎる。それでは、傷一つ付かない」


 二人はそう軽口を言う。彩月の傷がない原因は、彩月の能力にある。幻を見せ、自身の位置を悟らせなかったのだ。青道院が無傷な理由は、ただ一つ。防御をしたからだ。腕に雷を纏わせ、彩月の魔拳を弾いた。それだけのことである。


 そして、二人は身体に魔力を纏わせ、近接戦を始める。そこで繰り出されるのは、拳と拳での殴り合い。ただ、力だけは青道院の方が上で、正面から殴り合われることは無い。だが、彩月の能力によりありとあらゆる方向から打撃が飛んでくる。青道院は、その攻撃を防ぐのに少し手こずっていた。


 そんな状況の中、彩月は思案する。


(どうしようかな……このままじゃ、青道院の防御を突破出来ないし……幻を見破られて至近距離戦に持ち込まれたら、力に負けている私は勝てない)


 彩月の能力は『幻惑の世界(ヒュプノス・ワールド)』、精神に幻の世界を見せる能力。そして、その能力の本質は『誘導』で、精神現象その全般を起こす現象系の能力である。その範囲は、第一戦闘場を覆えるほどで、今は殆どの者が騙されている。


 だが、この能力には弱点がある。それは、身体には何の影響もないことだ。彩月がこの能力を使っても、彩月の身体能力が上がるわけでは無い。……使い方次第だが。故に、力の強い青道院には正面戦闘では勝てないというわけだ。


 そして、弱点はもう一つある。それは、一度幻を見せると、もう一度見せられるようになるまで約0.2秒かかるということだ。


 そして、彩月は幻を出し、四方向から拳撃を仕掛ける。それは、全て実体となり青道院を襲う。

 ……だが、青道院がその四方向に雷を放つ事で、全て防がれる。本体の彩月は当たる前に躱したので当たっていない。その後少し距離を取り、彩月は出方を伺う。今のところ、ずっとこのような状況が続いている。


 戦況が動かない中、青道院は勝つための一手を考える。


(さて……この状況、どうするか。自分から動きに行くのは愚策か……いや、俺の能力なら、力押しで鳳の幻を突き破れる。静と動。どちらを取るべきか判断しつつ、攻撃を仕掛けよう……)


 青道院の能力は『万なる雷霆(ミリアド・ケラウノス)』、あらゆる雷を落とす能力。その本質は『落雷』で、雷現象その全般を起こす現象系の能力である。青道院は、雷を操り自身に纏わせたり、威力を高め落雷として落とす事が出来る。だが、本来の使い方は、雷を落とす事だ。故に、本質が落雷なのだ。


 そして、青道院は状況を見極めつつ、攻撃をし彩月を牽制する。牽制しつつ、青道院は彩月を倒す機会を待つ。


 数十秒経ち、彩月が一旦距離を取った瞬間。


(――今だッ!)


 青道院は動く。身体に黒色の魔力を纏い、雷で身体強化をし瞬時に彩月の後ろに回る。そして、こう言葉を綴る。


審判の雷(しんぱんのいかづち)!」


 そして、雷が落ちる。彩月は、咄嗟に水色の魔力を纏い防御をした。その瞬間――。


ドゴォン!


 雷鳴が、戦闘場に轟く。砂煙が当たりに舞い散り、観客席から戦闘場の様子は見えない。観客達は、どうなったのかと騒ぎ始めるが……数秒後、結果が判明した。


「危なかったよ……私の弱点を突いてくるなんて、青道院も中々やるじゃん。でも……あんまり私を舐めないでほしいね!」


 一部服が焦げているが、彩月はしっかり魔力で防御できていた。彩月は、自身を幻で覆い、そこに魔力を加えることで二重防壁を作っていた。これにより、防ぐことが出来たのだ。


(そろそろ……本気を行かないと負ける……!)


 そして、彩月は本気を出す。精神現象により脳に干渉し、リミッターを解除する。更に、脳と身体に魔力を送り、続けて強化をする。


 対する青道院も、本気を出すことを決意する。


(さ、て……鳳も本気のようだし、俺も本気で行くか)


 青道院は、黒雷を身体に巡らせ、身体強化をする。腕と足には黒雷が巻き付いており、魔力は身体の防御に回している。


 そして数秒、彩月と青道院による睨み合いが続く。次の瞬間、二人の姿が消える。次に現れたのは――――。

はい、ようやく更新できました。期間が空いたのは、名前と能力に悩んだからですね、はい。……すみませんでした。今後は、更新を早くできる……と思います。後ちなみに、今までで文字数が一番多くなりました。

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