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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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45話「準決勝」

 準決勝。ここまで勝ち上がってきたのは、執行科(エンフォースメント)一チーム、刀剣科(ブレイダー)一チーム、能力科(アビリティ)一チーム、執行科(エンフォースメント)二チームだ。


 そして今は、第一戦闘場で組み合わせを発表されるところである。


「準決勝の組み合わせは、こちら!」


 刀華先生の言葉により、スクリーンに準決勝の組み合わせが映し出された。



第一試合:執行科(エンフォースメント)一チームVS刀剣科(ブレイダー)一チーム


第二試合:執行科(エンフォースメント)二チームVS能力科(アビリティ)一チーム



 組み合わせはこうであった。準決勝なので、試合数は二回しか無い。俺達執行科(エンフォースメント)一チームの相手は、刀剣科(ブレイダー)一チーム。凜姉が居るチームである。ただ、俺が凜姉と直接戦うわけではないのである。俺は先鋒で、凜姉は副将。ポジションが違うのである。


 ここ最近あまり話していないため、少し気まずい空気が出ているため、凜姉とはあまり会いたくないのでとりあえずはまぁ……良かったとは思う。だが、気まずい空気は直したい。今後の生活に関わる。


 そんなことを考えつつ、俺は待機場所へと行く。俺は第一試合の最初から出番があるので、遅れるわけにはいかない。いや、多少遅れても最悪時間を止めて行ったら間に合うのだが、そんなことで能力を使いたくないため少し急ぐ。


 そして、待機場所へとついた。待機場所には全員居たため、俺が最後に来たようだった。


「やっと来たかね、來貴君」


 俺が来た瞬間、瞬華先輩がムスッとした顔で絡んできた。そして、こう言ってきた。


「來貴君、もうちょっとで先鋒戦が始まるから勝ってきてね」


 瞬華先輩の言葉に俺は頷き、待機場所を出る準備をする。


「さぁ! 学科対抗戦準決勝第一試合の始まりです! まずは先鋒戦! 各チームの先鋒は、準備をしこちらへ出てきてください」


 刀華先生がマイクに向かって言う。それを聞いた俺は、先鋒戦の準備……と言っても、準備するものなんて無いが、準備をする。後ろから、瞬華先輩の「勝ってね」という声が聞こえた。俺は返事はせずに、待機場所を出て行った。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 双方の先鋒が、待機場所を出て準備も終わった。それを確認した刀華は、始まりの司会をする。


「両選手の準備は出来たようですね! それでは、審判の荒川先生お願いします」


 審判の怜次が出てきて、始まりの合図をする。


「それでは、始め!」


 怜次が合図をしたその瞬間。瑠璃は、刀の柄に手を掛ける。そして、そのまま來貴に向かって全速力で走った。対して來貴は、油断無く瑠璃の方を見ているだけで、他は何もしていない。


(……結月君は、僕の知る限り一年生の中で一番強い。……勝てるかどうかはわからないけど、全力でやらないと勝てない……!)


 瑠璃はそう考え、瑠璃色の波紋が入った刀を抜刀し、來貴に近づいたところで斬りかかる。


ギィンッ!


 そこで鳴り響いたのは、金属音。その音を聞いた瑠璃は、驚いたような顔をしたが、すぐに表情を戻し一旦距離を取った。來貴は瑠璃に斬られるところで、ヴァルブラドを抜き魔力刃を出して防いだのだ。


 瑠璃が驚いたのは、來貴がヴァルブラドを抜くのが見えなかったからだろう。だが、瑠璃はそのことを気にしなかった。魔力で身体強化が出来るので、それをしたら見えるようになるだろうと考えたのだ。故に、距離を取り次の攻撃の準備をする。


 來貴は、自分から距離を取った瑠璃の方を向く。そして、思案する。どうするか。自分から攻撃しに行ってもいいが、それだと一撃目はほぼ確実に防がれるだろう。瑠璃も能力を使っているので、自分も能力を使おうかなとも考えていた。勿論、使うのは覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)のみだが。


 瑠璃と向かい合い睨み合う中、來貴は次の一手を考える。


 考えた末、來貴は自分から仕掛けることした。理由は、ただ一つ。速く終わらせる為である。学科対抗戦という、面倒な学業。これを速く終わらせる為には、目の前に居る瑠璃を倒せばいいと判断したからである。


 ――そして、來貴は瑠璃に接近する。掛かった時間は約一秒。瑠璃はギリギリ反応出来たため、振り下ろされた魔力刃を防ぐことが出来た。


 だが、來貴の攻撃はそれで終わりでは無い。防がれたとほぼ同時に瑠璃の後ろに回り込み、その勢いで回し蹴りを頭部に放つ。


 それにより、瑠璃は気絶した。


「そこまで! 勝者、結月來貴!」


 怜次の判定により、來貴の勝利が確定した。瑠璃は怜次に運ばれ、衣良文に治療される。來貴は、それに見向きもせず待機場所へ戻った。


 そして、來貴が待機場所へ戻った後。次は次鋒戦。明城の出番である。


「さぁ! 次は次鋒戦! 各チームの次鋒は、準備をしてこちらへ来て下さい」


 刀華の言葉を聞き、明城は待機場所を出て行った。


 双方の次鋒が、待機場所から出て準備が完了した。執行科(エンフォースメント)一チーム側の次鋒は、明城。刀剣科(ブレイダー)一チーム側の次鋒は、今泉慎太(いまいずみしんた)という二年生。この男は、黒髪茶目という日本人らしい見た目をしている。


「両選手の準備が出来たようですね! それでは、審判の荒川先生お願いします」


 そして、怜次が始まりの合図をする。


「それでは、始め!」


 開始の合図と同時に、明城と今泉の二人は駆け出す。走りながら、明城は携えていた刀を、今泉は持っていた直剣を抜く。今回、明城は予め刀を持ってきている。それは、能力の使用回数を抑えるためである。手を離したら消えてしまうと言う能力のデメリットもカバーする……というのもあるが。


 数秒後、二人による剣戟が繰り出される。その剣戟は、火花飛び散り金属音が鳴り響く、激しいものであった。


 数合打ち合った後、今泉の隙を突き、明城が瞬時に銃と銃弾を創成し、早撃ちをする。放たれた銃弾は、今泉の直剣により軌道を変えられ弾かれた。


(能力か……)


 今泉は能力を持っていない。それ故、身体能力を鍛えてきた。その身体能力は、目視で銃弾を回避・防御が出来る。今泉は、剣で銃弾を弾くことを選択した。


(やっぱりね……)


 明城は、それを予想していた。銃弾程度、簡単に防がれると思っていたのだ。だからこそ、そこに隙が生まれる。明城はその隙を突いた。

 右手に刀、左手に拳銃を持ち、今泉を倒すために動く。対する今泉も、両手で直剣を持ち明城を迎え撃つ。


 結果は――――。


「そこまで! この勝負、引き分け!」


 ――――両者、気絶。明城は、今泉の直剣の斬撃とその後の打撃を受けて気絶。今泉は、明城が斬撃を受ける前の銃撃と受けた後の刺突を受けて気絶。


 両者は、怜次ともう一人の先生により運ばれ、衣良文の治療を受ける。


「次は中堅戦! 各チームの中堅は、準備をしてこちらへ出て来て下さい」


 中堅戦。執行科(エンフォースメント)一チーム側は、亜宮。刀剣科(ブレイダー)一チーム側は、辻宮廉司(つじみやれんじ)という二年生。この男は、162cmの身長に赤髪に茶目という派手な見た目をしている。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華がそう言った後、怜次が始まりの合図をする。


「それでは、始め!」


 怜次の合図と共に、亜宮と辻宮の二人は武器を抜きながら走る。


 亜宮の武器は、短刀を二本。辻宮の武器は、打刀。


 そして、二人は数合打ち合う。打ち合った後、距離を取り睨み合う。リーチとしては辻宮が有利だが、武器の扱いは亜宮の方が一枚上手である。

 対して、身体能力。これに関しては、能力を持っている辻宮の方が有利……だが、実はそんなに差は無い。


 辻宮の能力は、強装(ブースター)。身体強化をする能力。本質は『補強』で、能力系統は補助系。本質故に強化の度合いが、強化系と比べてとても低い。亜宮の身体能力はとても高い。それも、能力を使っている者に匹敵する程。故に、辻宮の能力による優位性はあまり無いのである。


ギィンッ!


 短刀と打刀が、火花と金属音を鳴らす。そんな中、亜宮は思案する。


(……どうするか。とりあえず、魔力を使って決めよう)


 そして、亜宮が持つ二本の短刀の刀身に、赤紫の魔力が纏われる。同時に、亜宮の身体にも赤紫の魔力が溢れ出す。それを見て、辻宮も魔力を使う。刀身と身体に魔力を纏わせ、亜宮に斬りかかる。


 だが、魔力を使ってからの動きは亜宮が圧倒的に良かった。


 辻宮の攻撃は、亜宮に殆ど当たらず防がれていた。対して亜宮の攻撃は、辻宮に当たっている。いや、辻宮は防げているのだが、それもギリギリだ。


 魔力を使い数合打ち合った後。亜宮は、勝利をするために動く。辻宮の刀を躱し、短刀の柄で頭を殴打する。それにより、辻宮は気絶した。


「そこまで! 勝者、亜宮蓮!」


 怜次の判定により、亜宮の勝利が確定した。その判定を聞き、観客席は大いに湧き上がった。無能力者である亜宮が、補助系とは言え能力者の辻宮に勝った。無能力者と能力者の壁を亜宮がまた破った勝利だ。


 亜宮は無能力者なのにも関わらず、能力者に何回も勝っている。それには、純粋な高い身体能力と、武器と魔力の扱いにある。亜宮は、そこがとても長けているのである。それ故の、勝利。見事な戦闘であった。


 そして、亜宮は待機場所へ戻った。


「次は副将戦! 各チームの副将は、準備をして出てきて下さい」


 副将戦。執行科(エンフォースメント)一チーム側は、天上。刀剣科(ブレイダー)一チーム側は、凜である。


 そして、天上と凜は待機場所から出る。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 刀華がそう言った後、怜次が合図をする。


「それでは、始め!」


 怜次の合図と同時に、天上と凜は走る。走り出すと同時に、武器を抜くのも忘れない。天上は剣、凜は刀。武器のリーチは同じくらい。そして二人とも能力を持っている。身体能力は、天上の方が上。技量は、凜の方が上。


 実力は、大体同じくらいである。故に、有利不利は互いの得意分野で出る。


 そして、剣と刀が打ち合い、金属音が鳴り火花が散る。この剣戟は、純粋な速度と力が上な天上が有利であるが、凜がその衝撃を上手く受け流しているため、天上は攻め切れていない。それどころか、天上が段々押されている。凜の斬撃を裁き切れず、攻撃を食らう回数が増えているのだ。


 凜の能力は『剣聖(セイバー)』。剣術を極める能力。能力系統は補助系であり、その本質は『斬撃』。一回一回の斬撃がとても強く、無駄がない。強いというのは、無駄がないと言うことの副産物。無駄がない故に、斬撃の威力が高いのだ。


 そして、凜は天上に何回も斬撃を食らわせる。天上は、能力を使い速度を上げることでなんとか深い傷にはならずに済んでいたが、そろそろ限界だろう。その理由は簡単。


「ぐっ……」


 凜が、その速度になれてきているからである。現に、今天上は、腹部にそこそこ深い斬撃を食らった。それにより、少し血が出ている。対して、凜は傷一つ負っていない。


 このままじゃ負ける。天上はそう考え、思案する。


(どうするか……と言っても、俺が結月さんに勝ってるのは身体能力だけ。能力で強化すればなんとかなるかもしれないが……如何せん、技術の差が大きすぎる。長期戦に持ち込まれたら、目の慣れと魔力不足で終わる……だが、やるしかないよなぁ……)


 天上はそう心の中で愚痴りつつも、能力を発動させる。今度は、凜の数倍上を行くくらいの激化である。この位だと、天上は凜に慣れられる前に倒せると考えたのだ。


 対して、凜は……。


(強化の度合いが上がった……身体能力を上げて、一気に決めようって作戦かな? ……でも、來くん程の理不尽強化じゃなかったらいける……!)


 そう考えていた。凜は、來貴と何度か戦ったことがある。その全ての勝負の結果は、來貴の勝利。凜の技術など関係無い、圧倒的な力の暴力が要因である。それは、地面を軽く殴っただけでクレーターを作るほどだ。強化系の最高峰である來貴の能力の強化は、天上の強化とは別物。


 天上の速力強化(スピード・ブースト)は、上位ではあるが、下位の方。だが、來貴の覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)は、最上位の中でもトップクラスに強い。要するに、格が違うのだ。


 凜はそんな來貴と戦い、技術なんて関係無い圧倒的な力のゴリ押しをされていつも負けている。いや、來貴はやろうと思えば技巧に走った戦いも出来る。……だが、本人がそれを面倒がってやらない。故に、凜はこの程度の強化は対処できるのだ。


 そして、凜は天上との距離を詰める。もうすぐ決着が付くとも考え、刀身と身体に蒼色の魔力を纏わせている。


 その後、刀にて斬りかかる。天上は、防いで反撃をする。刀身で押し合うときは、天上の方が有利なので、すぐに凜の刀を斬り上げて速度を乗せて斬りかかったのだ。


 だが、躱される。魔力を纏ったことで、力と速度が上がり反応が速くなったのだ。


ギィンッ!


 凜は再び攻撃を仕掛ける。次に天上の反撃が来たときは、躱さずいなす。そして、数合打ち合った後。


「きゃっ!?」


 凜が少し体勢を崩した。これは天上の作戦である。天上は、切り結んでいる間に、力で強引に凜の体勢を崩し、隙を作ろうと考えたのだ。それは見事に成功し、ほんの一瞬だが隙が出来る。


 その一瞬を逃す天上では無い。天上は、魔力を纏わせた剣を振り凜に止めを刺そうとする。対して凜も、すぐに体勢を整え刀を持つ。そして、刀を振る。


 結果は――――。


「……降参、です」

「そこまで! 勝者、結月凜!」


 ――――凜の勝利である。隙をついた程度で、凜は倒せない。何より、経験の差である。凜が三年なのに対し、天上は二年。一年の経験の違いが、勝負の結果に繋がったのである。


 凜は体勢を崩された後、すぐに体勢を戻して天上の攻撃を受け流し、後ろに回りながら体勢を崩し地面に伏せさせた。そして、首に刀を突きつけたのだ。天上は、自身の攻撃を受け流された後、驚愕して反応が遅れた。これが無ければ、天上が勝っていたかもしれない。だが、たらればの話をしても仕方が無い。天上と凜は、待機場所に戻った。


 ――準決勝第一試合の今までの戦績はこうだ。

 執行科(エンフォースメント)側が二勝一敗と引き分けが一回。

 刀剣科(ブレイダー)側が一勝二敗と引き分けが一回。


 ……次の大将戦で、勝負の行方が決まる。つまり、両チームの大将は責任重大なのだ。


 執行科(エンフォースメント)側が勝てば、そのまま第一試合は執行科(エンフォースメント)一チームの勝利で終わる。

 刀剣科(ブレイダー)側が勝てば、三勝目を勝ち取るための試合が始まる。


「次は大将戦! この勝負の結果で、試合の行方がほぼほぼ決まります! 各チームの大将は、準備をしてこちらへ出てきてください」


 そして、瞬華は出て行く。天上が負けたことに対して少し説教をしてから。ちなみに、最後の方には「相手が凜なら仕方ない」と言っていた。一応、フォローはしていたそうである。


 執行科(エンフォースメント)一チーム側の大将は、瞬華。対して刀剣科(ブレイダー)一チーム側の大将は、刀剣科(ブレイダー)の副科長だが、刀剣科(ブレイダー)の中で凜を凌いで最強と謳われている三年生。


 存淵威月(ありふちいつき)である。この男の容姿は、少し長めの紫髪に、茶色の瞳をしている。顔も端正……な、方では無い。普通より少し上くらいである。実力は確かなのだが、容姿と少しひねくれた性格のため、人望に関しては凜の方が格段に上であった。故に刀剣科(ブレイダー)の科長は、人望が一番あった凜なのである。


「両選手の準備が出来たようですので、審判の荒川先生お願いします」


 怜次の合図により、勝負の行方が決まる大将戦が今――。


「それでは、始め!」


 ――始まった。それと同時に、二人の大将は距離を詰める。距離を詰める間、瞬華と存淵は魔力の斬撃と飛ばし合っていた。だが、二人には擦ってすらいない。


 そして、距離が詰まった後。瞬華は、刀身に橙色の魔力を。存淵は、武器である太刀に紫色の魔力を纏わせ打ち合っていた。


 その後、存淵が能力を発動させる。その状態で、瞬華に斬りかかる。


ギィンッ!


(重い……存淵、能力を使ったね)


 存淵の能力は『重力操作グラビティ・コントロール』。重力を操る能力。能力系統は操作系で、その本質は『形成』。この能力の原理は、魔力により重力に干渉し、方向や強さなどを操作をする。だが、そのいずれも魔力で力場を形成しなければ操れない。力場を形成し、その力場の場所で方向を、引っ張りで強さを操る。故に、力場の形成が本質なのである。


 そして、存淵は刀身に纏われた紫の魔力を飛ばす。魔力の斬撃である。瞬華は、その斬撃を躱しこちらも斬撃を飛ばす。存淵も、瞬華の斬撃を躱す。だが、瞬華の能力によって加速させられているため、少し擦ってしまった。


(擦ったか……)


 存淵にとっては、それはどうでもいい。この程度傷の内に入らないためである。


 その後、瞬華は時間を止める。目の前に銃弾を何発か放ち、自分は後ろに回る。瞬華の作戦としては、存淵が銃弾を退所している途中に後ろから斬撃を食らわせるという単純なものだ。


 時間停止が解除され、急に目の前に迫る弾丸の雨を対処する存淵。その方法は、全ての弾丸の重力を操作し、速度を殺して一撃で斬り伏せるという方法だ。


 瞬華が後ろから斬りかかる時には、存淵は弾丸の対処を終えようとした時だった。その後存淵は、後ろに迫る瞬華の刀に気付き、身体を捻りギリギリの所で回避した。だが身体を捻ったことで、胸部に傷が出来ている。……そして、存淵の胸部から血が溢れる。


 それを一瞬見て、存淵は判断する。その結果、気にせず瞬華を攻撃するという事だ。体力と魔力を消耗仕切る前に、瞬華を倒せば良いという結論を出したのだ。存淵の行動を見て、瞬華もそう判断した。自身だけを加速させ、存淵に斬りかかる。その速度は十分速いものだったが、存淵も速かった。


 重力操作をし、自身を加速させ瞬華の一撃を受ける。力に関しては、魔力を使っているため同じくらい。


ギィンッ! ギィンッ!


 第一戦闘場には、金属音が鳴り響く。その金属音の中で戦っている二人の中では、金属による火花も飛び散っている。だが、そんなものは気にせず二人は戦っている。そして激しい剣戟の中、瞬華は考える。


(……これ、分が悪いね)


 瞬華は、どうするか考える。能力の性能に関しては、瞬華の方が上だろう。『支配(ルーラー)』と『操作(コントロール)』では、『支配(ルーラー)』の方が圧倒的に上なのだから。次に、身体能力。これは、瞬華の方が若干上である。能力による影響で、瞬華の方が僅かに有利になっているのである。最後に、力。これは、存淵の方が上。重力を操作した一撃は、とても重い。瞬華がその衝撃を旨く受け流していなければ、とっくに刀は折れていただろう。それ程である。


(……最大加速と、最大魔力、だね)


 能力により、自身を最大まで加速する。魔力により、自身を最大まで強化する。その状態による一撃を以て、存淵を倒す。これしかない、と瞬華は思った。


 瞬華は一度時間を止め、存淵と距離を取る。銃弾を仕掛けるのも忘れない。


 再び動き出した時間で、存淵は銃弾を対処する。そして、瞬華の雰囲気が変わったことを察知した。


(雰囲気が、変わった……? 何か仕掛けるつもりか?)


 瞬華は、目を閉じ深呼吸をする。目を開いたら、自身の時間を最大加速させる。同時に、刀身と身体に最大限に魔力を込める。


 それを見て、存淵も刀身と身体に最大限に魔力を込める。同時に重力を操作し、自身の動きを重く・速くするのも忘れない。


 二人の状態が極限まで研ぎ澄まされた。その状態で、瞬華と存淵は距離を詰める。そして、入れ替わりで魔力の斬撃を放つ。


 瞬華は、存淵の斬撃を食らい膝をつく。対して存淵は、片目を閉じる。勝敗は――――。


「……降参する」

「そこまで! 勝者、東道瞬華!」


 ――――瞬華の勝利である。


 瞬華は、膝をついたがまだ戦える。だが、存淵は、少し視界がボヤけていた。これは、出血と身体の酷使による影響だろう。実際、第一戦闘場内には所々に血がある。故に、存淵の体力が切れたのだ。


「準決勝第一試合は、執行科(エンフォースメント)一チームの勝利です! 次の第二試合は、十分後に行われます」


 刀華の言葉により、準決勝第一試合が終わった。結果は、執行科(エンフォースメント)一チームの勝利である。


 次は、準決勝第二試合。來貴達は、観客席で観戦するのであった。

活動報告を見て下さい。

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